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「お久しぶりです。…お父様、お母様。」
お母様とお兄様が心配そうに見守る中で私は以前と変わらずとまではいきませんがきちんとお父様の顔を見て話すことが出来たのでした。目を見て話すことはまだ、少し怖いです。それでもお父様と話すことが出来て私は嬉しく思います。
「あぁ、良かったよ~。スズ。」
お父様達の前ではきちんと話すお兄様もいつもと同じ口調で話しながら私の頭を撫でて下さいました。
「本当に良かったですね、スズちゃん。」
お母様も今ばかりはお兄様を見咎める事をせずに私の背を撫でて下さいました。
そしてお父様は、泣いていらっしゃいました。私のせいでどれ程お父様に辛い思いをさせてしまったのかは私には分かりません。お父様がこれからはそのような辛い思いをさせないように私は頑張っていきたいと思いました。
「そういえば、スズちゃん。この前、スズちゃんとの婚約があることをコウ君が皆様の前で仰ったでしょう?ですから、正式に婚約発表の場を設けたいと思っているんです。よろしいですか?」
「はい、お母様。勿論です。」
コウがクリスマスパーティーの時に仰ったことでまぁ、あるのでしょうとは思っていたので覚悟はしていましたが、自分が主役になるパーティーは嫌ですね。主役なのですから一番注目を浴びてしまいます。お兄様の時も大変そうでしたし、お兄様の妹という事で私のもとにもたくさんの人が来ましたから。それに、お兄様が婚約したから私もという事で婚約の話を遠回しに伝えてくる方には同じように遠回しで断らなければなりませんでしたし、直球で伝えてくる方もいてそれはそれはもう二度とごめんだと思いました。西野家主催のパーティーはそこまでないのでその分、ある時の機会を逃すまいと皆様思っていらっしゃるのでしょうね。
今日はとても良い一日になりました。お父様と直接話せなかった分、今までの時間を埋めていくように沢山話せましたので。それに、お父様と話せたことで勇気も出ましたから。




