⑦
何分…いや、何秒と見つめていたのだろうか。
その間、周りの音や物が入ってこず、その男だけに僕は釘付けになっていた。
___な、何を僕は見つめていた…
一瞬にして、現実に戻った僕は足早にその場から遠ざかった。
その姿を見ている者がいたなんて知らずに…。
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「ただいまー」
誰も居ない家に挨拶をしながら入った僕は、リビングに鞄をその辺りに投げ捨てソファーに身を投げた。
僕は一人暮らしだ。
いや、本当の事を言うと両親は今海外に行っている。
自由人の2人は色んな世界を飛び立っていた。
別に嫌われているとかはなく、週に何回か連絡は来るし、たまに家にだって帰ってくる。
両親は僕に一緒に着いてくるかなんて、言っていたがそれを断ったのは僕。
流石に海外の高校を転々としたくないし、1人でも平気だった。
それを伝えると両親はすぐに納得もしてくれた。
まぁ…たまに母さんのご飯は食べたくなるけどね。
_____あれ?
ふと胸ポケットに手を当てると、あるはずの今日もらった生徒手帳が無かった。
ソファーから飛び起きて、あらゆるポケットや鞄の中を探すも一向に出てこない。