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サンガリオン  作者: 白野シャチ
二章 学園と勇者

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76話

 支店から出る際。支店長から例の物を貰い俺たちは、学生寮へと帰宅した。

 学生寮の自分の部屋で支店長から貰った物をベッドの上に置き、包み紙を綺麗に剥くと漆が塗られた檜の長方形の箱。


「やべ。テンション上がる。」

 

 慎重に箱を開ける。厳重に梱包された黒い刀を両手で優しく取り出す。

 黒を基調に稲妻のような赤紫のラインが入った鞘。装飾がシンプルなデザインの鍔。黒母材に赤紫の柄糸が巻かれた柄。

 この刀の名は、『紫電』。

 俺が四年前に名匠、ガジルに頼み込んで鍛えてもらった一本。

 この日を待ち遠しにしていた。それが今、俺の手元にある。興奮が冷めることを知らない。


「刀身。見てみるか。」


 スッと鞘から抜ける刀。

 幾重にも鍛錬されただろう刀身。

 刀の美しさを目玉とも呼べる刃文は、白い半円と黒い半円が交互に連続して凹凸のある形を描いている。互の目(ぐのめ)と呼ばれる刃文である。

 そのあまりの美しさに時を忘れてしまった。

 試し斬りをしたい気持ちを抑え就寝した。

 翌日の早朝。紫電を携えいつものランニングと鍛錬を終え学園の探索がてらぶらぶらと散歩していると背後に視線を感じ振り向くとロイドが走っていた。

 会釈を交わしロイドは、走って行ってしまった。

 魔力を身体に循環させながらリズムよく走っていた。


「・・・あれが『勇者』。まだ魔力量は俺の方が多いけど一切の無駄無く身体に魔力を流している。」


 今日の実践講習が楽しみだ。どれだけ強いのだろう。にしても魔力の纏い方がレオに似ている。まさかね。

 冷たい風が吹き身体が震える。

 春とはいえ、まだ寒い。さっさと帰るか。

 木の影からリアらしき人物が俺を見ていた。


「リアさんどうしました?」


 スッと影から出てくるリアは、一枚の紙を俺に差し出した。


「例の報告書です」

「ありがとうございます。」


 報告書

 『シャードデーモン』だと思われる痕跡を確認。生徒と接触した可能性が高い。

 『サンガリオン』について、伝承にそれらしき情報を確認。しかし文献などの物的証拠がないため、詳細をまとめ後日報告する。

 『強欲の王』について、ゴブリンたちを集め群を形成中。なお現在も群を拡大中。我々、『月影』では、これ以上の調査は、危険と判断し不可能と断定。ゴブリン数体に魔痕をつけ安全圏から群の追跡を行っている。


「んー。リアさん。例の伝承は、そのまま進めてください。奴らの調査については、命の危険を感じたらすぐに任務を無視して逃げろと伝えてください。」

「了解しました。生徒の調査もした方がよろしいですね?」

「頼みます。おそらくですが証拠は、出てこないと思います。相手は、神出鬼没の悪魔なのですから。あと。無茶だけは、しないでくださいね」

「了解しました。では、伝えてきます。」


 そう言ってリアは、影の中へと消えていった。


「さて、紫電の試し斬りに行きますか!・・・いや、やめとこ。僕のことだから絶対、宝具神殿に行くだろうしね。今、我慢だ」


 拳を強く握り、朝日で美しい青空を見上げて我慢する。

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