残念なエンカ
「てめぇ、嘘つきやがって!」
エンカが飛んで追ってきた
「嘘はついていないが?」
「第一に、冒険者じゃないとだめだって言われた。第二に、真っ黒こげだから本当に盗賊団のリーダーか調べる必要があると言われた。そして、冒険者登録をしようとしたら、魔王軍の四天王はダメだって言われたぞ!」
「まあ、当然だと思うが」
「腹いせにお前たちを殺す!」
「ウォーター・バインド」
我は頭に血が上っているエンカを冷やそうと、水の鞭で縛り上げた
「はっ、フレイム・アーマー」
エンカが炎の鎧を纏うと、あっさりと我の水の鞭が蒸発した
「むっ、アイス・バインド」
我は、今度は蒸発しないように氷の鞭にした
「離せこらぁ!」
氷の鞭は少しずつ溶け出しているが、もうしばらく持ちそうだ
「お主は何をしに来たのだ?」
「そういえば!おい、そこのチビガキ、お前が魔王か?」
「え?私は魔王じゃないけど・・・」
ライカはそう言って否定した
「あいつ、嘘を教えやがったな!」
エンカが聞いていた特徴は、でたらめだったようだ。少し落ち着いたのか、エンカは炎の鎧を解除した
「すまないな、勘違いで襲ってしまって」
「いや、こちらこそ」
何がこちらこそか分からないが、冷静になったエンカは敵意が無いので放置することにした
「この辺で、強い魔法使いが出たと聞いたから、そいつが魔王かどうか探しに来たんだ」
エンカは聞いてもいないのに勝手に情報をしゃべりだした
「セッカが負けたっていうから、ぜひ戦いたい。ところで、金髪のお前、なかなか強いな?」
「当然だ、我は魔王・・むぐっ」
我は急にノロイに口をふさがれた
「ああ、こいつはマオと言って天才魔術師だ!」
「そうなのか!お前くらいのものが魔王軍に入ってくれれば・・そうだ!あたいのオヤジが魔王なんだ、お前を推薦してやろう!」
「いや、旅を急ぐのでお断りする」
「そうか、しょうがねーな。じゃあ、あたいはそれらしいガキを探しに行くから、またな!」
エンカはそう言って「フレイム・フライ」と唱えると、どこかへ飛んでいった
「・・・あいつについていけば早かったか?」
「早いだろうけど、何か違わない?」
「我は、魔王より裏メニューを食べる方が優先されるべきだと思うぞ」
「私も、ご飯が優先かな」
我達は次の街へ急いだ
 




