12話:世界のできかた
戸を叩くサノをコノハはじっと見ていた。いや、叩く前から・・・つまり、出会った時からずっとである。
何故自分がこんなにも、サノを見てしまうのかは、心当たりがあるが、認めたくないので無視をしている。
だが。とコノハは思う。
(・・・。サノが時々女の人に見えるのはきっと気のせいなんだろうなぁ~。僕、どんどん危ない人になっている気がする。)
そんなコノハの視線にさえ気づいていない当人のサノは、深呼吸を一つ。
「とりばぁー。い、佐乃助です。」
サノは、危うく【樹】と名乗りそうになりながらも、なんとか名乗る。
「お入り。」
「はい。」
戸を開くサノ。
戸を閉めるサノ。
コノハを見るサノ。サノの行動に驚くコノハ。
「?どうしたの?」
「言い忘れていたことがある。」
「何?」
「何を見ても驚くなよ。」
「一体何が待っているのさ?」
「さてな。」
サノがもう一度戸を開け入った。
コノハは不審に思いながらもサノの後に続いた。
「座りなされ。」
とりばぁーの言葉にサノとコノハは、庵を囲んで座る。
サノは驚いていた。コノハが何も言わずに平然としていることに。
(護子って、やっぱり他の人とは感覚が違うのかなぁ~。)
なんて感心しながらコノハを見ると。
ああ、やっぱり。とため息をついた。
「コノハ?大丈夫か??」
「う。ぇ?ううん。大丈夫だよ?」
コノハは驚いていた。
とりばぁーが、鳥の姿をしていることに。しかも鳳凰である。
コノハはサノからわずかに離れていた。しかもとりばぁーよりも驚いたことである。
サノが心配そうな顔でコノハの顔を覗き込んでいたからである。
(~~~~近!!サノ、顔が近い!!)
サノのことが、●●なコノハにとってそれは、あまりにも嬉しいことなのだが、恥ずかしいのほうが勝ってしまう。
またサノのほうは、安心した。コノハがとりばぁーを見て固まっていたのが、解れたことに。
そんな、2人をとりばぁーは微笑ましそうに見ていた。
「佐乃助。」
「は、はい。」
サノは、慌てる。自分が呼ばれたことに一瞬気がつかなかったからである。
(あ、危ない。名前変えたんだよ。・・・でも、なんかとりばぁーに呼ばれると違う人みたいな気がする。)
「記憶のほうで、何か思い出すことはできましたか?」
「・・・いえ。すみません。」
「良いのですよ。そんなに、落ち込まないでください。何も記憶が戻ったからといって、村から出て行けなんていいませんからね。」
「・・・ありがとうございます。」
サノはそういいながらも本当に感謝していた。自分勝手に決めた、【記憶喪失】というもの。それに、とりばぁーはちゃんと合わせてくれていたからだ。
コノハの方はとりばぁーとサノを見てサノに対して驚いていた。
(サノは凄い。とりばぁー様の魔力を気にも留めずに整然としているなんて。・・・僕にはまだ無理だ~~)
横で、コノハが落ち込んでいるのに気づかないサノ。気づいているとりばぁー。
そんなとりばぁーがコノハを見てサノに言った。
「佐乃助。そのたは、護師と護子について聞きたがってたのぅ。」
「はい。」
サノがそう答え。その問いにコノハがサッと顔を上げた。
「記憶を無くし全てのコトを忘れてしまっているのにも関わらず、今知りたいと思うのは【護師】と【護子】についてじゃと。今更じゃが変わっておるよのぉ。」
「ぅ。そうでしょうか?(てか、コノハも【ごし】とやらだしぃー。気にならないわけがない。)」
「そうじゃ。まぁ、そなたの隣には【護子】である、コノハいる。」
行き成り話に名を出されたコノハは慌てた。しかし、サノと目が合うと微笑み落ち着きを取り戻した。
サノはそんなコノハの笑顔に癒され、内心では自分自身の不満を言っていたりする。
「あ、やっぱり、コノハに聞いた方が早いとか?」
「うむ。その方が良かろうて。」
「そうだけどさぁ。う~ん、じゃぁさ、この世界というか現状と昔のことについて教えてよ。記憶無いからさ全然わかんなくて・・。」
「そうじゃなぁー。では、コノハよ。この世界について説明してみなされ。」
「うぇ?あ、はい。」
コノハは不思議だった。サノの記憶喪失というものは、どこからどこまでの記憶を失くしているのかという疑問が生まれたのだ。
しかし、そんな疑問もすぐに消えた。とりばぁーから話を振られたからである。
「『 暗闇があり 光が生まれ 星ができ 生き物が生まれた
そこに 文化が生まれ 争いが起こり それは大きくなった
仏が 神が 地獄の大魔王が 嘆き悲しんだ
その涙が 影を作り それを消さんと人は武器をとった
影は 陰 と呼ばれ それと対なる 陽 が現れ
人々は 陽 との共存を選んだ
それが果たして正しい選択だったのかは誰にもわかるまい 』
これはとりばぁー様が謡った詩のなかにあるものです。
つまり、この世界は【生き物】がいて【変聖物】がいて【陰】がいて【陽】がいます。
【生き物】は僕やサノのようなヒト、植物や他の動物を指し、【変聖物】はとりばぁー様のような方々を指します。
また【陰】と【陽】は詩にも出てきたようなモノでもあり、ヒトの裏と表とも言われています。
始め僕たちヒトは【陰】に怯えて暮らすだけでしかありませんでした。
【陰】がヒトに何か危害を加えたわけではありません。
ヒトが【陰】によって、危害を加えられたわけではありません。
ただヒトは怯えていました。
その姿が闇に包まれているだけで・・・。」
サノはコノハの話を聞いていると不思議に思うことがいくつもあった。
まずこの時代の人々は既に、宇宙や惑星があったことを知っているかのように・・・。
(この時代の人はどうやって知ったんだろう?そもそも、実際に神や仏がいたのかよ。)
サノは混乱していた。そのせいか頭が痛くなってきたのだ。
(慣れない頭を使うからか?そもそもそんなに難しくはないはずなのになぁ~。私は本当に、馬鹿なんだろうか?)
サノは悲しみながらため息を付くと、ふと疑問に思った。
(待てよ。とりばぁーが語った詩って言ってたよな?とりばぁーは何を知っているんだ。それにこの世界はどういう構造をしているんだよ!!)
余りの不明さに額を押さえながらサノはコノハの話を遮ることにした。
「ちょ、ちょっといいか?コノハ。」
「?何?」
「なんか、いろいろと変なことないか?」
「・・・・。例えば?」
「【陰】と【陽】がどうやってできたのかはわかった。また【変聖物】っていうのがとりばぁー達のことを指すってこともわかった。でも・・・」
サノはどう言葉を繋げればいいのかわからなかった。
(どういえばいい?何故、この惑星の外が宇宙であることを知っているのか。とかそのまんま言ったら絶対怪しまれるなぁ・・・どうしたら・・)
「サノ?」
コノハは首を傾げた。サノが何を言いたいのかさっぱり分からなかったからだ。
(サノは【陰】と【陽】が何故いるのかを理解できたのに、何が知りたいんだろう?)
たいてい理解するのが難しいといわれている【陰】と【陽】であるため、コノハには不思議に思えるのだった。
それに2人はとりばぁーがいつの間にか姿を消していることに気づいていなかった。
「あ、あのさぁー・・・」
試行錯誤しながらサノが口を開こうとすると。
ッバン
「ふん。まだ、こんなところにいやがったの。」
戸が勢いよく開くと同時にとげのある口調で長身だがまだ顔立ちが幼い男が入ってきた。
最後のほう、変えました。
次が全く違ったヒトになってしまったためです。ハイ。