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第三話

二話までを少し修正しました。

物語に関係するところとしては、少女の名前が北山絵里きたやまえりになったくらいです。


夕方くらいにもう一話投稿する予定です。

 

 退屈だと自称していた北山は今日も友達に囲まれて談笑をしている。

 部活にこそ入っていない彼女だったがクラスでは多くの友好関係を結んでいた。

 見ている限りそんなに退屈そうには見えない。


 僕か?僕もいま退屈を謳歌おうかしているよ。


 今日も今日とて腕を器用に折りたたんで机に突っ伏している。

 夏はこの冷たさが気持ちいいんだぁー、なんて。


 ちなみに本日の彼女の昼食は食堂で売っている惣菜パンだった。

 朝食はコンフレークらしいしそんなもので栄養足りるのか?


 いや足りないからあんな小さいのかなどと考えていると襟が引っ張られた。

 心を読まれたか?





 連れていかれた先は昨日と同じ図書室であった。

 相変わらず人は誰もいない。


 「あのー、毎度毎度この呼び出し方はやめてもらえますでしょうか、喉に来るといいますか…」


 「聞いてください!ミヤさん!私も超能力者になりました!」


 僕の言葉は聞いてもらえないらしい。

 それとどうやら彼女は僕のことを苗字からミヤさんと呼ぶことにしたらしい。


 彼女は興奮冷めやらぬ、といった様子である。


 「はいはい、それでなんの能力に目覚めたんだ?」


 ぼくはてっきり

 「黒炎魔法!う、腕が痛くて発動しないー。」 だの

  「いま私の声が聞こえましたよね!ねぇ!?」

 なんてものを想像していた。

 しかし違った。


 「見てて下さい!」といった彼女が目を閉じると彼女の手のひらから火の玉が一つ、二つと浮かび上がった。


 やがて五つまででた火の玉は一つになると「ボンッ!」という破裂音をして消えた。


 「はぁはぁ……どうですか!?発火能力ですっ…!」


 「………まじかい。」


 中二病などではなく普通に発火能力だった。


 「実は昨日ミヤさんの能力を見て自分も使いたくなって練習したんです。」


 「一体どんな練習をしたんだ?」


自分で言っててなんだが超能力の練習ってなんだ?

スプーンでも曲げればいいのだろうか?


 「まずは念力サイコキネシスを試しました。最初は軽いものが良いのと思いティッシュペーパーに向かって動けえ、と念じてました、一時間。」


 「一時間ッ!?」


 中二病こわいわ、常人に出来ないことを平気でやってのける。

 その執着力に逆に感心させられる。


 「はい、ですが結果として何も起きなかったため念力サイコキネシスは諦めました。」


 「ま、まぁ当然の結果だよな。むしろ何も起きなかったことに安心を覚えるわ。」


 「なので次に発火能力を試しました。ライターの火を眺めて動けぇ、と念じました。」


 「お、おう。」


 一時間の苦行は彼女を諦めさせるには短かったらしい。


 「どうやら私にはその適正があったらしく5分ほどで火が動きました。そこから色々試したところ手から火を出せるようになりました。」


 もうなんか色々あって驚けなくなってしまった。


 正直に言うと、僕が今まで生きてきた中で僕以外の能力者に会うのは初めてだ。


 というより僕は自分の特殊性を理解しているので他に能力者はいないと思っていたわけなんだが。


 やったらできちゃった系超能力者、

 長いのでYDK能力者とか略そう。


 実際に目の前で見てしまったものは信じるしかないだろう。

 ここまで火の玉を自在に操るマジックなんて聞いたこともないしな。


 僕が知らなかっただけで案外超能力なんて簡単に目覚めちゃうものなのか?


 中二病なんて誰しもが通る道だ。

 彼女のこの方法で超能力に目覚めてしまうのならば今頃世界には少なくはない能力者が出てきているのではないか。

 しかしながらそんな話を聞いたことはない。


 となるとやはり彼女が能力を使えるようになってしまった原因は僕なんだろうな。

 さてさて、この場合どうすればいいんだろう。


 もし仮に彼女が世界征服を企みだしたら僕が止めなくてはならないのだろうか。

 YDK能力者を生み出してしまったものの責任として。


 引っ張る能力VS火を操る能力

 100回戦ったら100回負けそうだ。


 頭を使えば勝てるって?

 あいにく僕の頭はそんなに賢くは出来ていないんだよ。


 とりあえず世界征服の意志があるかどうかだけでも聞いておくか。

 あったら全力で配下に加わろう。


 「その発火能力を使って北山は何をしたいんだ?」


 すると彼女は考え込む。


 「人間火力発電なんてどうです?私一人で無限のエネルギーですよ。」


 「火の玉浮かすだけで息を切らしてる人間が何を言ってるんだ。」


 「それじゃあ世直しなんてどうです?手当たりしだいイジメっ子やら犯罪者やらを燃やして回るんです。」


 「世間からはもてはやされるだろうな、それで新世界の神様にでもなるつもりか?」


 「炒飯を作りましょう。この火力があればきっと店の美味しさを再現出来るでしょう。」


 「僕は高菜の入ったやつがいい。パラパラの炒飯を是非頼む。」


 結局超能力を覚えたところで彼女はやはりやりたい事など無かったのだろう。


 ただマンガのような非日常を感じてみたかっただけなのかもしれない。


 「ミヤさんは能力を得たときに何をしましたか?」


 「僕は…特にそれらしい事は何もしてないな。」


 本当だ、なんならここ最近は能力を使うことすらしてなかった。

 覗きが出来るような便利な能力では無かったし、これを使って英雄ヒーローになりたいとも思わなかった。


 普通に生活することを選んだ以上、超能力の使い道などほとんどないのだ。


 すると彼女は少し考えた後に嬉しそうに言った。


 「ミヤさんらしいですね。」


 まだ僕と話すようになって二日しか経ってないはずなのに彼女はそう笑った。


 「あとはそうですね…。職員室の先生方の机には今私たちの定期テストの答案があるわけじゃないですか。」


 「おい、いやなことを思い出させてくれるな。来週にはそれが返ってくるんだよな。」


 「それを燃やすのとかどうでしょう。」


 「よしのった!これから作戦会議をしよう!」


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