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1−10 天啓
胎児が産声を上げたとき、遠く離れた街の孤児院で一人の子供が倒れた。
七年前、この街の教会に捨てられていた赤ん坊。親も里親も見付からず、この孤児院で暮らしていた子供。
その子供は一晩高熱に浮かされたが、翌朝には目を覚ました。
周囲の人たちは、子供に昨夜の異変を説明した。
――いきなり倒れるから驚いたんだぞ。
――ベッドまで背負われて行ったのよ。
子供は何も覚えていなかった。
しかし、子供は目覚めたとき確信めいた何かを感じていた。
自分がこの世に生まれてきた理由?
大人たちがたまに口にする「運命」や「宿命」というもの?
そのようなことを考えている間も、子供の脳内には未知の技術、知識が溢れ出ていた。




