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罰ゲーム  作者:
2/8

第2話 「俺は、爽浪潤だよ」

   《爽浪 潤》



俺は駆けだした。



掲示板の前には人だかりがあった。


かき分けて前の方に進む。


   ―――――――ドンッ!



「あ、すいません。」

「いや……怪我はないか?」


「うわ……美咲が優しい…。」

「珍しいな。気持ち悪っ」

「うるさい」


んん?

今美咲って言った…?


「姫百合……」


あ、しまった。


姫百合のことを気持ち悪いと言った男子Aは俺を、Lv.1でモンスター退治に行く馬鹿を見るような目で見てきた。


「すげー。姫百合の事いきなり呼び捨てとか…。ある意味尊敬。」

「この子見た事ないから、編入生…かな…?」

「確かにこの学校では見た事ない。が、どこか懐かしい気がする。気のせいか…?」

「美咲の名前はみんな知ってるでしょー。美人だし、目立つし、噂もしてるし、名前知ってるからって知り合いとは限らないよ」

「いや、そうじゃなくて…。とりあえず名前、聞いてもいいか?」



俺は、一段と大人っぽくなった姫百合に見惚れていた。

だから、いきなり名前を聞かれて焦った。


「美咲、失礼だよ。先にこちらから名乗るべき」

「あ、そか。えっと、私は姫百合美咲(ひめゆりみさき)

「で、私は美咲の友達の優衣。あ、藍沢優衣(あいざわゆい)ね」


優衣は悠斗に目で合図した。


「俺も…?」

「もっちろん」

「……真神悠斗(まがみゆうと)



「で、君の名前は?」


「あ、俺は……」


緊張してきた……。


もし俺が爽浪潤(さわなみじゅん)だと言ったら、姫百合はどうするだろう。

何で連絡してくれなかった、とか言ってくれるのかな。


姫百合、どんな反応を見せてくれる…?



「俺は…、爽浪潤だよ」



姫百合の反応は、一瞬目を見張りそのまま固まる、というものだった。







   《姫百合 美咲》


「何故か懐かしい気がする。」



気のせいだろうか。どこかで会った…のか?

無性に懐かしい。




そして、恋しい。





「俺は、爽浪潤だよ」





その言葉を聞いた時、まだ頭の中では処理出来ていなかった。

出来ていないというよりしたくなかった。


頭が真っ白になって、なにも考えられなくなった。


優衣がそれを察したのか、

「美咲、大丈夫?」

と、気遣ってくれた。



その一言でやっと頭の整理が出来た私は、


「じゃあ、優衣、真神。私は謎の少年Sに攫われた事にして、先に教室に行ってて」


「え、ちょ……待っ………!」


爽浪は慌てていた。


「了解、美咲!じゃあ、行こうか。」

「そ、そーだな!行くか!」

「悠斗、何大きな声出してんのさ」

「べ、別に!じゃあ、先行ってるからな、姫百合!」


「おぅ。サンキュ」




それから私は爽浪の方に向き直ると

「じゃあ、私達も行こっか」


と、不敵な笑みを浮かべて見せた。





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