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私は抵抗する暇もなくいろんなものをコウに食べさせられました。それらはすべて私の好物でなんだか少し嬉しくなったのですが、私は重大なことに気づきました。
「コウ、コウが休めてません。」
「大丈夫ですよ。休めてます。」
「どこがですか?」
何をもって休めていると仰っているのでしょうか?謎です。たまにコウの思考回路が読めません。だいたいは何となくなら分かるんですけどね。
「それなら、スズも僕に食べさせてもらえませんか?」
「え、」
先ほど学習したのでどうにかはい?と言わずに行けました。
「スズが納得しないのなら、こうすれば納得するかと思ったのですが。」
全然納得できませんしコウには羞恥心がないのでしょうか?で、ですが、それでコウが休めるのならやったほうが良いのでしょうか?私がこんな事を悩むことになるとは思いもよりませんでしたね。やっぱり私は好きという気持ちが少し怖いです。
それから、なんとかはぐらかしてコウに私が食べさせるのは阻止しました。
「コウ、庭園に行って少し、二人で散歩しませんか?」
「‼それは良いですね。行きましょうか。」
「は、はい。」
何かがコウの琴線に触れたのでしょうね。何なのかは分かりませんが。昔なら分かったかもしれませんのに。
「やっぱり綺麗ですね、このバラ園。夜でも綺麗に見えます。」
「そうですね、本当に綺麗です。」
振り返りながらコウに話しかけましたがコウが見ていたのは私でした。そう、私です。
え、どうしてでしょう。私を見ながら綺麗という必要はないですよね。普通にバラを見ていればいいですよね。様々な色のバラはとても綺麗です。中には青バラもあります。本当に凄いです。おば様はバラがお好きでおじ様がもともとあったバラが咲きほこれている一角を広げて種類も四季咲きのものを増やすなどして年中楽しめるようになっています。本当に綺麗な場所なのです。しかも奥の方に行けば滅多に人は来ません。コウと二人っきりで話すにはぴったりの場所なのです。