29話
レオは、また土下座する。
「お願いします。家臣にしてください!」
「・・・あのさぁ。無理。諦めて。時間ないから帰るからね。」
俺はレオをそのままにして帰ることにした。レオは立ち上がり、俺の進路を塞ぎまた、土下座する。
「なぁー、諦めろよ。」
アデルが俺よりも早く呆れた口調でそう言った。
しかし、レオは顔を上げない。折れる様子がない。家臣か。部下を持つつもりないけど。いつかは持たなきゃいけない立場になるけども。
「・・・じゃあ。リアさんとアデルさんに認められる冒険者になったら考えてあげるよ。」
「え?。」
顔を上げるその表情は、驚いた様子でまさに開いた口が塞がらないようだった。
リアもえ、あの人何言ってるのという顔をしているがさっきレオを応援していた罰だと目で訴える。
覚悟を決め立ち上がるレオの真剣な眼差しは、何故か期待したくなる。きっとこの子なら何かやり遂げるだろう。
「頑張ってみます!待っていてください!兄貴!」
レオはそう言って何処かへと走っていった。レオを追うようにレオの取り巻きたちは、走り出した。
アリスは、俺にお辞儀をしてレオのあとを追った。
「ルクス。良かったんか?」
「まあいいんじゃないですか。きっと彼なら何かすごい事をやりますよ。それよりも会議ですよ。アデルさん。」
「そうだったなぁ。ルクス。案内頼むわ」
「わかりました。・・・リアさん。帰りますよ」
こうして俺たちは屋敷へと向かった。
商人ギルドの長、冒険者ギルドの長であるアデル、アルスが揃い会議が始まった。
会議は、順調に進み医者による病名も判明した。
ゴブリンから発生する流行病『ゴブリン風邪』と呼ばれる病気。
急激な高熱、頭痛、悪寒、関節痛・筋肉痛、全身倦怠感などの強い全身症状が特徴でその後に咳、鼻水、のどの痛みなどの風邪症状がでる。前世でいうとインフルエンザに似た病気だ。
発生源となるゴブリンが大量発生しないと流行らない。つまり、ゴブリン風邪が流行り始めているということは、ゴブリンが大量発生したということになる。
原因がわかった今、冒険者たちにゴブリンが住む森の調査依頼を出した。そして、ゴブリン風邪の特効薬の入荷優先にしてもらうことを商人ギルドに依頼した。
領主であるアルスの仕事は、王様にこの事を知らせる役目があるため、アルスは明日、王都に行くこととなった。
俺は、冒険者としてゴブリンの調査とアルスが居ない間の領地の管理が仕事なった。
人手が足りない。調査もしないといけないしある程度は、妹とのリリィも領地管理が出来るがまだ幼い。
そうなると調査の方に人手出すか。何故か真っ先にレオが浮かんだ。
繊細な調査にレオの大雑把で出来るのだろうかと思ってしまった。
自室でさまざまな資料に目を通しながら領地管理の書類にも捌いて行く。そんな俺にリアが紅茶を持ってくる。
「ルクス様。どうするつもりですか。レオという冒険者を」
「どーするって?」
「家臣にするのかという意味です」
「あー。するつもりはないけど」
「・・・可哀想ですね。」
リアはため息をついていた。レオが可哀想か。んー。可哀想に思えないな。
そう思いながら紅茶を飲んだ。いつもリアの淹れる紅茶は美味いなと思った瞬間に何かが引っ掛かる。何か重大な事を忘れているのような感覚に陥った。




