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入学式 タリア視点

今日は学園の入学式。

わたくしが前世を思い出してから、三年——されど、三年が経ちましたの。


婚約者であるベテアル様との関係も、ただの婚約者ではなくなりました。

わたくしは彼とともに城下町や公爵領に視察に行き、時にはお忍びで市場を巡ることもありました。

民の声に耳を傾け、わたくしは彼との絆を深めていったのです。


今、——

恐れているのは、城下町で彼とヒロインが出会うこと。

今はまだ、ヒロインの影は見えませんが、いずれ必ず現れるだろうという事実に胸が締め付けられます。

その時、わたくしはどうなるのでしょうか。

彼の心はどう変わっしまうのでしょうか。


わたくしとベテアル様は、学園の広間で待ち合わせをしていました。

少し遅れて到着したわたくしを、ベテアル様は変わらぬ優しさで迎えてくださいました。

ですが、その目には、どこか気がかりなものが見え隠れしていました。


「タリア、少しだけ話をしよう。」

彼の声には、いつもとは違う真剣さが宿っていた。


わたくしは静かに頷き、彼と共に学園の中庭に向かいました。


「タリア、僕が……ヒロインと対峙した時、どうするつもり?」

その質問に、わたくしの胸がわずかに痛みました。

やはり、彼も感じているのでしょうか、この不安。


「わたくしは……何があっても、貴方の心を信じていきますわ。ですが、恐怖は感じているのです。」

わたくしがそう答えると、ベテアル様は少しだけ黙って考え込んでから、再び口を開きました。


「僕も、君を信じている。……ちゃんと今、君に伝えたい。」

そう言って、彼はわたくしをしっかりと見つめました。


「リアが初めて城下町で僕と一緒に行った時、君があの貴族に物申した瞬間……」

わたくしは少し驚きました。

その時、あの場面は覚えていましたが、彼がそれを覚えていてくれていることに驚きました。


「僕、あの時、君に惚れたんだ。」

ベテアル様の声には、どこか照れくさい響きがありました。


「どうして、あんなに堂々と意見が言えるんだろうって、ただただ驚いた。

君の高潔さ、誠実さ、そして……その後ろ姿が、僕にはどうしても頼もしくて。

あれが、僕の心を奪ったんだ。」


その言葉を聞いた瞬間、わたくしは心の中で大きな衝撃を受けました。

同時に、何か重く感じていた不安が少しだけ軽くなったような気がしたのです。


きっと、本来ならその恋心はヒロインの彼女に向けられていたのでしょう。

ですが、いつのまにか私が彼の心を奪っておりました。


「ベテアル様……」


「君がどれだけ強くて、どれだけ不安を抱えていても、僕は君のそばにいる。

君がどんな困難に直面しても、僕は君の味方だよ。」


その言葉を胸に、わたくしは少し安心しました。

彼がどんなにヒロインの存在に気を取られても、変わらぬ心で支えてくれることを信じて。


「ありがとう、ベテアル様。」

わたくしは微笑みながら、彼の目を見つめました。



「君は、僕やみんなのヒーローになりたがっているけど、

僕は君に、僕だけのヒロインになってほしいって思ってる。」


衝撃を受けました。

この世界は、ゲームのヒロインのために存在する世界だと、心の中では思っていたのです。

ですが彼は、彼の世界でのヒロインを私にしてくれた。


その言葉だけで充分です。


彼と共に、歩んでいくことを心に誓いながら、学園での新たな一歩を踏み出しました。

「君はヒーローになりたがっていたけど、私はヒロインになってほしい」


中学の卒業アルバムの寄せ書きに、そう書いてくれた友達がいました。


当時の私は外見にコンプレックスがたくさんありました。

なのでヒロインになる資格はないって思ってたんです。


みんなを笑顔にしたくて、ボケ役を務めていました。



「話が面白くって、楽しかった」

「優しくて面白くて最高だったよ」

「もっと話したかった。」

「いつも明るくて元気をもらえていたよ」

「これから先の道もその拳で切り開いていってください」


たっくさんのメッセージをもらいました。

嬉しかったです。


でも、

私は誰かのヒロインになるその時までは、誰かのヒーローであり続けようと思います。

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