62話
目を覚ますと真っ白い空間にいた。
俺、ルクスの姿では、前世の俺の姿で身体は透けていた。
夢だと決めつけて周りを探索する。
一つ分かったのは、ここが月だということその証拠に今の場所から地球が見えるからだ。
「夢か。何で月?。風景は白いし。宇宙って黒いんじゃないの?」
「そうですね。ここは、月ですが貴方がいた世界とは、違いますね。」
目の前にフッと現れた知らない人が俺の問いに答えてくれた。
性別不明な人がそこにいた。顔も認識できずその姿はぼんやりとしていた。
「ようやく会えましたね。切り札。いえ、ルクスさん。」
「貴方は?」
「私ですか。私はネコと言います。お見知り置きよ。」
「ネコさんですか。どっかで聞いたような。」
「レオ君から聞いたのではないでしょうか?」
「そうですか。」
なんだ。この人。普通なら怖いと思うはずが全く怖くない。それに俺は、この人を知っている。何故だろうか。とりあえず怪しい人物で間違い無いだろう。
「まぁまぁ。そう警戒しないでください。」
「・・・ネコさんが俺、ここに呼んだんですよね?」
「まぁ。そうですね。貴方に伝えたいことがありまして」
なんだろう。あ、この人、神様的存在で俺がロイドのシナリオの妨害したことの件で呼び出したのか。そ、そうだろうな。やべ、どうしよう。ロイドは、勇者として覚醒したのだろうか。わからない。あ、その前に屋敷燃えてたけどみんなは、無事なのだろうか。
「・・・衛兵長以外は皆さん。無事ですよ。」
「え?」
衛兵長以外は、か。そうだよな。あの傷では。俺がもっと強ければ。悔いてもしかない。あの人に・・・。俺死んで無いよね?。あの世界って魔力無くなったら死ぬじゃなかったけ。やばくね。え。俺、死んだ!。
ネコは、呆れたような雰囲気を醸し出してポリポリっと頬を掻く。
「あのですね。まず、貴方は、死んでません。あとそろそろこっちの話いいですか?」
「・・・え?心の声、聞こえんの?。」
「まぁ。はい。・・・勇者は、覚醒していませんので私たちの計画がズレました。そこで貴方には、これから復活、もしくは、グリードのように新たに誕生するであろう魔王の配下『七つの大罪の王』の討伐を依頼します。」
グリードって強欲の王のことだよな。あれって討伐イベントあったな。結構強かったのような思い出がある。あ、思い出した。ワールドクエストと呼ばれる大規模な討伐イベント『七大魔王』。傲慢、強欲、色欲、嫉妬、憤怒、暴食、怠惰に関する王がワールドに出現し大規模なレイドバトルが楽しめたクエストだ。
それもこの世界にあるのか。てっきりロイドのストーリーだけかと思っていたけど。
「・・・報酬は?」
「そうだな。キミの欲しいものをあげよう」
「未知の宝具でお願いします!!」
そう即答するとネコは、「え?」っと呟いて一歩下がってしまった。何故だ。高難易度のクエストなら未知の宝具が報酬でもおかしく無いだろ。
「ゴホン。いいでしょう。キミの知らない宝具にしましょう。それと神器シリーズは、七つの大罪と魔王以外には使用を禁じます。というか封印します。強すぎるので」
「え?神器シリーズの封印はいやですけど」
何言ってんだこいつという視線を送らないでください。怖いです。確かに強いけど。ツクヨミは、俺の愛刀なんだ。黙って封印なんてさせるかよ!。
「ダメです。」「嫌です!」という超絶無駄なやり取りを体感で二時間ほど続けた。
「はぁ。はぁ。嫌です。ツクヨミだけは、封印しないで」
「仕方ありません。」
ネコは、手を前に出し手のひらを広げると星屑たちが集まりツクヨミと似た刀を整形した。
俺の知らない言語で何かを唱えると作られた刀に何かを付与した。
その刀を俺に差し出した。
「この刀は、ツクヨミのレプリカです。宝具戦技は、使えませんがこの刀を使いこなせればツクヨミ以上の宝具戦技似た技を使用することができるでしょ。これを渡しますので神器シリーズは、封印させてください。あ、もちろん。奴らを討伐する時は、封印を一時的に解除しますのでどうかお願いします」
う。この刀。使ってみた。レプリカなら普段使いも出来ると思う。ど、どうしよう。
俺は、震えながらツクヨミのレプリカを受け取る。
「し、仕方あ、ありません。の、乗って上げましょう。」
「ありがとうございます。ではでは早速、封印しましょう。」
何かの呪文を唱える。
ガッチャンという音が脳内に響く。
貰った刀を仕舞いつつ、念のため、亜空間収納を漁る。何か宝具全部、引き出せなくなってるんだけど。
俺は、じぃーっとネコを睨み付けるとそっぽを向いた。こいつ。やりやがった。いいよ。こうなったら宝具また、集めてやる。
「そのですね。あのですね。貴方が集めた宝具は、どれもパワーバランスが崩れるので使用禁止としました。」
「・・・事後報告ですか。そうですか。」
「睨み付けないでくださいよ。いつも着けている仮面とローブは、封印していませんからね。」
パワーバランスか。ゲームじゃないんだから。でも確かにチートクラスが何個もあるし。
「まぁ。そういうわけですねぇ。では、依頼の方も頼みますね。」
「依頼以外にあるの?」
「え。まぁ。勇者ロイドの件ですよ。貴方はいずれ合うことになります。彼を。いえ、彼らを頼みます。守ってくださいね。」
半透明だった俺の身体は、さらに薄くなり身体の一部は、徐々に星屑となって頭上にある地球へと昇っていく。
「もー時間ですか。貴方とは、また合うことになります。そのときにまたお話ししましょ。」
「また合うの?え?」
その言葉を最後に俺の意識は、そこで途切れた。
そして、この出会いが『サンガリオン』とこの世界の真実を知るきっかけになるとは、思いもしなかった。




