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猫はもう飼わない  作者: タン吉
5/10

公園の野良猫

 ミーの年齢は分からない。

 真っ白な毛並みで、それほどお婆ちゃん猫ではないようだった。

 餌になりそうな食材を冷蔵庫から持ち出して公園に通い、少しづつ手なづけた。人から餌は貰い慣れているようだった。

 そのうち、ベンチに座っていると、どこからともなく寄ってくるようになった。逆に姿を見せないと心配になったが、ベンチの後ろに黙ってうずくまっていたりして「そこにいたの」と声を掛けると「みー」と鳴いた。

 野良猫の平均寿命は5年だそうだ。

 主な死因は交通事故や猫同士の喧嘩による致命傷、猫エイズなど。ペットの家猫の寿命は15年以上だというから、野良はずいぶんと過酷な猫生を生きていることになる。

 僕はミーを家で飼ってやろうとしたのだが、連れて帰ろうとすると途中で立ち止まり公園に引き返してしまう。

 なんとか抱きかかえても公園を出たところで飛び降りて、僕を振り返りながら戻るのだった。

 その時の僕に向ける目は、まるで「ここでいいじゃない。ここで一緒に暮らそうよ」と僕を誘っているかのようだった。

この公園の人目に付かない一角で、野良猫のミーとひそかに生活するのもいいかなと、ふと思った。ただ憧れのように思っただけで、現実にはかなうことのないディズニーのアニメのような夢だった。

 僕はこの時、なぜか唐突にバイトに出ようと思った。理由はない。

 とにかく、このままじゃいけない。受験勉強に名を借りた、日向の野良猫のような無為な生活に決別しようと決めた。

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