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第四話

 というわけで僕らがやってきたのは学生の味方である格安イタリアンレストラン、レアサイズ、通称サイズ。

 作戦会議といえばサイズでドリンクバーと相場が決まっているのだ。


 「それじゃあ作戦会議を始める。」


 議長の僕は某ロボアニメの司令がごとく腕をテーブルの上に組み軽く顔を伏せている。

 雰囲気は大事なのだ。


 「それでは今回の作戦の概要を北山くん、頼んだ。」


 「はい、説明させて頂きます。目標ターゲットとなるのは期末試験こっかきみつ答案ぶんしょうです、おそらくは職員室せんじょう先生てきじんちにあると思われます。」


 議員そのいちは様式美というもの分かってるようだ。

 しっかり口調を合わせてきてくれた。

 中二病を名乗るだけのことはある。


 「ああ、そうだ。しかし今は職員室は生徒が立ち入り禁止になっている。僕らが近づこうものなら怪しまれてしまうだろう。」


 定期テストの前後一週間は生徒が職員室に入れなくなっていた。

 これは生徒がテスト前に問題を入手したり、答案に悪戯するのを防ぐためだろう。

 全くのとばっちりだ。


 「はい、なので作戦は次のようになります。まずはミヤさんが職員室に堂々と入ります。そしたらきっと先生方はそれを咎めにミヤさんの方に行くでしょう。そしたら私が反対の入口から入って、こうです。」


 北山は左手で指パッチンをすると人差し指の先端に火が一瞬だけ灯った。

 何それカッコイイ。

 でもそれ超能力だからあまり人前でやらないでね、バレるからね。


 「なるほどな、僕が囮になる訳か。僕が先生方の注目を集めている間に作戦は完遂されるわけだな。そして答案が燃えていることに気づいた先生が真っ先に疑うのは…………………僕じゃねぇか!」


 つい乗りツッコミをしてしまった。

 さすがに先生の注目が集まっている中で火を付けたとは思われないだろうが何かしらの関連を疑われるだろう。


 「尊い犠牲でした。貴方あなたの死は決して無駄にしません。」


 「勝手に殺すな。」


 北山の頭にチョップをお見舞いするも白刃取りで防がれる。そしてドヤ顔。

 や、やるな中二病…。


 「いい作戦だと思ったんですがねー。」


 「ああ、囮自体はいい案だと思うんだがな。いっそのこと職員室から先生たちがいなくなれば問題無いんだがな。」


 先生たちがいないとなると夜だが当然その時間帯は職員室を含め学校自体が施錠されているだろう。

 僕らに鍵をこじ開ける技能なんてない。


 「それなら職員会議の時間を狙えばいいんじゃねぇか?」


 「ああ、それは名案だ。たしかに職員室会議のときならば先生たちは会議室にいるはずだ。」


 とそこで前を見るといつの間にか北山の横に茶髪のヤンキーが座っていた。

 僕は露骨に嫌な顔をした。


 「なんで高崎おまえがここにいる?」


 このやけにガタイの良い茶髪短髪の好青年クソヤロウ高崎たかさき直哉なおや、僕らのクラスメイトである。


 こいつとは小学生来の付き合いなので知っているがとても良い性格わるガキをしている。

 こいつの行動指針は全て面白いかどうかである。


 小学生時代に行った悪さは数知れない。

 ドアを開けると上から黒板消しといった定番の悪戯はもちろんのこと、カマキリの卵を女性の先生の机の引き出しに仕込んだり、電動鉛筆削りに俺のお気に入りのシャーペンを突っ込んだのもこいつだ。


 思いついた面白いことはなんでもやる、そんなやつだ。

 中学生になった今も変わらない。


 ちなみにカマキリの卵は室内暖房のおかげか無事に孵化し先生が引き出しを開けると共に教室内に飛び散って行った。

 先生が気絶しクラスの女子が悲鳴をあげ泣いている中、俺と高崎だけが爆笑していた。


 小学生のころ何度こいつに巻き込まれて先生に怒られたことか。

 そのくせ成績は良いというのだから手に負えない。


 「言ってなかったか?俺最近ここでバイトしてるんだわ。厨房で料理作ってたから気づかなかったが面白い組み合わせが来てるじゃねぇか。ってわけでバイト上がりにやってきたわけだよ。ほら、サービスのポテトだ。」


 テーブルの真ん中には手のひらサイズの皿にこれでもかと盛られたポテトが置いてあった。


 「こんなことして店長にでも怒られるんじゃないか?」


 「なぁに、バレなきゃ問題ねぇよ、カッカッカッ。」


 相変わらず特徴的な笑い方をするやつだ。


 そしてその意見は激しく同意する。

 バレなければ何も問題ないのだ、どんな犯罪も、超能力でさえも。


 「にしてもなんでまた宮原と北山が一緒にいるんだ?お前ら仲良かったっけか?」


 「ああ、偶然好きなアニメが一緒だと分かって仲良くなったんだ。」


 説明するには超能力やらを言わなくてならなくなるので誤魔化す。

 そう、小学生来の友人にすら超能力はバレていなかったのである。


 話を合わせてくれ、と北山に目線を送るも彼女はどうやらポテトに夢中のようだった。

 これでもかと頬張ってポテトを食べる姿はリスのようだ。

 というより女子としてその食べ方はどうなのだろう。


 「なるほどなぁ。こりゃあ南条が聞いたら悲しむぞ…。」


 「ん?なんか言ったか?」


 「……いやなんでもない。ところで俺はこんなガタイだがライトな小説が好きでな。難聴系主人公や鈍感系主人公は全員滅びればいいと思ってる。」


 「いやお前がラノベが好きなのは知ってる。どうしたんだ急に。」


 「………まぁいい。それよりもさっきの話を聞かせてくれよ、やるんだろう答案泥棒。面白そうだから俺も混ぜてくれ。」


 高崎はいかにも悪ガキらしい笑みで二ィっと笑った。


好きなドリンクバーのブレンドはカルピス+オレンジ

です。

定番ではありますが美味しいですよね。


もしよろしければ評価のほどお願いしますかお

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