ハウスダスト
その木の下には
何も無かったから
椅子を作り置いた
座れば
近くの小川から
蛍が飛んで
空間を彩り
流れ星と夜を踊った
昼間の木陰に
蝶が舞うから
蒲公英の隙間に
ダンゴムシを見つける
飛んで来たバッタが
肩に止まり
空間の中
風を動かして
時を止めた
豊かさにある
丁度、引っ張れる紐は
その時に
全てを渦にして
温かさを回転させる
並ぶ季節に
明暗のコントラスト
時間軸を無視して
その場の息も止まるが
全く苦しくない
美しさの向こう側に
触れたい物がある
届かないから
目で触れた
鳴いている夕方は
届いている声の主を探し
止んだり鳴ったり
繰り返しながらも
邪魔立てする
遊びの中に遊びがあるから
切り傷は
気にならない
朝方から暑い日に
扇風機に氷嚢付けて
風を貪るように飲んだ
麦茶の風味に
遠い面影を探して
結局、見つからず
データに頼る為に
アルバムを開く
何処かで見た物が
思い出せないのは
喉に刺さった
魚の骨と同じ
記憶にある
丁度、届かない紐は
その時に
早送りの思い出を
目の前で見せてくる
並ぶ顔に
明暗のセンチメンタル
気温を無視して
その場の時間を止めるが
盛大に動ける
懐かしさの向こう側に
出したい物がある
現れないから
耳で触れた