88話
シリウスたちと共に雷光の魔宮内に入る。
真っ白なタイル。真っ白な継ぎ目のない壁。等間隔に雷のマークが描かれている。光源が無いにも関わらず魔宮内は、真昼のように明るい。
一本道が奥まで続き、その先はここからは遠すぎて、確認できない。
敵の反応は、まだ無い。
周囲を警戒し武器を構えるロイドとシリウス。
恐怖からモニカ様とシャルル様は、俺を盾にするように俺の背後から顔を出している。
「モニカ様、シャルル様。まだ大丈夫ですよ。ここは、セーフティーゾーンですから」
「わかっているのですが。不気味です。」
「そうよ。いつ出てくるか。わかりませんもの」
二人は、いつエンカウントするかわからないモンスターに怯えていた。
邪魔になりそうなシリウスたちが持っていた戦闘には、いらないリュックなどは、亜空間収納に入れといた。
ゆっくりと進む俺たち。
先頭は、ロイド。次にシリウス。その後ろに俺たち。さらに背後を守る騎士たち。
何かに気づいたシリウスは、不安そうに俺を見る。
「シリウス。どうしました?」
「その顔は、モンスターがいるという事だな。」
何を言っているんだろうか。前方にモンスターの気配とか感じていないんだからね。・・・我ながら男のツンデレは、ダメだな。うん。正直に言うか。
「あ、はい。来てますよ。総数は、2体かな。」
「皆! 戦闘準備!」
シリウスの合図に合わせて各々は、武器を構える。後ろにいた騎士たちも何故か武器を構える。
人間サイズのトカゲが二足歩行し左手には盾、右手には曲剣を持ったリザードマンと呼ばれるモンスターが2体現れた。
俺は、静かに騎士たちの後ろに行き、椅子とテーブルを出してお茶の準備をする。
「英雄殿! 貴方も戦闘に参加してください!」
お茶の準備をしている俺に慌てた騎士がそう声をかける。
「え?。リザードマンに負けるようなら資格ないでしょ。」
「しかし。」
「騎士の皆さんもシリウスたちの戦闘を見ていてください。そうじゃないと意味がないので。それに過剰戦力は、返ってダメですから」
騎士たちは、不安そうにシリウスたちを見て武器を納めた。
一方、シリウスたちは、後ろの状況が把握している余裕は、なかった。
一体のリザードマンは、シリウスたちに気づき曲剣を振り上げながら先頭にいたロイドに向かって走り出す。
「モニカ! 魔法の詠唱を開始! シャルルは、モニカの援護! ロイドは、そのまま、リザードマンの注意を引いてくれ! 俺は、後ろにいるリザードマンの注意を引く! 各自、行動開始!」
「お兄様!わかりました」「了解です」「わかったわ」
モニカ様は、杖を前方に突き出し目を瞑り魔法の詠唱を開始した。
モニカ様を守るようにモニカ様の前方に出て盾を構えるシャルル様。
ロイドは、剣でリザードマンの攻撃をいなし、反撃に出るも盾で防がれてしまう。
もう一体のリザードマンもロイドに攻撃しようと曲剣を振り下ろす。
シリウスは、レイピアでリザードマンの右手を刺しロイドに向けられた攻撃を防いだ。
その事で激昂したリザードマンは、シリウスに突進するがヒョイッと身体を捻り動かしリザードマンの突進を躱しリザードマンの胴体に向けて突きを放つ。
しかし、リザードマンの硬い鱗に阻まれシリウスの攻撃が通らない。
「硬いな。これが神殿のモンスターか」
リザードマンは、振り返りシリウスを睨みつける。シリウスは、臆する事なく一歩踏み込んで突きの連撃を放つ。
その攻撃に合わせるようにリザードマンは、盾で防ぎながらシリウスに近づく。
シリウスの攻撃が止んだ。僅かな時間。リザードマンは、身体を捻り尾で鞭のように強烈な一撃をシリウスの脇腹に直撃させ吹き飛ばす。
勝ちを確信したのかリザードマンは、横たわるシリウスを蔑んだように笑う。




