ノロイ、調査する
「ちっ、あのバカが先走りやがって」
俺は苦々しく思いながらも、森へ向かった
そもそも、俺達がクエストを受ける理由なんてほとんどないのだ
今は金にもそんなに困っていないし、ギルドランクもCになれば身元が保証されたも同然だ
「ここが戦闘跡か?」
俺はマオにも教えていないが、多少の魔術を使える
今回は、魔力の残渣を調べたのだ
「ふむ、ライトニング系統の痕跡が多いな?」
木が所々はぜたようになっている。これはおかしい。マオは森の中で風魔法ばかり使っているはずだ。わざわざ燃え移る可能性のある雷を使う必要がない
「これが、ライカを連れ去ったというゴブリンか?」
ところどころ焦げているのは、ライトニング系統の特徴だろう。俺の後に着いてきていたのか、ミレも到着した
「これが……」
言葉が続かないようだ。まあ、どうみても戦闘跡だからな。無力な少女を一方的に襲ったにしては周りの被害がでかい。それに、マオなら腕力で十分だろう
「見ての通り、少なくともマオが少女を襲ったというのは嘘だとわかるな?」
「そうね、この規模の被害が出るなら、一般人なら死んでいるわね」
ミレは証拠になるか分からないが、ゴブリンを回収した
しばらくすると、編成された調査隊が到着したので、あとは任せることにした
「おい、まずいことになってるぞ。ライカが逃げる」
俺は念のためマーキングしておいたライカが、街から脱出しようとしているのが分かった
「なんですって?急いで戻らないと!」
俺たちは急いで街に戻った
脳内にあるライカの光点を追うと、ギリギリ門の前だった
「どこへ行くんだ?」
「え……?えっと、ちょっと用事が」
「だから、何の用事だ?」
ライカは路地裏に逃げ出した
「待ちなさい!」
ミレも追いかける
路地裏に入ると、ライカがこちらに手のひらを向ける
「ライトニング・スプレー」
細かい雷が俺たちに降り注ぐ。ダメージを与えるというより、足止め用の魔法だ
俺はピリピリする雷の中を突っ切ってライカに追いついた
「ライトニング・ショット」
今度は、攻撃用の魔法だ。まともに食らえば一般人なら昏倒するな
俺はそれを回避すると、ライカを地面に押さえつけた
「離して!きゃーっ、暴漢よ!助けて!」
ライカが叫ぶため、サイレンスの魔法で遮音した
「大人しくしろ!」
俺はロープでライカを縛ると、念のため髪の毛を1本抜いて人形に入れた




