74話
クレイドル商会の支店。
お客様たちを混乱させないために裏口の扉を開ける。
そこには、ここの支店長が出迎えていた。
「ようこそ。シリウス様、モニカ様、シャルル様。ルクス様。ワタクシは、この支店を任されているジカルと申します。以後お見知り置きを。何かお困りごとがあればワタクシ目にお申し付けください。」
「ジカルか。よろしく。オレは、シリウスだ。」
ジカルとシリウスは、握手を交わすとジカルは、応接室へと俺たちを案内した。
ソファに座ると女性店員が試作品の珈琲を差し出した。
「こちら、珈琲です。もしよろしければ砂糖とミルクをお使いください」
コップに黒い液体。豆の香りが鼻腔を擽る。
俺は、その珈琲を躊躇いなく一口飲む。
シリウスたちは、飲んでいることをガン見していた。ジカルに至っては、かなり緊張しているようだ。
珈琲の豊かな香りが口内を巡り、珈琲の独特な苦味と若干のエグ味。しかし、最初に比べれば十分に美味い。まだ改良の余地あるな。
「ジカルさん。うまくいったのですね。雑味がまだありますが美味いです。」
その一言でジカルは、胸を撫で下ろす。
シリウスも俺に倣い珈琲を飲む。一瞬、顔を歪ませたが目が開き何処か優しい雰囲気を出した。
「これが珈琲。美味いな。かなり苦いがそこがいい。コクと香りが特にいい。今まで飲んだことのない味だ!」
モニカ様とシャルル様は顔を見合わせて頷き珈琲を一口運ぶ。あまりの苦さで口を押さえるモニカ様とは、対象的で美味しそうに飲むシャルル様。
「モニカ様。砂糖とミルクをお使いください。砂糖はこの小瓶に入っていますので。」
小瓶を開ける。シリウスたちは、驚いていた。
真っ白な上質な砂糖。クレイドル商会の自慢の一品。前世の日本の砂糖を再現するのに時間と金がかかってしまったが最高の一品が完成したから満足している。
「なるほど。これは貴族向けと言うことか」
「いえ。一般用ですが?」
「これが?」
「はい。」
「この砂糖は、王家献上品だよな?」
「これとは、別な物になりますね。王家に献上しているのは、もう少しグレードの高い物ですし。」
「――これでも十分献上品して出せる品だぞ」
シリウスは。小瓶を突き出して俺にそう言った。
「そうかもしれませんがこれよりも貴重な砂糖ですし。あっちの方がもっといい砂糖ですから」
「お前の価値観はどうなっているんだ。これほどの物を一般用にするなど?」
「それでもなかなか高いんですよ。まあ。その小瓶で銀貨2〜4枚ですが」
何言ってんだこいつと言う目で見ないで下さい。
「安すぎないか?」
「そうですかね。結構、量産できるようになってるので作り方も公開してますし」
「作り方を公開しているだと!」
「え?そうしない。世界経済おかしくなるじゃないですか。」
「お前とこの会話やめよう。こっちが頭痛くなる。」
レシピ公開したのそんなに不味かったかな。いや、いちいちスパイ来られても面倒だしレシピ盗まれるぐらいなら公開した方が価値下がるし。それにレシピ通りに質のいい砂糖が作れるかは、別問題だしね。
「全く。お前というやつは。――」
それから俺は、シリウスの謎のお説教タイムへと突入したのだった。
その光景をつまみにしてモニカ様たちは、プリンを召し上がっていやがった。




