13話:赤い髪の男
12話最後の方変えました。でないと、話が続かない。
コノハは唖然としていた。
見知った顔があったからだ。いや、入ってきたからだ。
赤い髪で、一房ばかり白い髪がある長身の男だが、草十郎よりは低く顔は整っている方だが口調が悪いと評判である男だ。
そして何より性格が一番問題であったりもする。そのせいかコノハも苦手とする相手だった。
「・・・何故。何故、赤朔がここにいるのですか?」
赤朔と呼ばれた男はコノハに目をやると鼻で笑った。
「全然おもしろくねぇーなぁ?コノハちゃん??少しぐれぇ驚いた顔を見せても良いんだぜ?可愛いお顔のコノハちゃんが驚いた顔したら、そりゃもう俺サマだって惚れちまうかもな。」
ハハハハハっと笑う赤朔にコノハは睨んだ。
「話を逸らさないでほしいのですが。」
「おいおい。別に俺はそらしてなんかねぇーよ?」
「だったら・・・。」
「フン。お前と違ってなぁ~。忙しすぎる俺サマがこんな寂れた村に来るってことはよぉ、一つしかねぇじゃねぇか。」
「・・・。」
「おやおや?わかんねぇーの??天下のコノハサマにゃぁわかんねかったか?教えてなんかやらねぇーよ。」
「赤朔・・・。」
「あん?聞きたいんならババァだせや。」
さすがにコノハもこの言葉を聞いて何かがぷつんと切れた。
「・・・いい加減にしたらどうだ?私に対しての暴言は許そう。しかし、あの方にそのような言葉遣いをするとは礼儀がなっていないんじゃないのか。」
「フン。なにエラそーに言ってんだ?たかが、俺より先に護子になっただけだろ?歳は俺の方が上ってんだよ!!」
赤朔はコノハに拳を挙げようとしていた。
バコッ
赤朔は唖然とした。自分に何が起こったのかが分からなかったからである。
コノハを見るがコノハ自身も目を見開き呆けた顔をしていた。
「っう。」
赤朔は殴られた腹を抱え蹲った。
そして、自分を見下ろしている相手を見やった。
「さっきからずっと見ていたが、ノックもせずに、勝手に部屋へと上がり。自分よりも先輩にあたる者へ対しての敬意もなく。終いには、目上の者に対しての礼儀もなっていない。最低だな。」
サノは覚めた目で赤朔と呼ばれた男を見ていた。
そしてドスの効いた声をその男へと投げた。
「しかも、何んだ?怒られれば、手を挙げるのか?どんな相手にも?」
サノは怒っていた。コノハだけではなく、とりばぁーに対してもの暴言。いくら護子が偉かろうがサノの堪忍袋が悲鳴をあげていたため、つい手がでてしまったのだ。
そんなサノに対してコノハはただ目を見張るしかなかった。
赤朔の暴言に怒りを感じていたのは自分だけではなかったということ。
また何よりも、自分より早く動き赤朔の腹に一発入れたことにもコノハは驚いていた。
(・・・サノは強いんだ。)
そして驚くと同時に関心していたりする。
「き、貴様。いったい誰に対して手を挙げたと思っているんだ!?分かっているのか!!」
「ぎゃーぎゃー煩い。分かっているさ。人間だろ?別に悪いことじゃない。それに口より先に手が出てしまうのが性分なんでな。許せ。」
赤朔はまたしても、唖然とした。
(何を言っているんだコイツ。わかってねぇんだな。護子に対して手を挙げるのだどれほど重罪であるかを・・・。)
「貴様は牢に入るほどの重罪を犯したんだぞ。」
「ほぉー。そうなのか?では、自分より目上の者を罵倒するのは重罪ではないのか?」
「・・・・。」
「この社にいるお方は、お前達人間よりも遥かに偉いと思ったのだが、気のせいだったのか?」
「っく。」
「それに・・・お前のせいで大切な話が途ぎられてしまった。どうしてくれる?この苛立ちどこに向ければいい?」
自分勝手なことを言っているとサノは自覚していたがどうしても口に出しておきたかった。それほどまでに、サノは赤朔のことを嫌っていたのだ。
(驚いたなぁ~。初めて会った奴にこれほどまで嫌いになるなんて・・・心が狭くなったのか私。)
それにっとサノは思う。
(ここは日本だろ?なんで赤い髪がいるんだよ!!しかも白も入っているって・・・。最近の奴でもそんな髪の色にしないぞ・・・。きっと。)
「・・・・・。」
「だんまりか?あの威勢はどこにいった?まぁいい。出直して来い。どうせ、強引にここに来たのだろう?」
「・・・。」
「何故分かるってか?外がな・・・騒がしいんだよ。侵入者ってな?」
「っく。」
赤朔は自分を見下ろしている女のような男に対してなにも言えなかった。
言えなかったばかりか、その男が発する殺気に手が震えだしていたのだ。
赤朔は何も言わずに立ち上がり、戸を開け外に出て行った。
そんな赤朔を見てコノハはサノに何ともいえない感情を抱いた。
「・・・ふぅー。まったく、なんだ?あのガキは・・。」
「ガキって。赤朔はもう16だよ。」
「16って俺より2歳も下じゃん。それに16はまだまだガキだぜ?」
「じゃぁ、僕はどうなるのさ?」
「・・・さぁ?」
「誤魔化してる。」
「んなことより、コノハは護子のなかでも偉いほうなわけ?」
「う~ん。一応かなぁ?」
「一応って・・・。入ってからの年数の違いとか?」
「ううん。そんなのじゃないよ。優能な人はすぐに護師になれるから・・。」
「なんかその護子とか護師とかにもランクがあるわけ?」
「らんく?」
「えっとー。称号みたいな。」
「ああ。うん。あるよ?」
「ちなみにコノハは?」
「弐。」
コノハの顔を暗くなった。サノは焦る。
(え?2って低いわけ?称号って簡単にあがったりするのかな?)
「2?ってどんくらいなわけ?」
「下から二つ目。」
(あぁ。地雷を踏んでませんように。気を取り直して。)
「んじゃぁあいつは1ってこと?」
「うん。壱から伍まであって、伍になると護師になるための試験が受けられるんだ。でも、称号があがることは滅多になくて・・。」
「あぁ、じゃぁ何年もその称号のままだったりするわけだ。」
「そうだよ。だから皆、護師になるために名声を上げようとするんだ。」
「コノハも・・?」
「僕はまだいいよ。称号が上がる度に危険な仕事が回ってくる。その仕事を受け持つには僕はまだ早い気がするんだ。」
「慎重派なわけ?」
「・・・多分違うよ。きっと怖がりなだけだから・・。」
「ふ~ん。まぁゆっくりでもいいんじゃね?コノハまだ若いんだからさ。」
「うん」
俯いてしまったコノハにサノはどう声を掛けるべきか悩んだ。
悩んだ結果がこれだ。
「んでさ、さっきの話の続きがしたんだけど・・。」
(なんて気が利かないんだろう。・・ごめんね?コノハ。私は自分に正直らしんだ。)
「え?あぁ、うん。・・それで何が不思議に思ったって言ってたっけ?」
「ええっと。コノハたちは・・・この世界が惑星であることをいつ知ったんだ?いや、違うなぁー。う~ん自分達が惑星のなかに住んでいるということを・・。」
「?生まれたときからその知識は備わっていたよ?サノはその知識まで忘れてしまったの?」
「うぇ??生まれたときから知っていたって・・。」
「ふぅ。なんだそれまで忘れちゃったんだね。あ、でも生まれたときはただ知識があるだけで、なんのことかわかってないんだよ?だって当たり前じゃん。生まれてすぐの赤ん坊が言葉を理解し話していたら変でしょう?」
「まぁそうだけど・・・。」
「自我を持ち始めたときに、その知識をやっと理解できるんだよ。いや、理解できるって言うか思い込むってほうが正しいかも。」
にっこり笑いながら言うコノハにサノは少なからず恐怖を抱いていたりする。
自分達の世界とは違って生まれたときから備わっている知識に対してじゃない。
(なんで・・・不思議に思ったりしないんだろう?思い込みって・・それでも無理がある気がするんだけど。)
「思い込むねぇー。コノハは不思議に感じたことはない?」
「何が?」
「だから、その・・・。その知識が何故備わっているのかとか。」
「どうして?だって、神様がその知識を僕らヒトに与えたものなんだよ?不思議に思うことなんてないよ?」
「・・っつ!!」
サノは唖然とした。神が実在すると信じきっているコノハに、否、この世界の人々に対して驚いていたのだ。
(ほ、本当に存在するわけ?神さまが??だったら・・・なんで。)
「サノ??」
行き成り黙り込んでしまったサノにコノハは心配そうに声をかけた。
コノハの方は逆にサノに対しての恐怖を感じていた。
(サノは全ての記憶を忘れてしまっているんだ。・・・どうしよう?洗礼のことも忘れてるんじゃないのかな?)
「あ、ごめん。コノハ?」
我に返ったサノは今度はコノハが黙り込んでしまったのを心配した。
「ん?なんでもないよ。」
「そうか。」
「ねぇ。サノ・・・洗礼のことはさすがに覚えているよね?」
「せんれい?何かを清めるのか?」
「!!!」
「そんなに驚かなくてもいいんじゃね?言ったろう?記憶喪失だって。」
「でも、そこまで酷くなくても・・・。」
「その洗礼は、すっごく大切なわけ?」
「あ、当たり前だろう!!
サノはコノハの気迫に驚いて、一歩下がった。
(・・・。洗礼=大切なモノっと。)
「・・・。どう大切なんだ?」
「はぁー。」
「いや、ため息をつれてもな?」
「わかったよ。さっきの続きを話すから今度は黙って聞いててよ!!」
「手短に頼む。」
「注文が多すぎなんだけど・・。」
「気のせいだろ?それに、良心として・・。」
「あ~もう!!わかったよ。子供に聞かせる方で話すから!!」
「おぅ!!いい説明方法があるじゃん。」
「・・・普通はこっちを話したりしないんだけど。仕方ないよね?サノだもん。」
「おい、コラ。何、自分は俺の全てを知ってます。みたいに言ってんだよ。」
「っふ。いずれそうなるよ。」
「・・・。」
(なったらやばいんだけどね?)
サノは座りなおして、コノハの方を向いた。
そして、コノハが再び口を開いた。
そう、今度はさっきよりも簡単な説明で・・・。
赤髪さんこれからちょくちょくでてきます。
迷惑なほどでてきます。いえ、出てこさせます。