51話
黒い影は、ルクスたちに気づかれないように気配を隠し監視していた。
全体の3割が倒されたのを確認するとゴブリンジェネラルたちに撤退をさせ近くの森に息を潜ませることを命じ黒い影には、影の中に消える。
近くの森の奥にある不気味な洞窟に周囲には、数多くのゴブリンたちが宴を開いていた。
その中心にパッと現れる黒い影。何の前触れもなく現れたその影にゴブリンたちは、「ギィギィ」と声を荒げ侵入者だと騒ぎ立てる。
その騒ぎに洞窟から赤黒い肌をした鬼のような化け物が出てくる。
「テメェら。うるさい。静かにしろ。」
一匹のゴブリンが鬼に近づき「ギィギィ」と侵入者が来たと説明している。
鬼は、説明を受けた侵入者に目を向けるとため息を溢し、そのゴブリンを頭から叩き潰す。
「侵入者。違う。我の創造主。侵入者。間違えた。殺す。」
騒いでいたゴブリンたちは、一瞬にして固まり、顔を見合わせ、黒い影にゆっくりと跪く。
「息災のようでなりよりだ。・・・キミにいい情報をやろうでは、ない。」
気分が良くなったのか黒い影は、両腕を広げて踊るように鬼へと近づく。
「いい情報?」
「それはねぇ。・・・『勇者』がとある屋敷にいることがわかったんだよ。だからキミは、人間に化けてその屋敷に侵入するんだ!そのためには、まず、あの子を始末しないと行けないんだけど。それは、まず無理だからあの子を誘導して侵入できるようにしよう!!」
黒い影のその発言にムスッとなる鬼は、見るからに殺意を纏っている。その殺意にゴブリンたちは、怯え動くことが出来ない。
黒い影は、鬼に呆れたのか。はぁーと大きなため息をつく。
「まぁー。勝てないと言われて怒るのは、分かるよ。でもねぇ。不完全な僕がやっても負ける可能性があるだよ。僕よりも弱いキミがあの子に勝てるわけないじゃん。」
「我。勝てる。」
自信を持ってそういう鬼の真剣な眼差しに一瞬、心撃たれそうになるが踏み止まる。
「んっ!・・・ダメだよ。あの子には勝てない。でもあの子欺けば勇者が殺せる。」
落ち込む鬼に見かねた黒い影は、金色に輝くリングに鮮やかに輝きを放ちながらも深く僅かに青みがかった緑色の五カラットの宝石、エメラルドが装飾された指輪を差し出す。
「我が創造主よ。これは?」
「付ければ分かるさぁ。でもまだつけちゃダメだよ。街付近でつけるんだ。さぁ。受け取れ。」
鬼は、その指輪を受け取る。
「さて。そろそろ大詰めだ!。明日、早朝、私は、ゴブリンの軍勢を率いてあの子を誘き出す。その隙に街に侵入するだよ。我が子よ。『ゴブリンロード』よ。そして、勇者を殺すんだ!」
「仰せのままに!」
鬼ことゴブリンロードは、俯き片膝をつき跪く。
黒い影は、不気味に笑う。その瞳に宿るは、憎しみの炎。その炎は、身を滅ぼすかそれとも周囲を巻き込む厄災となるか。全ては、神のみぞ知る。




