⑧
何処に落とした記憶もない。
___入学早々無くした…?
再びソファーに倒れ込み、明日学校したら担任の元に行かないといけないという事に萎えながら僕は意識を飛ばしたのだった。
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「ん…」
上体を起こし、辺りを見渡すと明るかった部屋は真っ暗になっていた。
「やば、寝すぎた…」
まだ覚醒出来てない頭を何とか動かし、僕は部屋の電気を付け、風呂を沸かし、夕食の準備を始めた。
今日の夕食は簡単に野菜炒めと味噌汁にした。
小さい頃から料理は得意だった僕。
よく母さん達に美味しいと褒められたなと思い出しながら、手際よく料理を作る。
1人の夕食は寂しさを感じるが、僕は気にせずにいそいそと食べ終え、風呂に入った。
「今日は疲れたな…」
湯船に浸かりながら、今日の疲れを取る。
その時にふと今日のあの体育館での事を思い出した。
厳密にはあのアッシュカラーの男の事を。
___どうしたんだ、僕は。
何故あの男の事なんか思い出しているのか…僕は分からなかった。
何かあの男に惹かれるものがあったのだろうか。
考えても答えなんか見つかるはずもなく、僕は無理矢理頭から飛ばし、湯船から出た。