湖畔デート
湖畔の草原に敷いたレースのピクニックシート。
その上には、私が念入りに準備したお弁当と、紅茶セットが並んでいる。
「うわぁ、すごい!おいしそう!!」
イーサン様が無邪気に歓声を上げる。
その笑顔が太陽より眩しくて、私はもう視界が霞むほどにときめいてしまいましたわ……!
「アステリアが作ったの?」
「そ、その、私は味見係を……っ!」
慌てて誤魔化す。
……ええ、実際はシェフが作ったのだけれど、愛情だけはたっぷり込めましたのよ!!
「そっか。でも、きっとアステリアが選んだものだよね?」
「……えっ」
イーサン様が紅茶を口にしながら、ほっとしたような顔で微笑んだ。
「こういうのってさ、作るのも大事だけど、誰かのために『選ぶ』のもすごく大事だと思うんだ。
俺、すごく嬉しいよ!」
──うわぁぁぁぁあ!!!!!!!!!
そんな破壊力のある甘い笑顔を向けないでください!!!!!
「……そ、そんなに気に入っていただけたのなら、何よりですわ!」
なんとか取り繕いながらも、内心はイーサン様の魅力に完全ノックアウト。
もう無理です……私はイーサン様が好きすぎる……。
「おっ、このパイ、おいしい!!」
「そ、そうでしょう!イーサン様が甘党でいらっしゃると存じて、おすすめのスイーツをたくさんご用意いたしました!」
イーサン様は目を輝かせながら、次々とスイーツを口に運んでいく。
なんて可愛らしいの……無邪気に食べるイーサン様の姿、世界遺産級の尊さです!!!
「アステリアも食べなよ」
「は、はい!」
イーサン様が私にスコーンを差し出してくださる。
えええええ!!?!?!?!?!?
推しがスコーンを!私に!差し出している!!
「……あ、あの……もしかして、あーん、してくださるとか……?」
「ん? うん、いいよ」
えぇぇぇえええええ!!!!!!!
──推しに、あーんされるなんて……!
これはもう、転生してきた甲斐がありまくりです!!!!!!!!!!!!
イーサン様の指先からスコーンを食べる。
「おいしい……」
涙が出そうになるほどに幸せだった。
◆◇◆
お腹を満たしたあと、イーサン様と湖畔をゆっくり散策することに。
木陰を歩きながら、私は意を決して口を開いた。
「イーサン様……」
「ん?」
私は、まっすぐ彼の瞳を見つめる。
「わたくし……イーサン様と、これからもずっと一緒にいたいですわっ」
「──え?」
一瞬、イーサン様の表情が驚きに揺れる。
「えっと、それって……?」
「その、わたくし、イーサン様のことが……」
言える!? 言ってしまってよいの!?!?!?!?!?!?!?!?!?
「……あっ!」
そのとき、突然イーサン様が私の手を引いた。
「アステリア、危ない!」
「え?」
足元にあった小さな木の根に躓きかけた私を、イーサン様が抱き寄せる。
気づけば、私はイーサン様の胸の中に包まれていた。
えっ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
「大丈夫?」
耳元で囁かれる、優しい声。
……ちょっと待って、、これは、心臓が持ちませんわ!!!!
推しの腕の中という超至近距離に、もう意識が飛びそう……!!!!!
イーサン!イーサン!うぉぉぉぉぉぉぉ!
イーサン以外の貴公子の性格受け付けてます