37話
ホブゴブリンは、リアに吹き飛ばされた屈辱から雄叫びを上げる。
大気は震え大地は揺れる。
その雄叫びに誰もが臆し行動など出来るはずもない状況も関わらずリアは、その一歩を踏み込んだ。
リアの持つ短剣が炎のような光を放った瞬間、一筋の赤い軌跡が宙に描かれた。
その軌跡は、ホブゴブリンの胴体を切り裂いた。
ホブゴブリンと背合わせに立つリアの凍てつくような冷たい目線でホブゴブリンの背を見る。
ホブゴブリンの致命傷に近い傷は、ゆっくりと塞がっていく。ホブゴブリンは、ゆっくり振り返り不気味な笑顔をリアに向ける。倒せなかったことにため息をついたリアは、暗殺者のような鋭い視線をホブゴブリンに送る。
「コンナ程度。小娘。モットカカッテコイ。」
ホブゴブリンは、リアに挑発的な態度を取りリアを苛つかせようとするがリアは、全く動じることなかった。
「ほんと。硬いですねぇ、剣技『一閃』でも斬れませんか。さて。ルクス様から手を出すなと言われておりましたがレオが死ぬ方が濃厚なので本気でやりますか!」
そう呟いたリアは、右手に持っていた短剣を口に咥えてスカートに隠してあった青白い宝石ような短剣を取り出す。
レオは、見ているだけじゃあダメだと思い一歩を踏み込んだ。
「うぉおおおおおおお!!」
レオは、恐怖を掻き消すかのように声を上げてホブゴブリンに突撃していく。
「邪魔ダ!!」
レオを容赦なく吹き飛ばす。ホブゴブリンは、リアにしか眼中がない。
自分は、こいつの命を脅かす存在でもない。むしろ、虫のような存在に自分が嫌になったレオは、その場に座り込んだ。
助けに来てくれたリアが居なければ自分は死んでいた。しかも今の自分の強さでは、手助けできない。せっかくルクスから貸してもらった宝具すらまともに扱えない自分を攻める。
絶望に染まり切ったレオに共鳴するかのようにサラマンダーが赤く燃え上がる。すると覇気がなく半透明なルクスが姿を現した。
「レオ。そのままでいいのか。」
「オレは、弱いです。」
「そうだなぁ。お前は弱いよ。だからどうした。お前は、英雄に憧れたんだろ?」
「はい。」
「なら。突き進めよ。お前なら英雄になれる。さぁ。立ち上がれ。宝具を掲げろ。」
レオは、ルクスの言葉を信じ立ち上がりサラマンダーを掲げる。強大な敵に立ち向かう心に共鳴するように炎の渦がレオを包む。
レオは、サラマンダーで炎の渦を振り払うとその炎の渦は、炎を模した肌、成人男性と同じぐらいの大きさのサンショウウオに変化した。
レオが驚いているとサンショウウオは、レオの頭上頭を乗せて安らいでいる。
「お主が我が主か?」
「え?貴方は?」
「我か。我は、炎の精霊。サラマンダーだ。」
レオは、さらに戸惑った。サラマンダーは、ホブゴブリンを睨む。




