21話:何故ここにいる?その理由が必要なのだろうか。
短めに書こうとして失敗したヒト。
そして何故だか、シリアスモードに突入しそうです。
ドーンドーン ドドーン
村全体に響き渡るようにか、太鼓を叩く力がさっきよりも強くなっている気がする。とサノは一人でそんなことを考えていた。
サノがいるのは広場の中央・・・・そう、舞台がある場所。
つい先ほどまで、赤朔とコノハと一緒にいたのだが、時間になったとのことで、2人はどこかへと行ってしまったのだ。
正確にいえば、舞台で行われる『お楽しみ』の時間が迫ってきたので、しぶしぶながら迎えに来た天羽に連れていかれたのだ。
サノに言わせれば、コノハが天羽に攫われたとのこと。
「んで、ここで待ってればいいのか?」
何が始まるのか、サノにはわからない。
ただ、2人は護子であるから出し物をしなければいけないということを村を周っているときに聞いた。
「護子だから?護師もそうなのか?何かしら一つの特技でも持っていないと、護師・子になれないのか?意地悪なことだ。」
「何故そう思うのじゃ??」
「だってそうだろう?もし、俺みたいにさ、何の取り柄もない奴が護師になりたくて志願しても特技がなければなれないだろう?
いや、違うな。特技があってもそれが優れていないと・・・。」
「なれないと?佐乃助はそう考えるのじゃな?」
「・・・・たぶん。確信はないけどさ。なぁ、天羽・・・この際、お前がいつから俺の肩にいたのかなんて問わないからさ、俺の疑問に答えてほしい。」
そうサノはいつからか肩にいたのかわからない天羽に言った。
対する天羽はどこか残念そうな声で答える。
しかし、帰ってくる答えはいつもながらに予測を反するものだった。
「ほほう、初めてのするーじゃな。」
「いや、何度かスルーしたことなかったか?だいたい、なんでお前は『スルー』という言葉を知っているんだよ!?『ツンデレ』もそうだったけど!」
「・・・・・・ないのぅ。それに、わしゃぁ、なんでも知っておるからのぉ~なんら不思議はなかろう。」
「・・・あるはずだから。お前の頭は、お前の都合の言うように解釈されるんだろうな。そして、とりばぁーが知っていたのなら不思議はないが、お前が知っているというのは何処の誰が聞いても不思議に思うはずだ!!」
「ほっほっほう!それは良き事じゃ~!」
「よくねぇーよ!!って話が逸れていく!!そして最後のほう聞き流しやがった!!」
サノは鳥になっている天羽を鷲掴みし、地面へと投げ付けた。
地面に落ちる前に、天羽は人型へと変わり持っていた扇でパタパタと仰いだ。
そして、あせった顔もせず、逆にしてやったりという表情でサノを見た。
(あの顔はさっき、天羽が私にしたスルーか!?そのスルーに対しての顔か!?)
勘違いなのか、当たっているのか分からないが、どちらにしてもその表情はサノの浅い沸点に辿り着くものだった。
つまり、只今サノは怒り中なのである。
しかし、その沸点も天羽の巧みな言葉遣いで、一気に冷える。
「まったく、危ないのぅ~。わっちじゃなかったらどないしとたんや。」
「・・・・・言葉づかいをいろいろと変えないでくれないか?頭が混乱する!そもそもお前だからこそ(投げれるんだよ)できるんだよ。」
「いいじゃなかとかぁ~。多種の方言を操るわっち・・・尊敬に値するじゃろぅ?だからこそ、佐乃助も信頼してわっちを投げれるんじゃな。ふぉっふぉっふぉ!」
「ちげぇーから。しかも、誰も尊敬してねぇーよ。」
「ふぉふぉふぉ。佐乃助もわっち同様、言葉づかいがいろいろと変わることに気づいておるか?」
「・・・・・まぁ、お前のときだけだけどな!!こんな言葉使ってたらコノハに嫌われるしな。」
「果たしてそれはどうじゃろうか?どのような、お前さんでも小僧は気にしないと思うがな。」
久々に聞いた気がした。天羽の「お前さん」という呼び名。初めて会ったときに呼ばれた呼び名。
そしてその時の天羽はたしか、おっさんだったはず・・・・でも、今の人型は老人だった。
コロコロと変わる天羽の姿。
どれが本当なのかが分からなくていつの間にか、考えるのを止めていた。
本当の天羽は、「白い鳥」ということだけを知っていればいいとサノは思ったからだ。
いや、考えるのを止めていたのは、「天羽」のことだけではない。「コノハ」のことだってそうだ。
あの時言われた言葉の意味を考えるのを止めた。
そして今、自然と口からでてきた「コノハに嫌われる」という言葉が何故でてきてしまったのかを考えもしない。
それは、「無関心」だからなのだろうか?
(いや、違う。)
サノはそう心の中でいいはるだろう。
本当は、「全てを受け入れれば楽。」だと考えているからだ。
それが、無関心ではないと言えるのであれば。
「小僧っていうなよ。確かに子供だろうけど・・・。それに歳、聞いてなかったな。今度聞いてみよう。」
「して、問いとは何かや?」
「ああ、そうそう問いってのは・・・って待て。お前から話逸らしといて、戻すなよ!なんか俺がバカみたいじゃないか!」
「そう思うのは、自身が認めているからなのだろうのぅ~可哀そうにのぅ。」
「何故そうなる!?そしてまた、話を逸らそうとするな!!」
「逸らしてなかとよ?それにのぅ。その問いをする前に、この祭りを楽しんではどうじゃ?」
「いや、十分楽しんでいるよ?何処をどう見たら楽しんでないようにみえるんだよ。」
「見えるともぅ~。その『問い』をしようとするのだからの。」
「・・・。」
(もしかして、もしかしなくても・・・・天羽は気づいている?私が問いたいことを?そんなこと・・・)
「あるはずがなかろうて?そんなことなか。わしゃぁ、知っておる。とりばぁー様の次に優秀と言われとるからのぅ。」
「・・・何気に自慢しないでくれる?だったら、何を問いたいか言ってみてよ。私が、『問い』たいことを!!」
言葉遣いが、戻ってしまっていることは気にしないことにした。
何故って?
ここには、コノハも赤朔もいない。つまり、バレても困らないってこと。
サノはそう考えながら、「ほら言って御覧なさいよ!」っというように、天羽を見た。
「では、言おうかの?
『自分はもしかして死んでいるのではないか?』
『死んだからここに来たのか?』
『そんな自分には役目があるのか?ないのなら、何故ここにいる?』
じゃろう?そして終いには・・・・・。
_______『旅人は・・・本城 時宗は、自分の父親なのではないか?』」
気づけば、8月1日。
見捨てないで下さったかたに感謝&感激。
せっかくのお祭りをサノ自身がシリアスにしてしまうという問題が発生。
どうなるのでしょうか?
次回こそは、短めに書いてすぐに更新ができるようにしたいという作者。
しかし、下手だからそこ長くなってしまっていると何故気づかないのでしょう?
悩みどころですね。