70話
今日は、いよいよ入学式だ。
朝一で宿をあとにして学生寮へと向かう。多くの学生たちが立派な学生寮に集まっていた。
学生寮に入る順番待ちをしていると貴族らしい男子生徒は、堂々順番を抜かし学生寮へと入っていた。周りの人たちは、陰口を言う。
アイツみたいな奴がいるから貴族の評判が悪くなるんだよなあ。
「グラスト男爵家の長男か。あと男爵にクレームを入れますか」
振り向くと桃色に近い赤色の綺麗な髪、凛とした整った顔、すらっとした体型。まさしくイケメンだ。絶賛のイケメンと言っても良いほど顔が整っている。モニカ様に似ている気がする。あれ?。このお方、シリウス様じゃん。
「初めまして。シリウス様。ルクス・ドラニクルです。お見知り置きを。」
貴族らしくお辞儀する。正直、冷や汗が止まらない。
「初めまして。ルクス君。君の評判は聞いているよ。今後ともよろしくな。」
「は、はい。」
握手を交わす。
「ところでシリウス様は、何故お並びになってらっしゃるのでしょうか?」
「何を言う。王族である前に私は、この学園の生徒だ。ちゃんと並ばなければならないだろ?」
立派な人だ。しっかりと信念という芯がありそうだ。
「子爵家であるキミも並んでいるじゃないか。」
「はい。僕が偉いわけではないので」
「ほう。弁えているようだな。冒険者は、横暴な輩が多いと聞いていたがキミは、違うよだな。立派なことだ」
シリウス様は、そう言うと企んでいるような微笑みを見せる。何だろ。直感でこの人に深く関わるな、大変な目に遭うと言っている。
「ルクス君。どうした?」
「いえ。何でもございません」
「学友としてこれからよろしく頼むぞ」
イケメンが微笑むとドキッとしてしまった。だがこのトキメキは、恋ではない。恐怖。そうだこれは、恐怖だ。
その時だった。俺の番が回ってきた。よかった。逃げられる。
「では、この辺でお暇します」
「あ。またな。」
俺はシリウス様にお辞儀して学生寮に入る。
国立アルフォード英雄学園は、全寮制であり一人一部屋が与えられる。割と豪華であるだが身分に関係なく同じ学生寮になるため、平民と貴族のいざこざが絶えない。
自室に入るとすでに家から送っていた荷物が届いていた。荷物を置いて制服に着替え、入学式が行われる体育館へと向かう。
体育館へと続く道には、金髪の少年が桜並木を眺めていた。一枚の絵と思える風景が広がっていた。
俺に気づき会釈をして少年は、体育館へと向かっていた。
アイツ。どっかで見覚えがある。誰だっけ?。




