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サンガリオン  作者: 白野シャチ
一章 疫病と強欲の王

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61話

 爆炎の中。

 このままいけばゴブリンロードは、何も成さず死ぬと実感し貪欲に強さを求めた。

 立てるはずのない身体で立ち上がる。身体が崩れていることを気にせず力を欲する余り、目前で満身創痍のレオに手を伸ばす、レオを守らんとレオの前に立ちはだかる金髪の少年。

 創造主から「勇者を殺せ」という命令を実行する為に強欲に力が欲しいと願ったゴブリンロードは、自分の焼く忌々しい爆炎を空気を吸うように口から吸収する。

 吸収される炎を見てまずいと思った冒険者たちは急いでゴブリンロードを討伐しようと近づこうとするが爆炎の熱で近づくことができない。

 周囲の者たちは見ることしかできなかった。

 爆炎が全て吸収されるとゴブリンロードの身体が黒煙が上がりその姿を隠してしまう。

 まるで天がゴブリンロードを祝福するかのように陽の光がゴブリンロードを照らす。

 黒煙が消えると姿を現した。筋骨隆々で長身の男、額から赤黒い不気味なツノが生えた人型。そうまさしくその姿は、鬼。

 そう、ゴブリンロードは、進化を果たしてしまったのだ。

 ゴブリンロードの果てなき力を欲する思い。欲望が身体の底から湧き出てくる。それと同時にかつてないほど魔力が溢れてくるが至って冷静だった。その力を振るってみたいと思うがレオに宿っていた何かにすら興味が薄れレオたちと戦っても満足することは出来ないと直感していた。

 最悪な状況にも関わらず一人の拍手が鳴り響く。

 その音の方向、壊れた壁に周囲の人たちの視線が集まる。そこには、ゴブリンロードよりも禍々しいオーラ纏った人型のモンスター。


「ついに至りましたか!我らが新しき仲間よ!強欲の王(グリード)よ!」

「貴様は?誰だ?!」

「私ですか。私ですよね?。私は、とある神に仕えている悪魔、シャードデーモンの『ゼノス』と申します。お見知り置きよ。」


 ゼノスは、深々と一礼すると一瞬消え、レオの前に現れた。


「なるほど。・・・あのモノの気配を感じますね。ですがこの程度なら大丈夫でしょう。今回は見逃しましょ。・・・引きますよ。強欲の王。」

「ゼノス。何故だ。その者たちを殺さないのか」


 ゴブリンロード。強欲の王は、レオたちを指差すがゼノスは、頷いた。

 

「ええ。ここで彼らを殺してもあの異物が我々を殺しにくるでしょうしね。」

「ならそいつを殺せばいい」

「それが出来たら苦労しませんよ。私の分身体が手も足も出なかったんですよ。進化なりたての貴方と分身体である私で倒れるわけないじゃないですか。あの異物がチートすぎるんですよ。意味わかんないでしょ。何ですかあの武器たち。あの異物だけ情報あっても意味なさなかったですし。」


 ゼノスは、強欲の王にゆっくりと近づく。、


「それに異物は彼以外にもおりますしね。『バリア』っと」


 太陽に手を伸ばし掌を広げると強欲の王の背後を守るように薄く半透明な板を召喚した。 

 その時。

 キーンっと金属音が鳴り響く。半透明な板に亀裂が入る。

 ゼノスたちの頭上を何が通り、レオたちの前へと着地した。

 そこには、リアがすごい剣幕でルクスから渡された刀を逆手に持ち構えていた。


「リアさん!」

「レオ。無事でしたか。ギルマスも一様、死んではないようですね」


 リアの視線の先には、ボロボロになりながらも辛うじて生きているアデルの姿があった。


「貴方は先ほど、ルクス様に倒されたはずですが?」

「あの異物は、ルクスというのですね。ええ。倒されましたよ。ですがあれは、分身体の一体ですしまぁ、お気になさらずに。」


 二人は、一触即発の雰囲気。両者は、一歩でも動けば攻撃するという視線を送りあう。

 ゼノスは、リアの隙のない構えに嫌気がさしたのか強欲の王の背後に一瞬で移動し強欲の王の両手を上げさせた。


「私たちは、降参しこの場から去ることを誓いまーす。」

「ふざけているのですか?」

「んー。真面目に行ってますよ。」


 ゼノスの影に沈むように強欲の王が呑まれた。


「ほら。消えた。ね?私たちが戦う気がないところはお分かりになりましたよね?。また会うことでしょう。では、お暇させて貰いますね。」


 そう言い残しゼノスは、霧が消えるようにその場をあとにした。

 溜まっていた空気が解放されて多くの者はその場に座り込む。リアは、一点を見つめ、ため息をつく。

 リアの視線先には、王国騎士団が到着したのと合図である青い煙が上がっていた。

 夕日が優しくも何処か悲しげに街を照らしていた。

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