第5話 美咲ちゃんの不器用な告白
《姫百合 美咲》
爽浪、すげーかっこよくなったな。
「付き合ってほしいって言ったの誰だっけ?」
「え、俺…?」
「しっつこく毎日のように電話してきたの誰だっけ?」
「俺…」
「じゃあ、質問。拒否権はなし。何で急に電話してこなくなったの?」
ずっと聞きたかったコト。
ずっと聞きたくなかったコト。
「え、あーそれは…」
ヤメテ。イワナイデ。
恐い。
イヤだ……。
「姫百合に内緒でここに合格したら、どんな反応するか見たかったから…?」
え。
私は思わず顔をあげて
「は?何、そんなつまらない理由で……」
「つまらないとか言うなよ……」
爽浪はちょっと照れたようにしていた。
私はそんなつまらない理由で悩み続けてたのか。
確かに、付き合ってたわけじゃないけど、察しろよ。
私がお前のこと好きだってことくらい。
イライラする。
「じゃあ、罰ゲームターイム」
「…は?何急に」
「私と付き合って」
《爽浪 潤》
「私と付き合って」
一瞬言葉の意味が理解できなかった。
「拒否権は無しだかんな。罰ゲームだから、1ヶ月ぐらいか。1ヶ月私と付き合え」
姫百合は勝ち誇ったような顔をしていたけれど、俺にはそれのどこが罰ゲームなのかが謎だった。
え、ナニコレ。
あれか。期待させてから蹴り落とす、みたいな……。
「いや、拒否する理由が無さすぎて逆に困る……」
空耳か?
それとも全て幻想か?
「は?拒否権ないんだから、そんな理由なんて必要ないだろ」
「え、あ、うん…?」
「じゃあ、教室行くか。そういや、お前何組だったんだ?」
「C…だけど…」
「お、一緒だな」
笑顔の姫百合は可愛すぎて、俺が隣にいていいのか悩むぐらいだった。
「席、近くだといいな」
そう言って、姫百合はまた笑った。
「そうだな」
俺も笑って見せた。
潤くん、これは夢ですよ。((
そんな羨ましいこと……(