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ココ達とも別れてまた、コウと二人になりました。
「スズ。そろそろ、ガーデンに向かいませんか?」
「そうですね。行きましょうか。」
なんだか、コウか緊張しています。どうしたのでしょうか?
…もしかして婚約解消の相談でしょうか?春に好きな方がいると仰ってましたし、両想いになれたのかもしれませんね。それならちゃんと祝福しましょう。私とコウの関係について噂が流れていたりもしますけど別に噂であって本当かどうか確かめるすべはないですし私がコウに片想いしている体をとれば婚約もしばらくは断れるでしょうし何とかなります。もしもの時はグリーディーに一時避難させてもらいましょう。
互いに無言のまま歩いていると、ガーデンの奥の方に来てしまいました。いえ、コウが意図的に選んだのかもしれませんね。奥の方には人が来ないでしょうから。イルミネーションが奥の方が綺麗に見れるのですが、知っている方は少ないですし、来るとしても昼間に四季咲きのバラを愛でるためでしょうから。俗に言う穴場スポットというやつでしょうか。
二人揃って無言の空気がなんだか嫌だったので話を切り出すことにしました。
「あの、コウ。お話とは婚約解消の事ですか?」
「はい?なんでそんな話になるんですか?僕はスズが嫌だと言わない限りは絶対に婚約者のままでいますからね。
…それに、嫌だと言われたのならどうにかしてでも丸め込むか外堀を埋めますし。」
あら?なら、どのような話なのでしょうか?それに最後のほうが聞こえませんでした。小声でしたし、聞かれたくない事なのかもしれません。スルーしておきましょう。
「ねぇ、スズ。スズには好きという感情がどんなものか分かりますか?」
好きという感情、ですか。私は好きという感情が怖いのです。だって好きだからアイツはあのような事をなさったのでしょう。それにゲームの事もあります。ゲームの私達も攻略対象であるお兄様達の事が好きだからあのような人としてやってはいけない事をしてしまったのでしょう。
「あの人の事が好きだと、愛しているという気持ちが分かりますか?」
いいえ、分かりません。分かりたくも、ありません。
中途半端になってしまいましたが、切ります。