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勇者が世界を滅ぼす日  作者: みくりや
第三部 成長
39/202

ベリアルの訓練所



 後日。

 アイリスの手がかりはまだ見つかっていない。オロバスの相談ごとはすでに始動しているけれど、次にベリアルからも話が着ている。

 幹部たちは魔王の娘であるアイリスを全く心配していないわけではないけれど、自分の管轄に穴をあけるわけにも行けないし課題は日々更新される。

 いまは捜索している精鋭部隊が手がかりを拾ってくるのを、みんなが今かと待っている状態だ。



 再び女王との話し合いの場を設ける予定だ。交易と演劇で王国の施策の相乗効果をねらったマインドブレイクを大々的にやりたい。それから女王の動きだ。

 レイラの交渉材料である『福音の勇者』奪取。それからアイリスの手がかりがほかにないか、確認したい。

 さらにパワーバランスを取るために、早まったことをしていないかも確認した方がよさそうだ。表向きの名目は演劇となる。

 ルシェには女王との会合へむけた折衝をお願いした。



「頼むよルシェ!」

「えへへ~じゃあいってくる!」



 ルシェは頼み事をすると、すごくうれしそうに引き受けてくれる。その様子はほほえましいけれど、周りの視線がきになる……。

それからいつもはいないはずの二人がなぜかいる。



「シャルロットとマニは、今日は学園はないの?」

「……うひ!……えと……」

「今日はオロバス校長に言って、劇のために特別にお休みをいただきましたわ!それにアーシュに訓練を付けてもらうならと許可をいただきました」

「えーとボクの都合は?」

「……てへ」


 シャルロッテとマニがそろってテヘペロをしている。二人ともかわいいけど、かわいくない!


「おおおおおい!」

「ぷ~くすくす。この二人はなかなかのヤリ手なのだわ!」

「あとで帰ってきたら遊んであげるけれど、みんなと一緒に劇の脚本や配役を考えるのがさきだからね」



「まぁ、ではやりましょうみなさん!」

「……あり……あとアーシュ」



 シャルロッテは相変わらずの元気だけれど、マニはまだ何かかかえてそうだ。もうちょっと仲良くなったら教えてくれるだろうか?



「なんでシャルロッテが仕切ってるの!」

「まぁ!よいじゃございませんか!」



 わーわーと騒がしく、でも楽しそうに話し合っている。みんな仲良くやれているようで良かった。



「アーシュは次はなにするのだわ?」

「ベリアルから呼ばれているんだよ。」



 緊急の依頼でもなさそうだから後回しにできないかと言ったら、弱みを握られたので行かなければならない事態になった。



「ちょっと行ってくるね。もどったら訓練するから」

「「は~い」」






 ボクはシルフィと二人で訓練所にゲートでやって来た。


 ベリアルは学園近くにある訓練所にいる。訓練所の建物は軍の宿舎にもなっていて、かなり大きい。それに魔王領のために戦ってくれる兵士のために、施設も充実している。

 以前も小さい宿舎と訓練所はあった。

 ボクが来て号令をかけただけで、ここまで充実した施設になるとは思わなかったそうだ。だから軍の中では、ボクへの信頼が厚くなっているという話だ。

 まだ来るのも初めてなのに、信用してくれるのはうれしい。



「やあ、ベリアル!調子は……って何してるの!」

「あらん?いらっしゃいアーシュ」



 ベリアルがいる教官長室へやってくると、可愛らしい子を抱きしめていた。そういう(・・・・)場面ではないのだけれど、ひざ元において撫でて愛でている。



「うちの子のミミくんよ!」

「……ミミれす……こ、こんにちは」



 ミミはベリアルの膝上から”ちょん”と降りて、ぺこりと挨拶をする。



「こんにちは。魔王代理のアーシュとこっちはシルフ――

「ん~がわうぃうぃ~~~!!!」



 だめだ。ベリアルは目がハートになっている。この可愛らしい少年はミミという、獣人族のようだ。獣人族とでも仲良くできるのはよいことだけれど、近くに村でもあるのか。



「獣人族の村って魔王領にあったの?」

「ええ、南西のE地区に悪魔族と共存している村があって、この子はそこの出身よ。かんわうぃうぃ~でしょ?」

「うん。かわいいね!」

「……えへへ」



 ほんとうに女の子みたいに可愛いんだけれど。ミミくんは赤らめてちょっと俯いて、こちらを見ているから、上目遣いみたいになっている。

それがまた可愛い。



「「ちょっと、アーシュ!」」



 ついてきたシルフィとベリアルは違うベクトルでボクを糾弾する。そろそろ話を進めたい。ボクが新しい扉を開こうとしているのはさすがに止められた。



「ベリアルは相談事があったんだろ?」

「ええ、貴方たち劇をやるそうじゃない?オロバスがヒーローの?」


「ああ、王国の民から要望が多かったから。それと女王との交易材料としても有効だからね」

「へ~おもしろそうねぇ?(にやり)」



 なんだ?

 ベリアルはいやにいやらしい笑みを浮かべる。参加したいならアミたちに言ってくれれば問題ないと思うけれど。



「アーシュ?あたしと勝負しない?勝ったらなんでも言うことを聞くこと!どう?」

「なっ!?アーシュ!のってはだめなのだわ!」

「シルフィが勝負事を嫌うなんてめずらしいね」

「この女……詐欺師の目なのだわ。あちにはわかるのだわ!!!」



「あ~ら人聞きの悪い!ククク……お嬢ちゃん」

「お、お嬢ちゃん!?く~~~ばかにしてなのだわ!!」



 地団駄を踏んでいるシルフィも珍しい。ベリアルは交渉上手だ。さすがに軍をまとめているだけはある。シルフィも本気ではないにしても、上手に乗せられていた。



「いいよ。その勝負のった。でもそんなに時間がないからすぐ終わる勝負でおねがい」

「ま、いいでしょ。じゃあこれで勝負よ!」



 ベリアルが提示した勝負は――







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