95話
ブルーサラマンダーの最後の断末魔。
死力を使い果たしシリウスたちは、その場に座り込む。
霧散を逃れた青白い星屑は、一つに纏まり20センチの青い魔石となり地面に転がる。
勝利を讃えようと拍手しようとした時。
天井に漂っていた白いモヤは、雫が落ちるように床に溢れ水たまりを作る。
水たまりは、スライムのように形状を変え徐々に女性の形を変化していく。
その水人間は、ブルーサラマンダーの魔石を拾い上げる。
「結局、勇者に覚醒できませんでしたか。仕方ありませんね。第二ラウンドと行きましょうか!」
俺たち。いやロイドを見てそう言って魔石を握り潰すと砕かれた魔石は、青い星屑の海を生み出し部屋全体を包む。
「あれは――やばい!」
避難させようと振り向くがすでに遅かった。
星屑たちは、集まり青紫の星を産み落としすぐさまに羽化する。
産まれたのは、白いカラスのような羽に絹のような白い肌、透き通った空色の瞳、金を溶かし川のような流れた長髪。天使の証とも呼べる天使の輪が頭上にある。――天使が産まれてしまった。
全てが見透かされたかのような不思議な感覚。恐怖を覚え自然と一歩下がってしまった。
瞬きをした瞬間。
天使の拳が目前にあった。避ける暇もなく俺は、吹き飛ばされる。
反応すら出来ず地面を転がる。
立ち上がりすぐさまに紫電を抜刀する。
俺を殴り飛ばすと天使は、俺に興味が無くなったのかロイドを見つめていた。
水人間は、拍手を送っていた。
「いいざまね。 少しスカッとしたわ。 さてと勇者を目覚めされるには、天使を使わないとね。ふっふ。」
水人間は、鼻で笑い。指を鳴らすと天使、ロイド、シリウス、シャルル様の姿が消えていた。
「お兄様!! シャルル! 貴女は何をしたのですか?!」
モニカ様は、杖の先を水人間に向け敵対行動を取る。
水人間は、呆れたかのようにモニカ様を見下すように見ていた。
「彼らね。別次元に送ったわ。ロイドを勇者に覚醒されるためにね。――さて私は、貴方に用があるのよ。」
水人間は、俺を指差す。
この水人間には、見覚えがない。敵対した覚えのない。ゼノスの仲間可能性がある。敵ってことでいいのか。ロイドが勇者だと知っているってことは、ネコたちの仲間なのか。
「貴女は、誰ですか!」
紫電を刃先を向け強気にそう質問する。
「・・・はぁ。そっか。なるほど。私を知らないのか。・・・じゃあ。あのキャラストーリーは、やってないのか。知らなくて当然ね。まぁいいわ。自己紹介をしてあげましょう。私は、水の大精霊のアクア。別に覚えなくていいわよ。」
ウンディーネ? ってことは、こいつ。勇者が使役する精霊の一体で学園入学当初から使役することが出来ていた精霊じゃんか。
あ、今のロイドは、精霊使役してない。もしかしなくてもこいつ、俺を恨んでるよね。
確かこいつ。ロイドのことめっちゃラブだったよね。ヤンデレだったよね。
「あら? どうしたの? 顔、真っ青じゃない? もしかして思い出した?」
「いや、そ、その〜。」
「安心して恨んでないわよ。でもね、あの子が勇者として目覚めてないことだけは、恨んでるからね?」
「え、あの」
「大丈夫よ。何もしなくて私が目覚めさせるからね?――アンタは、そこで大人しくしてなさい」
アクアの恐喝に俺は自然とその場で正座してしまった。そんな俺にモニカ様たちは、困惑していた。




