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フェーベ大陸の恋人たち

再会

帝国歴344年7月の某日。


その日アリーヌは朝からうきうきしていた。


今日は彼女の夫ラザールが来ることになっているのだ。


フォルニート大公女であったアリーヌは、昨年(帝国歴343年)の4月にナルフィ大公子であるラザールのもとへと嫁いだ。


そして夫婦になった二人は結婚してから約半年後にラザールの父ユーリからナルフィ大公国領最南端にある港街シャルナルクに移住するよう命じられた。現ナルフィ大公ユーリとしては、跡取り息子であるラザールに領地経営に携わる経験を積ませたかったのである。


実のところ、アリーヌはシャルナルクでの夫と二人きりの生活をどうしても好きになれなかった。シャルナルクは美しい海で有名な場所だったが、彼女が求めていたのはすばらしい景色ではなく、話し相手がいる環境だった。


シャルナルクへ移住する前は彼女はナルフィ城で暮らしていたのだが、そこには夫ラザールの妹のテレーズとソレーヌがおり、彼女たちと良好な関係を築いていたこともあって、アリーヌはおしゃべりの相手に困ることはなかった。


アリーヌとしてはナルフィ城に戻りたかったのだが、義父のユーリには許してもらえなかった。


そうこうしているうちに今年に入り、アリーヌは妊娠した。


それをきっかけに彼女はシャルナルクからナルフィ城へと再び居を移し、安定期に入った頃に実家のフォルニート大公家に出産のための里帰りをする運びとなった。


身重のアリーヌはフォルニートに滞在する一方、夫のラザールはシャルナルク、ナルフィ、そしてフォルニートを行き来することになった。彼は基本的にはシャルナルクに住み、父に領地経営に関する報告や相談をするためにナルフィ城を、そして妊娠中の妻アリーヌに会うためにフォルニート城を定期的に訪れる生活を送っていた。


4月に夫婦離れ離れの生活を始めて以来、ラザールは二週間に一度はフォルニートにやって来て、アリーヌは数日間彼とともに過ごした。


二週間ほど離れて過ごした後で彼に再会するというこの流れがアリーヌにとってはちょうどよかった。彼女は彼女のことを甘やかしてくれる母親との実家生活の心安さにどっぷり浸かっていたが、夫ラザールのことを少しずつ恋しく思い始めた頃にちょうど彼がやって来たのだ。


だからアリーヌも再会したラザールに対して最大限優しく接することができるし、そんな自分自身のことを夫に尽くしているよき妻のように思うことができるし、しかもそんな猫をかぶる期間はたったの数日ですむ。


ラザールのほうも妻アリーヌだけでなく彼女の家族から丁重に扱われ、当然ながら悪い気はしなかった、頻繁にあちこち移動する生活は肉体的には疲労がともなったけれども。


ということで、アリーヌとラザールの普段は離れているが定期的に再会するという生活は非常にうまくいっていた。


ところが、先月(6月)は事情が変わった。


5月にラザールの妹シルヴィが嫁ぎ先のスコル王国で出産したため、普段ナルフィ城にいる彼の父ユーリや帝都ローゲで学生をしている弟ビセンテ、妹テレーズとソレーヌの四人が6月にスコル王国に出かけたのだ。


その間ラザールは父の留守を預かるためにナルフィ城に滞在しなければならず、その前後にはシャルナルクにも行かねばならず、結局6月は一ヵ月丸々妻アリーヌの実家であるフォルニートを訪ねることができなかった。


もちろんラザールは会えない期間にも数回アリーヌに手紙を送ったのだが、その内容は朴念仁の彼らしく事務的な連絡ばかりだった。とするとアリーヌのほうも新婚でもないのに積極的に彼への手紙の中で甘い言葉を綴る気にもなれず、彼のほうもそんなものは期待していないであろうとも思い、結果的に夫婦間の手紙のやりとりの内容は非常に短く、そして薄いものとなった。


そして7月に入り、ようやくラザールが父ユーリから任された仕事が一段落ついたこともあって、とうとう彼がここフォルニートまで来ることになったのだ。


彼の到着は恐らく日の入り前になるだろう。


もしアリーヌに何もすることがなかったのなら、彼女は夫の到着を一日千秋の思いで待たなければならなかっただろう。


だが、アリーヌは彼女の家族が集まる午後のお茶会に加わったため、じれじれする必要はなかった。


お茶会が始まるとすぐに、今日ラザールが来ることを知っている長兄のリシャールが


「ラザールは? まだ着いていないのかい?」


とアリーヌや父親のミリアムに訊いた。


普段はフォルニートの城下街に住んでいる次兄ニルスが


「おっ、何だ? 今日ラザールが来るのか⁉︎」


と少年のようにぱあっと顔を輝かせた。


「らしいよ」


リシャールがうなずくと、ニルスはふむと腕組みした。


「俺が帰る前に到着してくれるといいんだけどなぁ」


彼はここフォルニート城に住んでいるわけではないので、夕方には彼の妻や家族が待つ城下街の自宅に戻らなければならないのだ。


「ニルスお兄様、そんなにラザールに会いたいわけ⁉︎」


アリーヌは不満げに眉根を寄せた。


ニルスは


「おうよっ!」


と強く肯定し、


「だってお前みたいな甘ったれた小娘と夫婦でいられる器の大きな男なんだからさ! そんな度量を持った人間はそうそういないだろうぜ」


と続けた。


兄がこういったことを言うのが分かっていたからこそ、さっきアリーヌは表情を険しくしたのだ。


加えて、アリーヌにとってはさらにおもしろくないことに、


「いや〜、本当だよね。僕もそう思うよ」


と長兄リシャールがうんうんとうなずいてニルスに同意した。


この二人の兄に限らず、今日この場にはいない一番上の姉ナデージュまでも、いつもラザールを過剰に持ち上げ、対照的に身内であるアリーヌのことをとことん下げるのだ。アリーヌとしてもそのことを非常に不満に思っている。


だから頭で考えるよりも先に、アリーヌの口から


「私だって一ヵ月ぶりにラザールに会えるんだから邪魔しないでっ‼︎ ニルスお兄様はさっさと帰ったら⁉︎」


という言葉が飛び出した。


その口調はアリーヌが自覚できるほどとげとげしかったが、彼女の兄ニルスには何の影響も及さなかった。


彼は余裕ありげににやりと笑い、


「嫌だね」


と妹の提案を真正面から拒否した。


その上、アリーヌを挑発するように


「あ〜、ラザール、早く来ないかな〜」


と呟いた。


アリーヌはいっそうむっとし、彼女としても早くラザールに会いたかったものの、心の中で夫の到着が次兄ニルスが帰った後になることを願った。


ところが運命の女神はアリーヌの味方はせず、逆に彼女の兄の肩を持った。


フォルニート大公の家族が集う居間の扉がノックされ、その直後に執事によってナルフィ大公子ラザールの到着が告げられたのだ。


開いた扉から執事に促されて居間内部に足を踏み入れたラザールの姿が目に入ったものの、アリーヌの胸中では残念ながら、久々の夫との再会によるときめきよりもこれから調子に乗るであろう二人の兄への嫌悪感のほうが勝っていた。


彼女の予想どおりリシャールとニルスの二人はアリーヌを差し置いて立ち上がり、


「ラザール、よく来たね!」


「ほらほら、堅苦しい挨拶なんて必要ないから、こっち来いよ〜っ」


とラザールを手招きした。


その時ラザールは無意識のうちに妻アリーヌの姿を探して視線をあちこちに向けていたのだが、二人の義兄に呼ばれたことで、彼の目は自然とそちらへ引きつけられた。


それでもラザールは足を動かす前にきびきびとした動作で頭を下げ、


「リシャール大公子、ニルス大公子。こんにちは。ご無沙汰しています」


と二人の義兄に対して挨拶した。


次にラザールが探したのは舅のミリアムと姑のメガーヌだった。彼とて本音では久しぶりに会う妻アリーヌと一刻も早く言葉を交わしたかったのだが、やはり律儀者のラザールとしては、アリーヌよりも先に義両親への挨拶を優先するしかなかった。


ラザールはリシャールとニルス同様立ち上がって自分を迎えたミリアムとメガーヌの席の方向へと歩き、彼らの前で足を止めてから


「大公閣下、夫人、今回もまたお世話になります」


と義父母に対してすっと一礼した。


「おおっ、ラザール、よく来てくれた! 疲れているだろう? 早くかけなさい」


ミリアムはアリーヌの隣にあった誰も座っていない椅子を指差した。その席は、ラザールの到来を見越して彼のために用意されていたものだった。


「はい、ありがとうございます」


義父にそう言われたラザールは、これでようやく堂々と妻アリーヌと対面する運びとなった。


一方のアリーヌは、夫ラザールが自分よりも自分の家族への挨拶を優先するのが分かっていた。彼にとって自分は身内。一番最後に回される存在であろう。家族に散々馬鹿にされるアリーヌとて、それが分からぬほど幼くはない。


それでも、やはりおもしろくはなかった。他の全てを押しのけてでも自分を最優先してほしかった。


ティティス帝国的良妻であれば、アリーヌは立ち上がって夫を迎えるべきだっただろう。


しかし彼女は素直にそうする気にはなれなかった。


……だって、お腹が重いんだもの……。


アリーヌは立ち上がらないことの理由として最近膨らんできた腹部を利用し、自分を正当化した。


ラザールは自分のために用意された席に直行せずに座ったままのアリーヌの横に立ったのだが、その際に彼女の顔ではなく腹部に真っ先に目を向けた。意識的にそこを見たというよりは自然と目線が引きつけられてしまったといった感じだった。


数秒間ラザールはまじまじとアリーヌの腹部を見つめたが、はっと我に返り、慌てて目線を引き上げてアリーヌと目を合わせた。


「アリーヌ、その………」


話したいことがあるはずなのに、ラザールは言葉の続きをうまく見つけられなかった。


片やアリーヌは、そんな彼の不器用さを知っているから、助け舟を出すことにした。


「久しぶりね、ラザール。……座ったら?」


「ああ、ありがとう」


アリーヌの勧めに従い、ラザールは自分の席に腰を下ろした。


ラザールは座った後にもう一度アリーヌと目を合わせ、それからすぐに視線を下方へと移動させた。


その間、ラザールもアリーヌも彼女の家族も誰も何も言わなかった。


アリーヌの家族の目はラザールに注がれており、全員が彼の反応を注視していた。当の本人は前回とは明らかに変化した妻の腹部に目が釘づけになっていて、自分がアリーヌの家族たちに注目されていることに気づいていなかった。


何となく沈黙が気まずくて、アリーヌは腹部を撫でながら


「………ずいぶん大きくなったでしょ?」


と夫に話しかけた。


「……ああ」


ラザールは感慨深げにほうっとため息をつき、アリーヌの腹部に視線を固定させたままうなずいた。


一応彼も自分たちの間に授かった命にちゃんと興味を持ってくれているのだ。


そう確認することができた安堵から、アリーヌは思わずふっと微笑んだ。


そこでラザールははっと我に返り、その時初めてアリーヌの家族から向けられていた視線に気づき、背筋をぴんと伸ばすとともに椅子に座り直した。


どうやら夫婦の久々の再会は無事にすんだらしい。ということで、今まで一応娘夫婦に対して遠慮していたアリーヌの父ミリアムが


「それで、ラザール。今回はどのくらいフォルニートにいられるのかな?」


とラザールに質問を投げかけた。


「今回はいつもより長くて、一週間ほど……」


ラザールはそう答えた後で、遠慮がちに


「……大公閣下に滞在をお許しいただけるのなら、ですが……」


と付け加えた。


一家の長として威厳に満ちた人物でありたいという理想を抱いてはいるものの現実には家族から軽んじられているミリアムだったから、自分を義父としてちゃんと敬ってくれるこの娘婿のことを非常に好意的に評価している。


「もちろんだとも! 無論それ以上いてくれても構わんよ」


とミリアムが笑いかけると、ラザールは目を細めて微笑んだ。


「ありがとうございます」


礼を言うラザールの隣に座っていたアリーヌに対し、彼女の母メガーヌが心底嬉しそうに


「アリーヌ、よかったわね」


と言葉をかけた。


「……そうね」


アリーヌは素っ気なく聞こえるような口調で答えたのだが、普段より夫と長く過ごせると知って実のところ内心喜んだ。


さて、ここで今まで妹や両親に配慮して黙っていたニルスがようやく口を開いた。彼は早く義弟ラザールに話しかけたくてうずうずしていた。


「ラザール、何か疲れてないか?」


妻アリーヌが気を利かせて注いだお茶のカップを持ち上げ、一口飲んでから、ラザールは


「……そうですね。ここのところ少々忙しくて……」


とうなずいた。


アリーヌもラザールの顔に疲労感が色濃く残っていることに気づいていたので、すかさず


「ちゃんと食べてるの?」


と夫に訊いた。


「………そのつもりだけど」


ラザールは気まずそうに認めたが、それをそのまま受け入れるアリーヌではなかった。彼の性格や暮らしぶりを知っているからこそすかさず


「でも、あなたのことだから、食事なんてそこそこにして、仕事ばっかりしてるんじゃない?」


と指摘したところ、ラザールは肯定も否定もしなかった。


「………………」


だが、違うのなら反論すればいいのだから、この沈黙が彼の答えだった。


「それはいかんな、婿殿。食事と睡眠は大切だ。今は若いから大丈夫でも、そのうち無理がきかなくなるぞ」


自分のことを案じるからこそ投げかけられた義父からの忠告を、ラザールは


「……はい、肝に銘じます」


と素直に受け止めた。


だが、ここで話が終わらないのがフォルニート大公家なのだった。


ラザールと同じく跡取り息子のリシャールが胸を張って自信満々に


「そうだよ、ラザール。少しは僕を見習いなよ。仕事はそこそこで、休憩はしっかり取る。これこそ人生を楽しむ秘訣さ」


と義弟に助言した。


これを聞いたフォルニート大公家の面々は全員が呆れたのだが、真っ先に反応したのはアリーヌだった。


「お兄様、何を言っているの⁉︎ お兄様こそ、少しはラザールを見習いなさいよね⁉︎」


末娘アリーヌの言葉を聞いて我に返った家長ミリアムもはあっとため息をつく。


「……リシャール、お前こそラザールを見習え」


父の威を借ってアリーヌがすかさず


「ほらっ! お父様だってこう言っているじゃないっ!」


と長兄を責めたが、そんな彼女を牽制したのは次兄ニルスだった。


「アリーヌ、お前が調子に乗るんじゃない」


普段から両親、特に母親が末っ子のアリーヌに甘々なことに否定的なニルスは蔑むようにふんっと鼻を鳴らした。


弟のニルスが作り出した機会を逃さず、リシャールがアリーヌに対して反撃を開始する。


「そうだぞ、アリーヌ。偉いのはラザールであってお前じゃないんだからな」


リシャールの指摘が的を射ていたため、これにはアリーヌもむっとして黙るしかなかった。


このようにフォルニート家の面々は意見が一致せず、互いを責めるのが常なのだが、そんな状態でもラザールのことは誰もが肯定的に評価していた。


当の本人であるラザールは、しかしながら褒められ慣れていないこともあってとにかく照れくさく、その表情をゆるませることはなかった。むしろ居心地悪そうにして不安げな視線をフォルニート大公一家の人々に向けていた。この程度の口喧嘩はフォルニート家にとっては日常茶飯事なのだが、ナルフィ大公子ラザールにとってはそうではなかったので、彼はフォルニート家の面々の言い合いがこれ以上悪化したらどうしようかと内心冷や汗をかいていたのだった。


ここで今まで沈黙を守っていたフォルニート大公妃メガーヌが


「ほら、あなたたち、お願いだからもう少しお行儀よくしてちょうだい。ラザールの前で恥ずかしいわ」


と呼びかけた。


すると次男のニルスが心底不思議そうに


「え? 別にいいじゃん? ラザールはもううちの家族の一員なんだから」


と、跡取り息子で長男のリシャールが


「そうですよ、母上。ラザールはもう身内なんだから、今さら取り繕う必要なんてないでしょう?」


と母メガーヌに異を唱えた。


娘婿ラザールに気配りができる成熟した女性だと思われたいという密かな狙いがあったメガーヌだったのだが、


「………それもそうね」


とあっさりと二人の息子の言葉に納得してしまった。


リシャールは得意げに


「でしょう?」


と微笑んだ。


二人の息子に簡単に言いくるめられてしまった妻に対してミリアムは力なく肩を落としかけたのだが、これではいけないと思い直した彼は


「いや、確かにラザールは我が家の一員になったが、それでも最低限の敬意を払うべきだ。こんな優秀な婿殿がうちの甘ったれ娘と結婚するなんて幸運、末代までもう二度と起こらないだろうからな」


と家族の雰囲気を引きしめようとした。


ミリアムはこれでこの話は終わったと油断しかけたが、やはりそこで終わらないのがフォルニート家だった。


アリーヌが胸を張って


「その『優秀な婿殿』と結婚したのがこの私だっていうこと、忘れないでね⁉︎」


と主張したのである。


ミリアムが呆れて思わずため息をついた時、ニルスとリシャールが交互に


「アリーヌ、それは事実だけどよ」


「でも、お前が優秀だからラザールはお前と結婚したわけじゃないよ。政略結婚なんだから」


「そうそう。お前こそこの事実を忘れるなよ⁉︎」


「うん、ニルスの言うとおりだ。お前は父上が言ったとおり『甘ったれ娘』なんだから、それをちゃんと自覚して、忘れないようにしなきゃな」


と末妹アリーヌに厳しく指摘した。


ここで止めなければまたアリーヌが反論し、それに対して再びリシャールとニルスが反撃することになるだろう。


ミリアムは今度こそ子供たちを黙らせなければならないと強く感じ、


「そこまでにしなさい」


といつもより低い声を意識して出した。


発言を慎むよう命じられたリシャール、ニルス、アリーヌの三人は、それぞれ一瞬だけ不満げな顔をしたものの、父の声の中に真剣さがしっかりと含まれていることを敏感に察知し、ここは父に従ったほうがよさそうだという勘が働き、素直にそれに従った。


それからフォルニート一家の話題はようやく別のものに移り、ラザールは自分からは発言せず、ひたすら聞き役に徹し、夫人に勧められた菓子とお茶を交互に口へと運んだ。




****




その後フォルニート大公家の午後のお茶会は解散となり、ラザールはアリーヌとともに彼女の部屋へと移動した。フォルニートに滞在する時、ラザールはアリーヌの部屋で寝泊まりするのだ。


フォルニート城の玄関前で馬車から降りた時に城の召使いに預けておいた彼の荷物はすでに届けられていた。


部屋に入り、廊下と繋がるドアを閉めて二人きりになるとすぐに、ラザールは両腕をそっと伸ばし、そのままアリーヌを引き寄せた。


遠慮がちに自分の背中に回された彼の腕や触れた彼の胸板から、アリーヌは控えめながらも彼の体温を感じた。


自分は今、少しの間離れていた夫ラザールと本当に再会したのだ。


アリーヌはそのことを実感した。


それと同時に、ラザールのこの行動がアリーヌにとっては少々意外だった。ひょっとして彼は自分のことを少しは恋しいと思ってくれたのだろうか。


彼の行動から察するに、どうやらそのようだ。


けれどそれをそのまま信じるアリーヌではなかった。彼女の中の疑い深い部分が最後まで頑なに信じることを拒んだのだ。


…………うーん、ただ単にちょっと人恋しくなったって程度かも……?


結局ラザールの心情について判断がつかないうちに、アリーヌは彼に話しかけられた。


「体調はどうだ? 変わりはない?」


「特に問題ないわ」


アリーヌが答えると、ラザールは


「そうか。よかった……」


という安堵のため息をもらし、彼の両腕に込める力を少しだけ強めた。


「あなたのほうは?」


今度はアリーヌがラザールに尋ねた。


その直後に彼女の頭には次々に彼に対する質問が浮かんできた。


私がいない間、どんなふうに過ごしたの?


一人で寂しかった?


あなたのことだから、一人のほうがかえって気楽なんじゃない?


……少しは私のこと、恋しいって思ってくれた?


なーんて、ないわよね、絶対。


ないない、ラザールに限って……。


半ば強引に結論を出したアリーヌは、心の中で首をぶんぶんと横に振った。


仕事熱心なラザールのことだ。特にシャルナルクにいる間は、アリーヌがそばにいないほうがかえって仕事に没頭できるだろう。


それに何より、アリーヌの印象では、ラザールは『寂しい』とか『恋しい』といった感情と縁がなさそうだ。


彼の返事はアリーヌが予想したとおりのものだった。


「……うん、まぁ……、普段と同じで特に変わったことは………」


「そう」


それっきりラザールは何も言わなかった。


アリーヌのほうも何となく何も言えなかった。口を開いたら余計なことまで言ってしまいそうだったし、夫婦の間に漂う沈黙が特に居心地悪いということもなかったからだった。せっかく久しぶりに再会したのだから彼と喧嘩するような展開になるのはアリーヌとしても避けたかったし、珍しく彼のほうから抱きしめられた時間を大切にしたかったというのもあった。


しかし夏だけあって、昼間から二人でくっついていると暑い。


額に浮いた汗を拭うためにアリーヌが手を動かそうとした時、ラザールがあくびをした。


これをきっかけにアリーヌはさり気なく半歩下がって体を彼のそれから離し、彼を気遣って


「夕食までまだ時間もあるし、横になったらどう?」


と提案した。ラザールはナルフィ城から二日かけてここフォルニート城まで移動してきたわけだし、それ以前にもナルフィ城で、あるいは彼が主に滞在しているシャルナルクでも何かと仕事に追われていただろう。


「ん……、そうだな……。そうさせてもらうよ……」


アリーヌはラザールの手を引いて彼をカウチへと導き、彼がそこへ腰を下ろすのを見守った。


疲れているであろう彼の休息を邪魔しないためにも、アリーヌは彼を一人にするつもりだった。


「ラザールが寝るなら、私も昼寝しようっと」


と何気なく呟いたアリーヌを、ラザールは眠そうにしていた目で見上げた。


「どこで?」


踵を返しかけていたアリーヌの視線はカウチに座っているラザールのほうへと引っ張られた。


「えっ?」


ラザールはすっと立ち上がった。


「どこで寝るんだ?」


彼の顔はすぐにアリーヌの背丈を追い抜き、今まで彼を見下ろしていたアリーヌは今度は彼を見上げる格好になった。


「……寝室で」


アリーヌにはこれ以外の選択肢はなかった。ラザールに譲ったカウチには一人しか眠れないし、アリーヌとしても寝室のベッドで眠るほうが思う存分背伸びしたり寝返りを打ったりできて快適だ。


「俺も一緒に行っていいか?」


そう訊かれ、アリーヌはすぐにうなずいたものの、驚いてしまった。彼は一人を好むに違いないという思い込みがあったからだった。


「えっ、う……うん、いいけど……」


アリーヌは


「でも、一人のほうがゆっくりできるでしょう? あ、よかったら、ラザールが寝室を使って。私がここで寝るから」


と提案してみた。彼女としては、ラザールと二人でいるのが嫌なわけではないのだが、疲れているであろう彼にとってはやはり一人で過ごしたほうがいいのではないかと考えたのだ。


「えっ……」


するとラザールは意外そうな顔をした。


「………いや、その………」


ラザールは困ったように右手で頭を押さえ、照れくさそうに


「……………二人で………寝るのじゃ……だめ……か………な?」


とアリーヌに訊いた。


よほど気まずいのか、アリーヌが答えるのを待たず、ラザールは


「そのっ……、アリーヌが嫌なら仕方ないが………」


と付け加えた。


「えっ……」


今度はアリーヌが驚きによって目を大きく見開く番だった。


「い……いいの……? 私がいたら邪魔じゃない……?」


アリーヌとてラザールと昼寝をするのが嫌なわけではないのだが、彼はきっと一人を好むだろうという思い込みがこの質問に姿を変えた。


ラザールは


「いや、邪魔じゃないし、………その………」


と前半ははっきりした口調で否定したが、それとは真逆のはっきりしない口調で


「…………せっかく再会できたんだから、その………」


と続けた。


その先が聞きたいとも思うのに、自分たちの間に流れる空気が何だか妙にくすぐったくて、耐えられなくなったアリーヌは


「うんっ、じゃあ、行きましょ」


と大きくうなずいた。


そして彼女は勢いに任せ、自分からラザールに抱きついた。


腹部がかなり大きくなったアリーヌの体の負担になってはいけないと心配しているのだろう、ラザールは恐る恐るといったぎこちない感じで両腕をアリーヌの背中に回した。


少しもきつくない抱擁。


そこから彼の自分に対する気遣いをアリーヌは感じとった。


情熱的に抱きしめてくれたら嬉しいのに、こんなふうにそっと抱きしめられるのも悪くない。


優しく抱きしめられると大切にされているように感じられるし、朴訥なラザールにはこちらのほうが似合っているように思えるし、だからこそ余計に安心できる。


彼のこの不器用な優しさを、アリーヌは昔、物足りなく思っていた。


その気持ちが完全に消えたり何か別のものに変化したりしたわけではないものの、アリーヌは彼らしいぎこちないやり方にいとおしさに似たものを覚えるのだ。


久しぶりに再会した夫に対する懐かしさ。久しぶりに触れる彼の優しさ。これらの感情がアリーヌの胸をゆっくりと満たしていく。


「ねぇ」


ラザールとの再会に影響されたのだろうか、アリーヌの声の調子も自然と柔らかいものとなった。その中にはアリーヌ自身も自覚できるほど、夫に甘えるような響きも含まれていた。


「うん?」


先ほど訊くのをためらった質問だったが、意外にも今度はすんなりと彼女の口からすべり出た、少しの照れくささはあったものの。


「離れている間、寂しかった?」


「……………ああ」


少しの間を置いてからラザールはうなずいた。


彼には素直に認めるのは気恥ずかしいという気持ちがあるのだろう。もしくは、ここで否定したらアリーヌの機嫌を損ねると思ったのかもしれない。あるいはその両方だろうか。


「ほんと?」


「……………ああ」


ラザールは再び即答するのを避けた。


アリーヌの胸に好奇心が湧く。


彼の本心を見極めたいという気持ちもあったが、彼をからかいたいという気持ちもあった。ラザールを馬鹿にするためではない。彼の返答や態度によっては、自分たちの間に漂う空気からまだわずかに残っている不思議な緊張を完全に取りのぞくことができるのではないかと考えたからだった。


だからアリーヌは大胆にも、


「じゃあ、私のこと、恋しいと思ってくれた?」


と直球の質問をラザールにぶつけた。


彼は一瞬だけ体をこわばらせたが、とうとう観念したように


「……………ん………」


と声を発した。


抱きしめられている状況ではアリーヌにはラザールの表情が見えなかったが、今彼は困ったような顔をしているに違いないと確信した。きっとその頬は恥ずかしさで赤く染まっていることだろう。


「…………よかった」


ふふっと笑った後で、アリーヌは安堵のため息を吐き出した。


「え……?」


「あなたのことだから、私がいないほうがかえって静かに過ごせて、自由に羽を伸ばしていたに違いないって思ったわ」


「……いや、そんなことはないよ……」


断言したにもかかわず、彼の口調はどこか弱々しかった。それがアリーヌには妙に滑稽に聞こえた。


ラザールの否定が弱くなってしまったのは、彼がアリーヌの言葉にどきりとさせられたからだった。アリーヌが言ったとおり、彼女がいないほうが昼夜問わず仕事に没頭できるから作業が非常にはかどるというのは確かだった。


それに、食事やら就寝時間やらをアリーヌに合わせる必要がないので、ラザールは終始彼が望むとおりに過ごすことができた。


しかしラザールだって心ある人間だから、たった一人で眠るベッドの広さに無性に寂しさを覚えたし、妻であるアリーヌの温もりを恋しく思ったのもまた事実だった。


「君がいないと、何となく落ち着けなかった………」


せっかくラザールが素直に白状したのに、アリーヌは


「嘘ばっかりっ! 私のこと、うるさいとか煩わしいと思っているくせにっ!」


とラザールを問いただした。


だが、彼女が上げたその顔には笑みが浮かんでいたため、ラザールにも彼女が怒っているわけではないことがすぐに分かった。


「お……、思ってない………」


とラザールは否定したが、それは相変わらず弱々しかった。


確かにアリーヌは早口で話すし、興奮するとすぐに声が大きくなる。


けれどいったんそういった彼女の性質に慣れてしまうと、彼女がいない日常はどこか物足りなく感じられるのだ、特にシャルナルクで一人で過ごす時には。


実のところ、ラザール自身も自分がそんなふうに感じるなんて意外だった。


自分が思っていた以上に、アリーヌという存在は彼の生活の一部に馴染んでしまっていた。


アリーヌと離れて過ごす期間があったからこそこの事実にラザールは気づいたのだ。


そして今、自分の腕の中にいる妻を抱きしめて妙に懐かしい気持ちで胸がいっぱいになっているのをラザールは実感した。


その感覚が甘く彼を満たし、元々口下手な彼からいつも以上に言葉を奪う。


本当は自分の感情をうまく妻に言葉で表現できればいいのだが(そしてきっとアリーヌもそれを望んでいることだろう)、頭も口も麻痺してしまったみたいにうまく動いてくれない。


アリーヌのほうもラザールに期待していないようで、最終的に彼女は上目遣いに夫を見上げ、悪戯っぽい表情で


「分かったわ、信じてあげる」


と笑った。


彼女に実によく似合う笑顔だとラザールは素直に思った。


ラザールは礼を言うとか、とにかく何か反応するべきだったのかもしれない。


しかし思わずアリーヌの笑顔に見とれてしまったラザールは、結局何も言えなかった。


アリーヌのほうはそれも想定済みらしく、特に何も気にしていないような様子で


「さぁ、行きましょ」


とラザールの手を引いた。


二人は奥の寝室へと移動し、寝台に横たわった。


ラザールは仰向け、アリーヌは横向きの姿勢でいたのだが、アリーヌがふわぁとあくびをした時にラザールも体を転がしたため、二人は向かい合うこととなった。


「………夜はちゃんと眠れているのか?」


ラザールは手を伸ばし、アリーヌの頬にそっと触れた。


「うん……」


目を閉じたアリーヌは再びあくびをもらし、いかにも眠たげな声で


「でも、夜中に何度も目が覚めちゃうのよ、お腹が重くて……」


と絞り出し、少し気まずそうに


「だから毎日昼寝しちゃうのよね………」


と続けた。


それから彼女は目を閉じたのだが、彼女の寝息はすぐに規則正しいものになった。


ラザールは妻の寝入るのがあまりに早くて驚き、そのせいでついさっきまで彼を支配していた眠気は一気に四散してしまった。


それでも、アリーヌの寝息を聞きながら何度か寝返りを打つうちに、いつしかラザールにも快い睡眠の時間が訪れた。




****




夕方昼寝を堪能した寝室に、アリーヌとラザールは真夜中近くになった頃に戻った。二人とも寝支度はすでに終えたので、あとはこのまま寝るだけだ。


今日のアリーヌの両親と跡取り息子のリシャール夫婦との晩餐は、ラザールが来る前の日々に比べてかなり長引いた。ミリアムとリシャールがラザールをなかなか解放しようとしなかったからだ。


ただ、彼らは意地悪心からそうしたのではない。


事実はむしろ逆で、彼らはラザールを歓迎するあまり、常にラザールに話しかけ、酒を勧めた。


生真面目なラザールは義父と義兄の質問に丁寧に答え、恐縮しながらグラスを傾けた。


アリーヌも何度か彼らの会話に強引に割り込み、何とか晩餐をお開きにしようと努めたのだが、酔って上機嫌になったミリアム、リシャールの両氏はアリーヌからの圧力に気づくことはなく、母メガーヌとリシャールの妻も黙って見ているだけで、結果的にアリーヌの試みはことごとく失敗に終わった。


とはいえ、アリーヌもいらいらしていたわけではなかった。父と兄が純粋に夫ラザールのことを気に入っていることを彼女も分かっているからだ。


一つ心配だったのは、義父や義兄に対応し続けなければならなかったラザールが気疲れしていないかということだった。


それもあり、アリーヌはベッドに横になるとすぐに


「んもう、お父様ったら! ラザールのことを好きなのはいいけれど、お父様の場合、ラザールのことを好きすぎるのよね! リシャールお兄様もそうっ! 二人そろってうるさいったらないわ!」


と不満をぶちまけた。アリーヌのこの行動の背景には、父と兄相手に純粋に文句を言いたい気持ちもあったが、夫の反応を探りたいという意図もあった。


ラザールはアリーヌをなだめるように


「いや、嫌われるよりはありがたい話だよ」


と微笑した。


ラザールの表情や口調から判断するに、どうやら今のところは彼はミリアムやリシャールが構ってくるのを嫌だとは思っていないらしい。


しかし自分の勘が当たっているのか否かを見極めたくて、アリーヌは


「……でも、普通、男の人にとって妻の実家なんて、めんどくさいものなんじゃないの? なるべくなら関わりたくないって思う人のほうが多いって聞いたことがあるわ」


と訊いてみた。


「……………………」


ラザールは腕を組み、天井を仰いだ。


「…………もちろん緊張していた時期もあるけれど、その時だって別にめんどくさいとは思わなかったな……」


「本当? 別に私に気を遣わなくてもいいのよ?」


「気なんて遣っていないよ」


ラザールは嘘はつかない人だ。


アリーヌもそれを知っているから、どうやら自分の家族は今のところ彼に嫌われてはいないらしいと安堵した。アリーヌとしても、自分の夫と家族がいがみ合っているよりはうまくやってくれるほうが嬉しい。


ということで、アリーヌは思わずふふっと笑みをもらした。


「ラザールがそんなふうに言っていたなんて知ったら、お父様もお兄様も喜んじゃうでしょうね」


とはいえ、これ以上父と兄がラザールを構うことになるのは自分のためにも夫のためにも避けたかったので、アリーヌはこのことを父たちに教えるつもりはなかった。


アリーヌは嬉しくなって両腕を伸ばし、ラザールに抱きついた。


彼女の急な動作にラザールは驚いたようで体をびくっとさせたが、それも一瞬のことだった。彼もすぐにアリーヌの背中に腕を回した。


一年以上夫婦として過ごしてきた時間のおかげなのか、周囲には不器用な人間だと思われているラザールだが、自然な動作でアリーヌを抱き寄せ、右手で彼女の後頭部を撫でた。


甘えたがりのアリーヌにとってはラザールの手の感触は心地いい。


「………アリーヌの家族はにぎやかでいいと思う」


ラザールの言葉に、彼の胸に顔をうずめていたアリーヌは頭部の角度を変え、彼を見上げた。


「え? そう? ラザールの家族だってにぎやかじゃない?」


「うーん……」


肯定なのか否定なのかアリーヌには分からなかった。ただ、彼の口調の中には素直に肯定したくないという頑なさが確実に存在していた。


「………でも、イヴェットとシルヴィは外国に嫁いでしまったし、ビセンテはローゲだしなぁ……」


ラザールがぼそっと呟いた時、アリーヌはぴんときた。


恐らく彼は寂しいのだ。


彼の妹のテレーズとソレーヌはまだナルフィにいるから、完全な孤独というわけではないだろう。だが、彼を含めた六人の兄弟姉妹全員がナルフィにいた時と比べると、やはり今はナルフィ大公一家のにぎやかさの大部分が失われてしまった状態なのだろう。


アリーヌは夫の胸のうちを直感的に悟った。


「テレーズも婚約が決まったしね……。確かに、昔に比べたらにぎやかさは減ってしまっているかもしれないわね」


彼に共感を示すためにアリーヌが言ってみると、ラザールはどこか認めたくなさそうに


「ん……」


と鼻から少々苦しげな息を吐き出した。


「大丈夫よ、ラザール」


「え?」


今までアリーヌをはっきりと見つめてはいなかったラザールは、今度はその目をしっかりと彼女に固定した。


視線が絡み合ったことを認識したアリーヌはにっこりと微笑んだ。


「この子が生まれたら、ナルフィもきっとにぎやかになるわよ」


アリーヌが膨らんだ腹部を撫でながら言うと、ラザールは一度瞬きをしてから


「………そうだな」


と彼のほうも微笑んだ。


きっと自分ともうすぐ生まれてくる赤子は彼が今感じている寂しさを埋めるだろう。


元来楽観的な性格のアリーヌは、何の根拠もなかったのだが、そう確信した。


自分は彼を幸せにできるのだという自信が湧いてきて、アリーヌはいっそうラザールに身を寄せた。


ラザールもアリーヌを抱きしめ直し、二人の体の多くの部分が触れ合った。


初夏の夜にこうしてくっついていると、温かいを通り越して暑い。


けれどもう少しだけこうしてくっついていたいとアリーヌは思った、感じる彼の体温こそが自分たちが今一緒にいることのこの上ない証なのだから。




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