第3話 悠斗のキモチ・潤のキモチ
《真神 悠斗》
「じゃあ、私達も行こうか」
「そ…そーだな!」
さっきの姫百合は、今まで見たことないぐらい動揺していた。
いつも冷静な姫百合が乱れていた。
爽浪潤。
コイツと何があった……?
二人をこのまま置いていくのは気がひけたが、どうしようもない。
「悠斗、何大きな声出してんのさ」
優衣に指摘されて少し焦った。
「べ、別に!じゃ…じゃあ先行ってるからな!姫百合!」
必死に取り繕おうとしたせいで余計に不自然な態度になった。
俺ダサ……。
すると
「おぅ。サンキュ」
と姫百合は言った。
みんなが聞くとこうにしか聞こえないのだが、
「おぅ!サンキュ♡」
そう悠斗には聞こえた。
勿論俺は動揺したさ。
当たり前だ。
何であんな笑顔なんだ。
何であんな声なんだ。
何であんな可愛いんだよ~…………
「ゆ・う・と!戻ってこーい」
優衣の言葉は聞こえていなかった。
《爽浪 潤》
姫百合は俺の腕を引っ張って裏庭に連れて行った。
姫百合は黙ったまま何も言わない。
「姫百合……どうし…た…?」
最初に口を開いたのは俺。
姫百合は少しこちらを向くと、また下を向いた。
「姫百合…?」
姫百合は何も言わず俯いていた。
俺は笑顔を作ろうとしたが、ひきつってしまい、うまく出来なかった。
だって、姫百合の出すオーラが怖すぎて……。
俺はどうすれば……
俺がしどろもどろしていると、急に姫百合は顔を上げた。
かと想うと、ものすごい勢いで俺の胸ぐらをつかんだ。
「ぅお!な…何?!」
姫百合は何も言わない。ずっと俯いている。
泣いてる……?
俺は何も言わず、姫百合の言葉を待っていた。
姫百合は顔を上げると言葉を発した。
「……バーカ。バぁーーーーーカ!!」
え、
えー!マジで。
第一声それ?!
「爽浪…何か言うことあるだろ…?」
言うこと…とか言われても……
「ご……ごめん…」
それしか言えなかった。
姫百合は俺の胸ぐらをつかんでいた手を離した。
「何か言いたいことあるから呼んだんだろ?」
「ここ連れて来たの姫百合じゃん…」
「何か言ったか?」
「何も言ってません……」
俺は何を言えばいいかわからなくて、黙っていると
「じゃあ、私から先に言う」
そう言って俺の胸に顔をうずめた。
悠斗は結構お気に入りキャラ。
あの動揺の仕方が可愛い。。。。♡