69話
バリアドホーク公爵家の別荘。
会談室でシャルルとモニカ、ルンデルが会話をしていた。議題は、ルクスの実力についてだった。
「やはり、あの噂は、嘘でしたね」
モニカは、嬉しそうにそう言った。
ルクスは、本当は、弱いという噂が流れていた。しかし、モニカたちは、ルクスが戦っていることを間近で見ていたため、その噂は、デマだと確信した。
シャルルは、紅茶を飲んでモニカの喜んでいる姿を見て微笑んでいた。
「モニカ様。あの実力です。敵に回ったら厄介ですよ」
「そうですね。だから私と結婚すればその事も気にしなくて済みます!私!この学園生活でルクス様を落として見せます!」
モニカは、立ち上がり拳を天高く上げる。シャルルは、そんなモニカを見てため息をつく。
何かに気づいたモニカは、スッとテンションを落とし窓を開けると黒づくめの女性が窓から入ってきてモニカの目の前で片膝をついて敬意の姿勢を取った。敵だと考えたルンデルは「何奴!」と叫び剣を構えようと剣に手を掛けたがシャルルに停止させられる。
「ルンデル。武器は抜かないように彼女は敵ではありません。王族の情報特務機関『烏』。さて。烏さん。どうでしたか。ルクス様の様子は?」
「申し訳ございません。気づかれました。」
「そ、そうはずはありませんわ。貴女の宝具が起動すれば存在そのものを認知出来なくなるはず」
モニカは、口を両手で塞ぎ驚いていた。烏が所有する宝具『隠者の指』。効果、存在を認知することが出来なくなるという隠密に特化した宝具。その持続時間は、魔力が無くなるまで。しかし、触れられると効果はその場で消滅する。
認識阻害に近い能力のため、足音や視線、空気の流れなどの気配で気づく者たちも存在する。
「はい。その通りです。」
「なるほど。いつから気付かれていたのですか?」
「それが恐らく初めからです。」
「え?詳しくお願いしますわ!」
「はい。モニカ様たちが野盗に襲われてその音に気づきたルクス様たちは、馬車を降りてモニカ様達元へと走り始めてルクス様は、すぐに私の視線に気づき一瞬ですが目が合ったのです。それから彼は、私たちに気づきながらも敵ではないと判断したようで警戒はしつつも敵は、全く向けなかったのですが宿を監視していたところ流石の彼も気疲れしたようで殺気を私に向けて飛ばしてきたのです。」
その発言に皆、凍りつく。
モニカは、悟った。ルクスは、モニカ達にも自分の実力を試されているとに気づいていた。もしかすると手を抜いていた可能性が高い。
実力を測りきれなかったと自覚したモニカは、喜んだ。まさしくルクスは、勇者だと確信した。
一方、シャルルやルンデルは、ルクスを恐れた。敵対すれば間違いなく負ける。
同時に隠密に長けた『烏』にすら気づく洞察力に野盗たちを一人で殲滅出来る戦闘力を持った逸材を逃したくないという考えが頭を過ぎる。
その様子を影に隠れたリアが聞いていた。
「そうでしたか。ルクス様の学園生活は、荒れそうですね。」
そう呟いてリアは、闇に消えた。




