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純文学・その他

海の誕生

 太古の昔、地球には海が無かった。生物は未だ生まれておらず、火山が噴火を繰り返していた。

 そんな地球に、ある時二匹の生物がやってきた。仮に、彼らをアヅマとイーヴェと呼ぼう。

 彼らは宇宙空間に適応し、酸素が無くても生きていける体を持っていた。

 双方共に超巨大。そして、ぐにぐにと異様に柔らかい。頭や胴体などが分かれておらず、いわば巨大なナメクジである。

 宇宙空間を漂ってきたアヅマが地球の引力に引かれて先に着地し、やや遅れてイーヴェも落ちてきた。

 やがて、二匹は共に暮らすようになった。


 ある日、彼らは喧嘩を始めた。

 些細なことで始まったその喧嘩は乱闘へと変わり、やがて生死を賭けた争いとなった。

 傷つき疲れきった彼らは、最後に奥の手を出すことを決意した。

 アヅマが自らの体内で作り出した強力な酸をイーヴェに吐きかけるのと同時に、イーヴェはアヅマに向けて、やはり体内で合成した強いアルカリ性物質を飛ばした。

 酸とアルカリはぶつかり合い、そして――――

 完全に中和した。

 残ったのは、舐めるとしょっぱいが無害な水溜まり。

 そして、睨み合うアヅマとイーヴェ。

 彼らは互いの意地をかけ、再び酸とアルカリをぶつけ合った。


 長い時をかけた争いは、決着のつかないまま終わった。

 地球の大半を覆うまでに広がった水溜まりが、その争いの激しさを物語っている。

 だが、そんな彼らも、遂に力尽きてしまった。

 彼らは同時に水の中へ倒れ、溶けてその水を豊かにした。

 ――こうして、海は生まれた。



※注: この物語はフィクションです。実在の生物、歴史的事実とは何の関わりもありません。

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