プロローグ
『普通に生きる』
一体なんのことを言っているのかと思うだろうが読んでその通りの意味だ。
そう、それは例えば僕達学生にとって。
朝起きて長い通学路を通う。
電車に揺られて好きな音楽を聞くなんかしてもいい。
学校につき同級生との他愛ない話をして授業を受ける。
難しい数学の問題を解いたり、
ノートをとるのに少し綺麗な字を使ってみたり、
居眠りなんかしてしまってもしょうがないだろう。
昼休みには友人たちと席をくっつけて弁当を食べる。
冷えた弁当箱の中身は冷凍食品だらけだけどハンバーグなんか入ってると嬉しいね。
午後の授業を受けてくたくたになってそれでも部活に行く。
待っていましたと言わんばかりに行くのもいいし、
行きたくねぇよ〜などと愚痴りながら行ってもいい。
そして家に帰ればベッドに横になり携帯を弄る。
夜ご飯を食べたあとは楽しみがたくさんだ。
やりかけのゲームをつけるのもいいし、
帰りがけに買ったマンガを読むのもいいだろう。
もちろんネット小説なんかもいいね。
そして急かされて風呂に入ってベッドに行き寝る。
それはなんてない日常なのだろう。
特筆することもなければ物語にだってなりやしない。
けれども。
多く人が普通だと思っていること、それは必ずしも誰かの普通では無い。
金を求める人、美を求める人、知を求める人。
そんな人々がいるように普通を求める人もいる。
普通を求めるたびに自分の異常に気付かされ心がすり減っていく、そんな不器用な人がいる。
そう。
だから僕は超能力を隠して生きることを選んだんだ。