表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

雪原

作者: 綴 詠士
掲載日:2026/02/17

「ロア!? つかま……」

 

 仲間の声は最後まで聞き取れなかった。身体はどんどん落ちていく。

 

 雪の女王の呪いにより凍り付いた街を救うため、仲間と共に雪の女王の霊廟に来ていた。


 だが霊廟の探索中、ある部屋で床が崩れ、一人で部屋にいた俺は無様にも落ちてしまった。

 

 落ちながらも上に見える穴を見つめ、それが遠ざかっていくのを呆然と見つめる。

 

 そして冷たい衝撃がやってくる。

 

 氷水の中に落ちた。

 

 全身が焼けるように冷たい。

 

 頭が混乱する。

 

 水? 地下水か?

 

 溺れないように必死に浮こうとする。

 

 そして水上に顔を出す。

 

「あば! はあ、はあ」

 

 必死に足を動かして沈まないようにしつつ、周囲を見る。

 

 近くに白い岸が見えた。

 

 俺は無我夢中でそっちまで泳ぐ。

 

 そして凍えて沈みそうになりながらも必死に岸にたどり着く。

 

「はあ、はあ」

 

 どうにか岸の上に行くと、そのまま転がる。

 

「死ぬかと思った……」

 

 荒い息が止まらない。

 

 あおむけで倒れていると、夜空が見える。

 

 星々が輝き、遠くには赤い光の帯が走っているのが見える。

 

 あんなもの生まれて初めて見た。

 

 思わず上体を起こすと、周囲が雪に覆われていることに気が付く。

 

 白い雪原が広がっている。

 

 俺が落ちたのは雪原にある湖だったようだ。

 

 湖の大部分は凍り付いていて、偶々落ちた場所に氷が無かっただけのようだ。


 吐く息が白い。体が冷える。

 

「……」

 

 そこまで理解して俺の思考も凍り付く。

 

「どこだ、ここ?」

 

 霊廟の床から落ちたはずだ。

 

 地下にいるのかと思いきや、雪原の中にいる。

 

 一体何が起こっている?


 混乱していると、急に瞼が重くなってきた。


 目の前が暗くなり、慌てて目を見開いて頬を叩く。痛みで意識が少し戻る。


「やばいな、急に眠くなってきた」


 なんでこんな状況で?


 疑問ばかりだが立ち上がろうとする。だけど体は動かなかった。


 力が入らない。寒い。体が重く氷のように固まっている。


 あおむけで雪原に倒れる。


 月のない夜空は煌びやかで美しい。


 目の前が暗くなった。


「女王の眠りを妨げる愚か者に死を」


 頭に声が響く。


 俺はその声を聴き、意識が薄れていく。


 凍り付いた街のことだけが頭から離れなかった。





他の掌編、短編は作者ページへ。気に入ったらブクマ/評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ