55話
新月の隙間から漏れ出した僅かな光は、花びらのように輝く。夜空に一輪の花が咲き誇っていた。
その光は、俺を照らし青い瞳が鮮やかに光る。
「さぁ。シャードデーモン。チェックメイトだ!」
その瞳に見つめられたシャードデーモンは、悔しながらも威嚇のためか大量の触手を生やす。
「ぶざげる゙な゙。貴様を゙ごろ゙ず」
狂ったように触手を鞭のように振るい辺り一面の地面を破壊しながら俺に向けて放つ。
その攻撃に合わせて触手を斬り落とし前へと踏み込むが予測していたのかそこに触手の突きが放たれていた。避けず縦に斬り裂く。
周囲の衛兵や冒険者たちは、助太刀しようとするがシャードデーモンの猛攻で俺たちの戦いに参加することが出来ない。
四方八方から触手の攻撃。
両方、刀を鞘に納め、深呼吸してツクヨミの鞘を持ち、柄に手を起き、背中を丸め左膝が地面につくほど低い姿勢を取り刀に魔力を込める。すると俺を中心に半ドーム型の月明かりの薄い膜が覆う。
「宝具戦技『鏡面満月』」
その膜に触手が接触した瞬間。抜刀する。その瞬間に解き放たれた無数の斬撃がシャードデーモンの触手を全て斬り落とす。
シャードデーモンは、焦り後退りした。攻撃の手が僅かに緩む。その隙を逃すわけには行かない。
足に魔力を込めて前に加速しシャードデーモンの首を斬り落とすために薙ぎ払う。
シャードデーモンは、瞬時に触手を生やすが遅かった。シャードデーモンの首は、宙に舞う。
ツクヨミを鞘に納めイアフを抜刀し頭上に振り上げる。
「じゃーな。シャードデーモン。」
イアフに魔力を込めて振り落とす。放たれたその一撃は、一筋の光となりシャードデーモンを斬り裂いた。
魔力を使い切りイアフの宝具解放の効果がなくなり太陽の光が闇を払う。勝利を祝うように太陽の優しい光は、世界を照らす。
衛兵長は、勝利を祝うためか俺の元へと走ってくる。周囲の皆は、勝利したぞと勝鬨を上げていた。
宙を舞っていたシャードデーモンの首は、地面に転がり停止する。その虚な目で俺を見つめると不適な笑みを浮かべた。その瞬間だった俺は、焦った様子の衛兵長に吹き飛ばされた。
「衛兵長。なにするですか・・・はあ?」
シャードデーモンの触手は、衛兵長の腹を貫いていた。シャードデーモンは、笑う。
「わっははは。・・・あ、あ、せっかく仕留められたのにザコのせいで外すことがありえないわ。雑魚が出しゃばるから死ぬんだよ!」
シャードデーモンは、衛兵長を天高く投げ飛ばす。受け身を取れず衛兵長は転がる。
「テメェ!!」
俺は、怒りのままにシャードデーモンを頭を斬り刻む。
「あ。またね。英雄君。サプライズは、用意しといたからね。」
そう言い残しシャードデーモンの死体は、灰となって消えたと同時に街の方から爆発音が聞こえ振り向くと避難所である我が家の付近が燃えていた。
早く衛兵長の治療しないといや、避難所にも向かわないと。
思考を巡らしていると身体から力抜け膝から崩れる。
やべ、魔力使いすぎた。意識が。皆んな混乱している。皆んなに指示しないと。
フラフラの身体を無理やり立ち上がらせて息を大量に吸い込む。
「治癒魔法が使えるものは、衛兵長に治癒を!衛兵たちは、周囲の敵の探索を優勢に!冒険者たちは、急いで避難所の救助に向かってください!」
そこで俺の意識は、薄れドサッとその場に倒れる。
「ルクス様!しっかりしてください!急いでマナポーションを持ってきてください!」
誰がそこにいる。渡さないと亜空間収納から真っ赤な剣を取り出す。
「そこの君。これを。レオかリアさんに渡してください。あとは頼みます。」
「え?はい!」
誰かに剣を渡したところで俺の意識は、完全に途切れた。




