「婚約破棄するなら返してください」
名前を借りました
フィクションです
「お前とは婚約破棄だ!」
浮気ばかりの婚約者バッファ・キルヒホッフが言った。
…わざわざ学園のパーティーで言わなくても良いのにね。
私ノア・フーリエは思った。
そんなに目立ちたいのかな?
バッファの隣には、泣きそうな顔の浮気相手のナンド・オームがいる。
浮気した結果、婚約者が邪魔になったので婚約破棄しますって、大々的に宣言してるの分からないのかな?
ま、良いか。もう我慢する事ないよね。
「婚約破棄するなら返してください」
私は言った。
「何だと?」
バッファが怪訝な顔をした。
「その顔も…」
私が言うと、美男だったバッファの顔が、ありきたりな顔になった。
ナンドをはじめ、周りの生徒達は二度見した。バッファは、見えないので分かっていない。
「魔力も」
私が言うと、バッファの膨大な魔力が、少しになった。
「お金も」
私が言うと、キルヒホッフ家の金庫からお金が無くなった。
「知識も」
私が言うと、バッファから学園で、自分で学習した内容以外が消えた。
成績1位だったのは、私から奪ったものだったのだ。誰も知らないが。
「筋肉も」
私が言うと、バッファは細マッチョだったのが、ヒョロヒョロになった。
ナンドが、後退った。
「え…?嘘…」
他の生徒も、後退った。
「健康も」
私が言うと、健康だったバッファが、顔色が悪くなる。
元は病弱だったのだ。
「さ…さよなら」
ナンドが逃げた。
「待ってくれ!」
バッファが呼ぶが、ナンドは振り返りもせず消えた。
「婚約破棄は…無しにしよう」
バッファが言う。寝言は寝てから言え。
「あ、もう婚約破棄の手続きしちゃいました」
私は笑顔で言った。
「は?」
バッファの目が点になった。
「貴方が婚約破棄だと言った時点で、婚約破棄の書類が作成され、当主様方がサインし、王宮に提出されました」
私は説明した。
「え?」
「婚約破棄しようとしているのが分かっていたので、当主様方に待機しててもらいました」
「え?」
「もう婚約破棄は覆りませんよ」
「どうして…?」
さすが、自己中心的男。
「私から何もかも奪っておいて、浮気して婚約破棄しようとするからです」
「お前は俺の事を好きだろう?」
都合の良い思考をするのね。
「まさか。我が家との事業の為だから仕方なく私の健康を差し上げたのに。調子に乗って美貌もお金も知識も寄越せと仰って…」
私はうんざりした顔をした。
「俺が好きだから喜んで俺にくれたんだろう?」
政略結婚だよ。
「自分に都合の良い思考しかできなくて羨ましいです。上位貴族だから断れなかっただけですよ」
「嘘だろう!?」
私から健康を奪っておいて、好き放題したくせに、よく言う。
「婚約破棄してくださりありがとうございます。これで健康に暮らせます」
「待ってくれ!」
「1度も私に感謝してくれませんでしたね。私を踏み台にして楽しかったですか?婚約破棄をしたのはご自分なので、これからはご自分の力でがんばってくださいね」
「婚約者なんだから当然だろ?」
「婚約者の義務を果たさず浮気しましたよね?」
「男は浮気するものだろう?」
「人の健康を奪って浮気ですか。良いご身分ですね」
何を言っても墓穴を掘る。ウケるんですけど。
「いい加減にしろ!恥さらしめ!お前は領地に閉じ込める!」
バッファの父が言った。親は、まともな人で良かった。
「父上!待ってください!」
「ノア嬢、今まで申し訳なかった。後で慰謝料を渡す」
たぶんお金無いと思うけど。
バッファを連れ帰ったので、静かになった。
「婚約破棄おめでとう」
事情を知る幼馴染が声を掛けてきた。
「ありがとう!」
私は良い笑顔で応えた。
「今まで大変だったね」
「本当に。でも、これからは健康に生きられる〜嬉しい!」
「じゃあ、ケーキでも食べに行かない?」
「行こっか」
「行こ!」
パーティーを抜け出して、幼馴染と2人でカフェにケーキを食べに行った。
婚約してから、胃もたれして食べられなかったケーキ。
数年振りに食べたケーキは美味しかった。
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