⑥
重い足取りで教室に帰ると、何人か見学を終えたのか帰宅する準備をしていた。
それを見て僕も帰宅するため、自分の席に迎い鞄を手にし、肩に掛けながら扉の方を足をUターンさせた。
その時に教室にいた数人の女子達が
「佐野先輩、かっこよかったねー」
「ほんとほんと!やばかった!」
と話をしていた。
___ほんと、女子はイケメンが好きだよな
なんて思いながら、僕は教室を後にした。
______
_________
_____________
校門を目指し歩いていると見覚えのある光景が目に入った。
そう…あの体育館に群がる女共。
帰るということは必然的に通り道であるあの五月蝿い体育館を通らなければいけない。
___まだ騒いでやんの。
五月蝿い女共から早く遠ざかる為に急ぎ足で体育館の横を通り過ぎようとした僕は、女子が騒ぐ正体が気になったのか。はたまた、見なければいけない何かを感じたのか…ふと、中なんて見える訳が無いのに体育館の中を覗いてしまった。
すると、女共のほんの小さな間から中の風景が目に入ってきた。
ちなみに、僕は自慢じゃないが両目の視力は2.0だ。
だから、中にいる人物が見えた。
そこには…バスケ部が練習をしている中に1人だけ、周りとは違う男がいた。
周りと同じようにバスケをして汗を流しているのに、何故か1人だけ雰囲気が違うアッシュカラーの男。
___あー、コイツか。
と、女共が騒いでいる正体を直感的に感じたが、何故か僕はその男から目が離せなかった。