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「あら、間違えたわ」

女は、恵美に向かって疑問を発しておきながら、それをすぐに改めた。

そして、先に自己紹介をしないとねと言って、再び微笑んだ。

「私は、リディアよ。リディア シールド。リディアと呼んでもらって構わないわ。

あなたの名前も教えてもらえる?」

女―リディアに促され、恵美は唇を舐め、湿らせてから声を発した。


「私は、久留戸 恵美といいます」

「クルト エミ・・・」

リディアは少し眉を下げた。

「ねえ、クルト。あなた女の子よね?」

「はい、そうですけど・・・」

リディアのその様子に、恵美は肯定の言葉を言いながらも、思わず語尾が小さくなっていくのを感じた。


一つにまとめてあるが、髪は肩を超す長さがあるし、スカートだってはいている。

確かにリディアほど豊かではないが、胸だって人並みに膨らんでいる。

女以外のなんだというのか。



「そうよね。ごめんなさい。クルトなんて男の子の名前だと思っていたから、驚いてしまって。やっぱり文化の違いかしら。女の子につけることもあるのね」

リディアが納得顔で頷いているのを見て、恵美はようやくリディアの勘違いに気づいた。

「すみません。エミ クルトです。名前が恵美です。久留戸が姓になります」

恵美は、頭をリディアへ向かって下げた。リディアが、名を先に名乗ったのだからそうすべきだった。



リディアから返答がない。

そろりと顔を上げると、頭を下げた恵美に驚いたのか、リディアはじっと恵美を見つめていた。

「エミ クルトです」

恵美はもう一度リディアへ告げる。



「エミ クルト」と、リディアはその名を何度かつぶやいた後、突然声を出して笑った。鈴のように、ころころと笑うリディアに、恵美は、ぽかんと口を開けた。


「・・・リディアさん?あの、どうかされましたか?」

しばらく経ってもリディアが笑うのを止める様子がないのに気づき、逡巡の後、恵美は恐る恐る声をかけた。

恵美の声に、ようやくリディアは笑うのを止めた。蒼の瞳は、笑いすぎたせいだろう、若干うるんでいる。

「いいえ、エミ。なんでもないの」

リディアはそう言ったものの、すぐに笑いを含んだ声で、前言を撤回した。

「エミ。一つだけ言わせて頂戴」

視線で許可を求めてきたリディアに、恵美は小さく頷くことで返した。

その様子を見とめて、リディアは花のように鮮やかに顔をほころばせた。


「この度は、お慶び申し上げます」


「・・・なんのことでしょうか」


恵美は不審げな顔でリディアを見た。

お祝いを述べられるようなことなんて―ましてや初対面の人に―何もない。

そんな恵美の様子を見て、リディアはまた笑った。


なんだか、思ったより恵美がマイペースになっていっています。

リディアはもともとマイペースな人ですが・・・。

主要登場人物二人がマイペースなせいで、話がなかなか進んでくれません。

すみません。

こんな感じでゆっくりと話が進むと思っていただければと思います。

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