3話
俺、ルクスに転生して三年の時が経ちました。
どうやら俺は男爵家の長男になってらしい。貴族にしては家が古い。そして、この三年の間にこの世界は、サンガリオンだと推測ができた。その要因となったのが宝具の存在だ。その宝具が我が家『ドラニクル』にもあったのだ。
宝具『バルバード』。ハルバートと呼ばれる槍と鎌、斧が合体した西洋の武器だ。バルバードの効果は、物理攻撃力1.1倍上昇、シールドブレイクがメリット。防御力20%減少のデメリットがある。レアリティは、下から2番目の『アンコモン』。正直に言って弱い宝具の一つだ。
バルバードは、エントランスのショーケースに大事に飾られている。
「デザインは、いいんだよな」
俺は、バルバードを眺めてそう呟いた。
待てよ。この世界はサンガリオンだ。つまり宝具神殿があるということだ。俺の大好きな宝具が現実にあるのだ。探索しに行こう。そうだ。今すぐ行こう。
俺は、至ってもいられず両親に黙って家を飛び出した。
家から出ようとしている俺に気づいたメイド達は、俺を止めようと俺の跡を慌てて追いかけるが俺は、魔力を全身に巡られ身体能力を向上させて走り抜ける。
あっという間に敷地の外へと出た。
広がる街並み。草木の匂い。馬車が走る音。人々の活気溢れる声。んー。外だ。すげ。屋台が至る所にある。祭りみたいだ。
キョロキョロと街を駆け抜けて正門を守る衛兵に挨拶して森へと入る。色々と衛兵に宝具神殿には、入ってはダメだと注意された。「わかりました。入りません」と嘘ついた。
そんなこと構っていられるか、俺は宝具神殿に入ろぞ記憶が正しければ獣道の先にランクが低い宝具神殿があったはずだ。
「あった!」
宝具神殿『嘆きの祭儀場』。
全五階層のダンジョン。攻略難易度最低ランクの☆1。レベル一桁のプレイヤー、4人も居れば攻略可能だ。出現モンスターは、ゴブリン、コボルドの2種のみ。所謂、初心者向け宝具神殿というわけだ。
「さっさと攻略するか。・・・武器無いわ。どうしよう。俺のレベル一桁だし。んー。まあ。どうにかなるべ。」
俺は鼻歌交じりで宝具神殿に入っていく。
一層目にいるゴブリンたちは思ったよりも弱かった。寝ているゴブリンが持つ棍棒を奪い撲殺して次のゴブリンを倒していくとレベルがぐんぐん上がり気付けばレベル十になっていた。
「楽勝だな。・・・でも肝心のスキルブックや素材、ドロップしないな。」
宝具を探しながら目についたゴブリンを片っ端から倒していく。
気付けば一層目のボス部屋前まで来てしまった。
「・・・え。宝具が一つも見つからずここまで来たの。・・・ここまで来て宝具が一つもないとか終わってる」
俺はボス部屋の前で立ち尽くす。
引き換えそうとしたがボスを倒せば確実に手に入るのではと考えボス部屋の扉を開く。
大剣を2本持った成人男性ぐらいの大型のゴブリンが挑戦者を待つように待ち構えていた。
ゴブリンの上位種、『ホブゴブリン』。その強さはゴブリン、五体分の強さに匹敵する。
子供から見た目線だとかなりデカく感じるな。まだ、俺。3歳だし。まあ、中身はおっさんだけど。
「さて、いっちょ。やりますか」
身体に魔力を巡らせ身体能力を向上しボス部屋の入り口からホブゴブリンの頭上まで走り抜け棍棒を全体重と運動エネルギーを全乗せして振り下ろす。
しかし、その攻撃をホブゴブリンは、呼んでいたのかいとも簡単に大剣で弾き返す。弾かれた反動を利用して三回転宙返りで地面に着地する。
「ふぅ。追撃なくて良かった」
ホブゴブリンは、俺の見た目から油断をしているのか追撃して来ないどころかふんっと鼻で笑い俺を格下だと認定したかに見える。実に腹立たしい。地面を強く蹴りホブゴブリンの懐目指し走る。油断していたホブゴブリンの懐に凄まじい速さで潜り棍棒にも魔力を流し脇腹を狙って全力でスイングする。
「ならこれはどうだ!!」
鈍い音が鳴る。
棍棒で殴られた脇腹を抑え蹲る。魔力で強化された衝撃波は、ホブゴブリンの身体を貫き内部にダメージを与えた。故に痛みで立つことすら出来ない。
息をするのでやっとホブゴブリンの正面に不適切な笑みを浮かべる。
「先までの余裕は消えたよね?」
ホブゴブリンは、何かを察知して冷や汗を流し怯えた表情をするがそんな知らない。こいつは、敵だ。俺は迷わず、魔力を込めた棍棒を頭上高く振り上げホブゴブリンの頭を殴る。脳震盪を起こしホブゴブリンは、倒れたが灰には、ならない。
つまりまだHPーヒットポイント、生命力が残っている状況と言うことだ。ならばこのまま、殴り続ければいいってことだな。
ホブゴブリンの頭を容赦なく殴っているこの状況は、どう見ても俺が悪人だろう。俺は、この物語の主人公だよ。決して悪役じゃないよ。
ホブゴブリンの息の根を止めて数秒後。ホブゴブリンの身体は、青く燃えがあり、しばらくして灰の山となった。その灰の山に青紫に発光する石とホブゴブリンが使用していた大剣が埋もれていた。
真っ先に大剣を引っ張り出そうと踠くがびくともしない。
「・・・重い。流石にこの身体じゃあまだ無理か。スキル『亜空間収納』があればなぁ〜。・・・待てよ。アイツがいるじゃん!」
アイツを探すためにボス部屋を後にする。アイツを探し始めて1時間。宝具神殿の一層目を隈なく探しても見つけられなかった。
ボス部屋で落ち込む俺を嘲笑うかのように目の前を宝箱が横切る。
「・・・なんだ。ミミックか。・・・はぁ。ミミックいないかなぁ。・・・今何横切った?」
ミミック。宝箱に擬態し開けた冒険者やモンスターなどを捕食するモンスター。かなり激レアで出会ったら即討伐しろと言われているぐらいレアなモンスターだ。
それが今目の前を通ったのだ。疲れている身体に鞭を打ちミミックの跡を全力で追いかける。
「待てや!コラ!!ミミック!」
ミミックは、その声に気付き慌てて逃げ出す。こうして鬼ごっこが始まったのである。




