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腐食姫  作者: 野中 すず
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2−4 サナ


 サナは岩だらけの地面に直接座り、水を飲んでいる。

 隣を見るとロードンが小さな寝息を立てている。脇には(つるぎ)が一本。銀を主体とした特殊な合金製らしい。恐ろしい切れ味を何度もサナに戦場で見せてきた。ロードンは戦闘時、物々しい鎧や盾を使用しない。


「オレが相手にしている連中の攻撃は、一撃もらったら終わり。防具など役に立たない。動きにくくなるだけ」


 以前、そう聞かされた事がある。


 この普段着のような恰好で戦う姿もまた、ロードンを讃える理由の一つになっている事をサナは知っている。


 サナは、「二人は恋人同士」と陰で噂話が広まっている事も知っている。

 いい気持ちはしない。

 同じ孤児院で育ち、物心ついたときには横にいた。

 恋人ではない。

 友だちでもない。

 家族でもない。


  強いて言えば、「相棒」?

 お互いが、お互いの能力を必要としているだけだろう。


 ロードンには、貸しもなければ借りもない。


 サナはいつもそう考えている。



 次にサナは従者たちを見た。干し肉を食べる者、水を飲む者、仮眠を取る者など様々だ。

 屈強な男たちでも、今回の荷物の重さに疲弊しているのは明らかだった。

 荷物のほとんどは(かめ)であり、中にはサナが作り上げた毒の粉末が詰まっている。

 この粉末が皮膚に付着した生物は身体が麻痺して動けなくなる。

 ただしそれは、「巨大な生物」に対しての話である。人間など一()まみ触れただけで即死だろう。

「腐食の王」討伐のため、ロードンはサナに「若いドラゴンに使用した量の十倍の毒」を求めた。与えられた準備期間は一年。サナはその「十倍」に何の根拠もないのは分かっている。必要量を計算しようにも「腐食の王」の情報がほとんどなく、あっても言い伝えのような話ばかりで参考にならなかった。

 誰にも分からなかったのだ。「十倍」で足りるか、余るかなど。

 

 不安を拭えないサナは研究を進め、毒の効果を少し高める事に成功した。

 単純に今回サナが一年かけて準備した毒は、重量だけで見ると「十倍」だが、威力で見ると「十二倍」と言える。凄まじい毒である。



 だからといって、サナが安心出来た訳がないが。




 

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