第2話
後々加筆修正します。
「……え…」
目が覚めたら、医務室とか病院とか病室を想像していた雪乃は目の前の光景に絶句した。
ピチピチピチ…キョェーー
おかしな鳥かなにかのの鳴き声か叫び声だかがより一層現実味を無くしていく。
目の前に広がる光景は、恐ろしく背の高い木々の生えた森の中に大きな大樹を背凭れに座り込んでいるようだった。あたりは幻想的とも言っていいほどふわふわした光が漂っている。それに伴って囁き声が聞こえる。
瞬きをこれでもかというほど繰り返し、自問自答していくら考えてもこの状況がわからなかった。
「…え…いや、ここどこ…」
自身の声はいつもよりハスキーで低い声。
少し違和感を覚えるもの倒れたのだから、声がおかしくなっていても仕方ないかと思いなおす。しかし、自身の体を見て再び絶句し叫んだ。
「……はぁぁぁぁあっ!!!?」
これでも女。
ささやかにではあるがあったはずの胸がない。
慌てて見慣れない黒の長衣とシャツの中を覗き込む。
……変態なわけではない。
中にあったのは、程よく鍛えられ筋肉が満遍なくついた細身の体。よくよく見れば、手も女のそれとは違う節くれだったそれでいて綺麗な手だ。
極め付けは股間にはなれない異物の存在。気がついてしまえば冷や汗がたれる。流石にそこを確認する勇気はなく諦めた。
脇に置いてあった綺麗な刀身の剣は、多分この彼の物だろう。柄を握れば不思議と手に馴染む。
すっと一振り素振りを試してみても驚くほど刀身が軽い。
「うわぁ…。きれー」
一振りするごとにシャリンと鐘のなるような音が響き、キラキラ光る。戦隊モノのレッドとかが持ってそうな剣だ。
「…コレ、武器として使えるのかな…。剣だもんね、使えるよね。……じゃないっ!!やっぱここどこっ!!?」
ふわふわ浮いていた光が興味深そうに雪乃の周りを浮遊して集まってくる。
『あの…初めまして綺麗な男性。』
澄んだ鈴のなるような柔らかな声が四方八方から響いた。あたりに誰もいないからふわふわ浮遊している光だと思われるが、沢山ありすぎて誰がしゃべっているのかわからない。
「今喋っているのはどなた…?」
『全部だよ…!ボクたちは、“ネイヴァ”。この世界樹
の魔力凝固体がボクらだよ。ボクらは全部が一つ。世界樹の力が及ぶ場所ならどこにでもいるよ。』
男とも女とも言えない中性的な声は聞いていて心地いい。
魔力…?世界樹…?なにここ、なんかのゲームの世界ですか。
『ここどこって、叫んでいたよね?どうかしたの?』
彼らは興味本位で近づいてきたらしい。好奇心旺盛なことだ。
「この国がなんて言うか教えてくれない?」
『クニ…?…あぁ、ヒトの住んでるとこだね!ここは無の国にあたるよ。ほとんど人は入ってこれない聖域なんだよ』
だから、キミが初めてなんだ!
ボクら、遠くからしかヒトを見たことがないの!
ヒトってこんなに綺麗なんだね!
口々に喋るネイヴァは、ふわふわ浮き沈みして楽しそうな感情を伝えてくる。
「…綺麗?」
『うん!きみは綺麗な個体だよ』
鏡を見ていないからなんとも言えない。
そっか、とだけ相槌をうっておいた。
そして無の国なんてものは地球には、存在しないはずだ。それよりも魔力も世界樹すら無いだろう。
「……ここは、別の世界…?」
女から男になっている時点で疑うべき、異世界転移。夢のようにふわふわしてないし、しっかりと感触も五感すらはっきりしている今が夢だとは考えづらい。
そう考えてゾッとした。
では、今の雪乃の体はどうなった?
あちらの世界で倒れたはずだ。ちゃんと生きているのだろうか?
…自分の生死がわからないってどんな異世界転移だ。
死ぬはずだったとか、死んだ後とかじゃないのか。
デスゲームとかじゃあるまいし。
『…キミは、不思議な魂を持っているね』
考え込んでいたところに、ネイヴァの声が聞こえた。
「へ?」
『とても…冷たくてでもあったかい。そんな魂。』
いや、意味がわからんから。
冷たくてあったかいって。結局どっちなんだろう。
言い終えて満足したのか、ネイヴァはまたふよふよと辺りを漂い始めた。
…ん?ゲーム…?
「ステータス…」
小声でボソッと唱えてみた。
ネーム ????
種族 new! 現人神 獲得!
17代無の冷酷皇帝
付随能力 ネイヴァとの意思疎通etc
……
……
……
…………は?