36話
レオはボス部屋の扉の前に立ち。覚悟を決めて扉に両手を置きゆっくりと力を入れ厚い扉を開く。
扉の隙間から青紫色の魔力を纏った煙が漏れ出す。その煙に驚きながらもレオは扉を開く手を止めない。
完全に扉を開くとそこには、煙の発生源のホブゴブリンがそこに立っていた。
ギロっと不気味な視線がレオを刺し怖気付き顔を歪ませる。だがレオは、ルクスの殺気を思い出しその殺気に比べれば恐怖は何処かへと行ってしまった。
「あの人の圧に比べれば大した事ない!」
レオに気づいたホブゴブリンは、殺気を飛ばす。その殺気が戦闘の合図と思ったレオは、剣を抜きホブゴブリンに斬りかかる。
ホブゴブリンは、容易く剣を弾きレオにカウンターを入れ吹き飛ばす。
「キサマデハ、ナイ!ウセロ!」
ホブゴブリンは、レオに剣先を向け威圧するがレオは、モンスターが喋った事に驚いていたが呼吸を整えて目の前の敵に集中する。
レオのその目にホブゴブリンは、レオの敵意にニヤリと笑い地面を激しく踏み鳴らす。
「フッハハ!イイダロウ!コイ!ガキ!」
レオはその挑発に乗ってしまった。
剣を強く握り、刀身が地面と水平なるように構え地面を踏み込みホブゴブリンの懐に入り振り抜く。
ホブゴブリンの腹筋は、レオの剣を弾きレオを斬ろうと大剣を振り下ろす。
レオは、間一髪で回避してすかさずホブゴブリンの喉元を狙った突きを放つ。
その突きを容易く剣先を握り止めレオを投げ飛ばす。
レオは、間合いを取りホブゴブリンを観察する。
ホブゴブリンは、近づく懐かしき気配に気づきその方向をギロっと睨む。レオはその隙を見逃さなかった。
魔力を剣に流すと刀身に炎が纏う。剣を上段から振り下ろす。炎の斬撃がホブゴブリンに向けて放たれた。
ホブゴブリンは、動揺せず冷静に炎の斬撃を大剣で振り払う。
「う、嘘だろう!」
レオは動揺して目を擦りホブゴブリンから目を離した、一秒にも満たない僅かな時間。ホブゴブリンの姿は消えていた。
「どこ行った!」
ホブゴブリンは、目の前に現れ大剣を振り下ろしていた。死を覚悟した瞬間。時はゆっくりと流れ走馬灯が過ぎる。レオは、ゆっくりと目を閉じた。
キーンと金属がぶつかる音が響く。
目を開くとそこには、燃えるような赤髪、宝具神殿には、似つかわしくないメイド服、ホブゴブリンの大剣を短剣で受け止めるリアの姿がそこにあった。
「大丈夫ですか?レオ!」
「リアさん!」
リアは、いとも簡単にホブゴブリンを弾き飛ばし短剣を逆手に持ち替えて全身に魔力を纏わせる。
「レオ!。貴方に一つ技を教えます。心臓から頭、右腕、胴体、右足、左足、左腕、そしてまた心臓へと全身に魔力を流し身体能力を底上げします。そのまま、脚に魔力を集中させて地面を蹴り、一気にトップスピードにして走ります」
リアは、地面を強く蹴り前方へ疾風の如く駆け抜け、ホブゴブリンの懐に入る。
「今度は魔力を腕に集中させて殴ります。」
その速度に驚いたホブゴブリンは、リアと距離を取ろうとした瞬間。
足に流していた魔力を拳に宿し正拳突きをホブゴブリンの腹部へと放ち吹き飛ばし壁に衝突させる。
土煙りが上がる。
リアは、驚いた顔してホブゴブリンの方を見る。
その一瞬戦闘にレオは、口を大きく開けて驚いていた。
「前よりも硬いですね。あれがルクス様が言っていたイレギュラーですか。レオでは、荷が重いですね。正拳突きではなく、斬れば良かったですねぇ。」
土煙りからホブゴブリンは、這い出て雄叫びをあげる。
「オマエデモナイアイツをダセ!」
「・・・なるほど。貴方は、イレギュラーの中のイレギュラーですか。レオ!ルクス様が来ることを期待して共闘しますよ。」
「え?はい!」
レオは、リアの横に立ち剣を構える。
リアはくすっと笑ってもう一本の短剣を取り出して逆手に構える。




