2−17 殲滅
三十人の従者達の内、洞窟へ向かい逃げたのはたった七人しかいなかった。
残る二十三人は森の中、息を殺して隠れている。理由は様々だった。
恐怖で身体が竦んで、動けなかった者。
「ロードンがなんとかするだろう」と甘い推測をした者。
「森に隠れ、やり過ごすのが最善」と判断した者。
ロードンが腐れ落ちるのを見ていた者達もいた。絶望していた。
少女が森へゆっくりと入ってくる。
少女は、人間の気配を正確に捉えている。
三十一人の気配を。
――――
まず、森に隠れていた二十三人が殺されていった。
従者達がどこに隠れていても、全力で逃走しても無駄だった。
簡単に見付けられてしまう。
簡単に追い付かれてしまう。
仲間達の悲鳴を聞き続けた従者の一人が、森に火を放った。それなりに勝算あっての行動だったのか、ただの自暴自棄だったのかは分からない。
少女は火など全く意に介する様子もなく、従者達を腐らせ続けた。
森に隠れている従者達を殲滅した少女はすぐさま洞窟へ向かった。走り出す。
燃える森を抜け、ドラゴンの亡骸が中央に横たわる草原を抜け、小川がある森を抜けた。
「蠍の刺青の男」から始まり、二十五人が殺されるまで大した時間は掛かっていない。洞窟内へ逃げた七人の従者達も、まだ遠くない。
疲労と恐怖で足元もおぼつかない従者達七人。
ロードンすら圧倒する速度で走れる少女。
すぐに追い付かれた。七人は一列になって洞窟を移動している。
少女は、七人の列を後ろから一人ずつ腐らせていく。細く狭い洞窟に悲鳴が響き渡った。
少女は洞窟の先へ赤い眼を向ける。
生き残っているのは一人だけになった。
サナだけになった。




