29話:頭にお花畑がある人たち
初めのほうは、わけがわからないと思いますが・・・・まぁ~うん。
そういうことなんです。
・・・・1か月近く更新が途絶え始めた今日この頃。いえ、前からですね。
待ってくださっていた方、本当に申し訳ないです。
少しでも楽しんでいただけたら光栄です!!
さて、いったいどういうことなんだろうか。
それが、僕が最初に思ったこと。
僕は今まで、家のリビングにいたはずなのに、今はよくわからない風景が目の前に広がっていた。
夢を見ているのだろうか?
もしかしたら、雅人と会話しながら寝ちゃったとか・・・。そんな間抜けじゃないことを信じたい。
今、僕の目の前に広がる景色はどこかの民族の家であるらしく、教科書でしか見たことない置物や巫女の姿をした女の人いた。
祭壇らしき置物に向かって必死に祈っているように見えるこの光景は、何故だかすごく焦る気持ちにさせた。
いったいこの人は誰だろう?何故僕はこんなところにいるんだろう?
それらの疑問が僕の思考を支配する。
『おや、目覚めたんかぇ?』
『はい。いろいろとご迷惑をおかけします。』
巫女姿の女の人から声が掛けられた。
それに僕が答えるまでもなく、僕の口から勝手に言葉が発せられる。
唖然としながらも、とりばぁーと呼ばれた巫女はゆっくりと後ろを振り返った。
つまり、僕の方に身体を向けたのだ。
『いんえ、わしの方こそ迷惑をかけたのぅ。力が足らんばかりに結界が破られてしもぅて。今は、そなたのお蔭でこの社だけは守られておる。』
とりばぁーの言葉に僕は、いや・・・僕じゃない僕が首を振った。
それにしても、若い巫女の姿をしているのにもかかわらず発せられる言葉や身にまとう優しげな雰囲気は老人特有のもののように感じた。
長年生きている証のような感じがするんだけどなぁー。
見た目に騙されるなってことかな?
『僕の力ではこの社に結界を張ることしかできませんでした。』
『よいよい。わしも今はここにいない佐乃助も赤朔も助かったんじゃ。』
佐乃助・・・聞いたこともない名にもかかわらず、何故か心臓が脈打った。
『そうだ!!サノはどこに!?赤朔までいないなんて・・・。』
『サノと赤朔は、そなたを助けるべく陰を滅しに行きおった。』
『!!!赤朔はまだしも、サノにそんなことができるわけないじゃないですか!!!そもそも僕は今起きているのに・・・。あれ?なんで起きれたんだろう?』
どうやら、赤朔というやつはそこそこの実力があるようだが、サノと呼ばれる人物は勢いだけで陰といわれるやつらを倒しに行ったらしい。
樹みたいな性格をしてる・・・樹は、猪突猛進だからなぁ~。
『それはのぅ・・・・片割れが帰ってきておるからなんじゃ。』
『片割れ...帰ってきている...。ということは!!』
『ふむ。二分した世界が引き合い始めているということじゃの。』
『では・・・・』
『いんや・・・・』
僕にはさっぱりわからない話を始めてしまった2人の会話が途切れ途切れにしか聞こえなくなり、次第に景色もぼやけてきた。
この感じは・・・・授業中だんだんと意識が薄れていく感じに似ている。
いったいなんだったんだよ!!
今度はその疑問が頭を支配した。
* * * *
「でよーーー。」
間抜けな声が耳元で聞こえた気がした。
気のせいだろうと思いそのまま目を閉じる。
「いや、あの~亜樹ちゃん?人の会話中に寝んでもよくね?」
うん。この声は雅人の声だ。
それを理解すると一気に意気消沈した。
「お前が長々とくだらない話をするからだろ!お蔭でこっちは、変な夢まで見てしまった。」
「へぇ~どんな?」
「言わないし、教えない。」
「もぅ!アキちゃんのイ・ケ・ズ(ハート)」
「雅人・・・・地へ帰れ!」
人差し指で僕の額を突くまで付けてくれた雅人に最大級の笑顔で答えてやった。
「あ、いや、えーと・・・。はい!亜樹先生、この笑顔は子供に悪いです!悪い影響を及ぼします!!」
「大丈夫だ。安心してよ、この笑顔はお前専用だ。」
「うれしくねーーーーー!天使の笑顔の裏には般若の顔がある表情ほしくねーーーー!」
「受け取ってよ。友情の証だろ。」
「無表情もやめて。」
「ちなみに、無視もお母さんいやだなぁ~」
雅人の会話に乱入してきた母さんは、僕に抱き着きながら言う。
僕は抱き着かれた腕をやんわり解きながら母さんの方をむいた。
「あれ?演劇は終わったの?」
「もぅ!!終わっちゃったわよ!!せっかく由衣ちゃんがノッてくれてたのに、亜樹ちゃんたち素通りしちゃうんだもん。ひどいわ!!」
「そうだよ亜樹くん。せっかくの名演技に参加しないなんておっくれてるぅ~。」
ねー?と仲良く顔を見合わせる2人にいろいろと突っ込みたいことがある。
「だいたい毎日やってるじゃん。それに、由衣先輩。自分中心の世界はいい加減やめてください。先輩の頭はいつもお花畑なんですから!!」
「ひどい!私これでもかわいい性格してるね?ってみんなに言われているのに!!」
「すっげぇー遠回しに、バカにされてないか??」
由衣の言葉に雅人が突っ込む。
これで樹がいたらいつもの光景になるのに・・・・。
今は樹がいない。
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由衣先輩を引き連れて、ついでに雅人までついてきたけど・・・とにかく家に帰った。
玄関の扉を開けるとびっくり...まではしなかったけど母さんが倒れていた。
「叔母様!!」
倒れている母さんにすかさず由衣先輩が近づく。
この時、母さんの指がピクリと動いたのを僕は見逃さなかった。
「叔母様!!叔母様!!!!いやぁぁあああああ!!」
きっとこの場面は、母さんが何かの事故により息を引き取ってしまったというところだろうと解釈をした。名演技をする由衣先輩を余所に勝手に人様の家のリビングでくつろぎ始めた雅人に一発見舞った。
「何、人ん家で勝手にくつろいでんの?」
「いや、いずれ俺もここに住むからさぁ~」
キランとでも音がしそうな輝く歯を見せながら雅人が言う。
雅人いわく歯は命らしい。虫歯は生まれてこの方ないというくだらないことまで思い出してしまった。
「冗談は寝て言って、むしろ今すぐ出てけ。」
僕は、ニコリと笑顔で玄関を指さす。
「そんな、ひどい!!親にも言われたことないわ!!」
「あるだろ!!何度もその現場を見たよ。」
「あ~あれは、親じゃない。幻覚だ。いつも言うんだぜ?うちの子が亜樹ちゃんのように可愛ければ、亜樹ちゃんのように優しければ、亜樹ちゃんのように頭が良ければ、亜樹ちゃんのように・・・てな?まぁ、一部は猫かぶってるのになぁ~なんでばれないんだ?」
「それは人徳の差じゃない?」
「ひでぇー。」
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とここから、雅人の今までの恥ずかしい人生経験論を聞かされていたわけなんだけど。
気付いたら寝ていて、夢を見て、目が覚めたという話を夢の内容も交えて話した。
そう、結局母さんや由衣先輩ついでに雅人にまで話していた。
母さんの巧みな話術によって無理やり言わされたというほうが正しいだろう。
「へぇ~~~~。」
「雅人は、へぇしか言えないんだね。可哀そう。」
「んなわけないだろ!マジで可哀そうな人を見る目で見んな! あれだろ!!ようするに亜樹は夢の中でそいつと合体したわけだ!!」
「へーーーーーんしーーーーーん!!みたいに?」
「そうそう、よくわかってますね由衣先輩!」
「あら?じゃぁ美少年が美少年と合体したら美美少年になっちゃうわね!」
彼らの頭にはきっと宇宙人がいるに違いない。
だいたいなんだよ。合体って。気にするところそこじゃないだろ。
そもそも、そいつの姿すら見てないのに声しかしいてないのに何故美美少年になる?
・・・・美美少年ってなんだろう。
「そんなことはどうでもいいから、樹がどうなったかを教えてくれるんでしょ!!」
美美少年の意味なんかどうでもいいんだった。
夢のことさえこの際置いといて、一番知りたい樹の居場所を聞くんだ!
「えっとねぇ~・・・・。いっきちゃんは・・・・・・・・この世界にはいませーーーん!!」
どうだ参ったろうといわんだかりにドドンと胸を張る母さんに僕は思考が停止した。
合体・・・スーパーロボ!という変な単語が頭に浮かびました。
すみません、関係ないですよね。
今回の話は、何やらお母さんが知っているようですね。なんで知っているのかはまぁ、そのうちお話としてでます。
絶対に!じゃないとお話がつながりません!!
更新は8月までにもう一話できるように頑張ります!