32話
冒険者ギルドの扉を開くと無惨な光景が広がっていた。
深傷を負っているもの。欠損しているもの。今にも死にそうなものたちが多く。多くものたちが介護に勤しんでいた。しかし、人手が足りない。救えるものも救えない最悪な状況だった。
居ても立っても居られなかった俺は、すぐさまに亜空間収納からエメラルドがついた杖を取り出してギルドの中央に立つ。
「魔力解放!宝具解放『ヒーリング』」
可視化出来るぐらいの魔力を放出しその全魔力を杖に宿して杖先で数回、床を突く。すると魔法陣がエントランスホール全体に展開される。
数秒後。魔法陣から淡い緑色の幾千の星屑が空に昇るようにゆらゆらと宙を舞う。
まるでここが星の湖とも思えるほどに煌めきを放っていた。
その幻想的な空間に焦っていた人たちは、見惚れてしまい焦っていた思考に僅かなゆとりをもたらした。
そして、星屑たちは、怪我人たちの傷を癒すとゆっくりと天へと還っていた。
人々の目線は自然と俺に集また。
息を整え周囲に治療出来てない人がいないか見渡すとアデルがこちらに走ってくる。
「ルクス!来てくれたか!・・・ありがとうな!」
アデルは、注目を浴びる俺の手を握った。その手は震えていた。
「大体の事情は、レオから聞いていますがこの状況は、何があったんですか?」
「それが・・・ゴブリン共にやられたんだ。ホブゴブリンの他にゴブリンジェネラルが居たんだ」
ゴブリンジェネラル。ホブゴブリンが進化したゴブリンの最上級種。ゴブリンを統率する王でもありその強さは軍隊に匹敵する強さを持つ。
状況は思った以上に深刻だ。軍備を揃えても太刀打ちできるかどうか。・・・この街にアデルや俺並みの強さを持つ者があと数十人必要だ。
そして、怪我人がここにいるってことは、近くにいるってことになる。少なくても数日以内にこの街に来る可能性がある。
「もはや、災厄か。・・・ゴブリンジェネラルの討伐を優先すべきだな。・・・でも倒すには、軍隊規模。今から揃えても・・・到底待ち合わない。」
「ルクス。倒せると思うか?」
一対一なら勝てる自信はある。しかし、相手は、ゴブリンを統率する王。一対一の状況を作れるはずがない。そして、おそらくほとんどの宝具を使い切るだろ。それだけはなんとしても阻止したいけど。
アデルの不安な表情をしている。
「一対一なら勝てる自信があります。」
「・・・一対一か。どうやってその状況を作るかが問題か。」
「はい。お父様にも相談したいですがまだ戻っていません。」
アデルは、渋い顔をする。そこへリアが俺の元へ書類を差し出す。
「ルクス様。こちらを」
「リアさん。ありがとう。」
書類は、2部渡された。ゴブリン風邪の特効薬が入荷し治癒院に配布したという商人ギルドから報告書と王都から騎士団が一週間後に派遣されるというアルスからの手紙だった。
一週間後。それまで持ち堪えるか。
俺たちは、各冒険者チームのリーダーたちを集め作戦会議をするために会議室へと向かった。




