11話:村に着きましたが、何か?
ペタペタペタ ザッザッザ
2つの足音が村に低く響く。
コソコソコソ ゴニョゴニョゴニョ
足音の持ち主たちを囲むように、人?の声が囁いていた。
「・・・?なんだ?」
村の住人どもの様子がおかしい。サノは、村に入ってから約5分経過して気づいた。
隣を見る。コノハは、何事もないかのようにニコニコしていた。楽しいことでもあったのだろうか?
しばらく歩く2人。とりばぁー宅に向かう2人。その後に続けとばかりに村人たちが連なる。
(おかしい。今の時間は、夕食の準備をしているはずなのに・・・なぜだ?)
パタリ
足を止めてみる。隣のコノハもそれに習って足を止めた。ついでに、後ろの奴らも足を止めた。
(待て。まてまてまて。意味わかんねぇーから。)
サノは、混乱した。頭が、パンクまではいかないが、混乱している。
「おぉ。これはこれは、佐乃助殿。遅かったですのぉ~。」
首を傾げ考えているサノに、前方から声が掛けられた。天羽である。
「・・・。ッハ!!お前のせいか!!天羽!!」
「いやはや、何のことやら?」
つかつかつかっと、天羽に駆け寄り、一発見舞った。見舞ったはずだったが、避けられた。いや、避けたんじゃない。
天羽は、サノが右ストレートを当てようとした直後、鳥に変化したのだ。
「お前という奴はぁ~~~~!!」
「危ないでっせぇ~」
「自分が、何をしたのかわかっているのか!?」
こんな会話をすると、たいていが重大なミスをしたかのように思えるだろう。
だが、違う。確かに、サノとコノハにとっては、重大なことかもしれないが、他の人にとってはどうでもいいことである。
「ええ、ええ。分かっておるよい。佐乃助殿とそちらのお方がぁ~・・・」
「羽、むしるからな。」
ボソっとサノが呟いた言葉に、天羽は身を竦ませた。
コノハは、いったい何が起こっているのかわかっておらず、ただ、サノと天羽を眺めていた。その視線を送る瞳は、どこか嫉妬を含ませながら。
そんなコノハの様子に気がつかないサノ。気がついている天羽と愉快な仲間たち(村人)は、微笑ましそうに見ていた。
「あぁん?天羽は、何を笑っていやがるんだぁ?」
「気のせいですじゃ。」
「気のせいなわけあるかい!!」
「とりばぁーのもとへ行くのでは?」
「行くよ!!行くけどな!!」
「おやおや、お連れの方がお暇をしておるようですのぉ~」
「話を逸らすな!!」
「ふぇっふぇっふぇ。」
クソっと毒づくサノは、チラリとコノハを見た。
コノハは、サノからの視線に気づきニコリと笑った。
(~~~~~っかわいいっ!!って、危ない。思わず顔が歪みそうになった。)
そんなサノに気づいてか天羽は、ふぇっふぇっふぇっとまた楽しそうに笑った。
サノは、気づいているのだろうか。天羽に遊ばれていることに・・・。
「ったく。天羽!!村の奴らに言っとけよ!!」
「へい。」
「いや待て。何を言うか分かっているよな?」
「へい。」
「返事はいいから、言えって。」
「へい。」
「あ~も~う~~~~~!!!」
「ほい。」
天羽は、間抜けた返事をして飛び立っていった。いや、逃げたのだ。
天羽が、飛び立つのを見て村人たちも、散らばっていった。
(いったいあいつらは、何がしたかったんだ!?)
サノは、気づかない。村人が実は、コノハとの間柄を冷やかそうとしにきていたのを。
気づいていたら、きっと一人ひとりご丁寧に捕まえて、げんこつを喰らわせていただろう。
「わ、悪いなコノハ。」
天羽が、逃げてから何故だかコノハとの間の空気が気まずくなり、どうしようかと悩んでいたサノだが、とりあえず謝ることにした。
もちろん、コノハは首を傾げる。何故謝られたのかが分からないからだ。
「いや、あの、そのぉ~・・・・・」
「・・・サノが、何に謝っているかわかんないけど、別にいいよ?」
「だ、だよな?何に謝っているかわかんねぇよな?って、なんで最後疑問系なんだよ!?」
「さぁ~?」
「コノちゃん。何かに怒ってない?」
「・・・・サノ。怒るよ。」
「すみませんでした。」
サノは自分が年上であることを忘れているわけではない。何故か、自然に言葉がでてしまっただけである。
(・・・イマ、コノハノメガ、ヤバカッタ。)
サノがしゃがみ、地面にの『の』の字を書き始めたのを、コノハは、ため息をついて見ていた。
「サノ。どこかに行くんじゃなかったの?何を落ち込んでいるのさ?」
「別にぃ~。年下の奴に、目で負けたことに対して落ち込んでいるわけじゃないからなぁー。」
「あーうん。」
「なんだよその曖昧な返事はぁ!!本当だからな!!」
「うんうん。」
「はぁー。これだから子供は・・・。」
「っで?どこに行くの?」
「・・・・(スルーされた。嫌味言ったのに、スルーされた!!)とりばぁー宅だよ。」
「とりばぁー宅って、社のこと?」
「やしろぉー?うん、まぁそこだ。」
「サノ、もしかして社知らない?いや、わかんなかったんだね。」
「気の毒そうな顔をするな!!」
「じゃぁ、行こうよ?」
「おぅ!!」
「・・・。」
「なんだよ?行き成り黙んなよ!」
「いや、僕別に行かなくてもいいんじゃないかなぁ~なんて思ったりして。」
「バカだなぁー。行かなくちゃいけないんだぜぇ?」
「理由は?」
「よし、行こう!!」
(理由なんて、あるわけないじゃん!!あ、一人で、行ったらコノハが、一人になるからって理由でもいいや。)
サノの頭には、きっとアメーバが住んでいるに違いない。コノハが、サノの考えを聞いたらきっとそう思っただろう。
サノは、動こうとしないコノハの手を引いて、否、腕を掴んでとりばぁー宅へと向かっていった。
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【とりばぁー宅】
囲炉裏のところで、一羽の鳳凰が、羽を休めていた。
人が見たら、よく羽を燃やさないでいるものだと思うだろう。
そんな、平凡な空気が流れるほどの社の中。
「ったく、樹はいったい何をしておるのじゃ?天羽に、遊ばれよって。」
とりばぁーはそういいながらも、ふふふっと笑っていた。
「隣におるのが、先ほどの護子かのぉ?こりゃぁ・・・・。言わないほうが仏かのぉ?」
とりばぁーは気づいた。コノハが今は誰にも気づいてほしくないことを。
「しかしまぁ。気の毒によのぉ。・・・じゃが、樹がこのまま『サノ』として、行動をするのであれば、コノハにとっては嬉しい限りであろうな。」
仕方ない。そう言ってとりばぁーは、こちらに向かってくるサノとコノハを出迎える準備を始めた。
__そして、戸が叩かれた。
天羽はちゃんと、広めておりました。
サノはどんどん、天羽に遊ばれていっております。
そーいえば、コノハと天羽は会話をしておりませんね。
何故でしょう?
ただコノハが口を開かないだけなのかは・・・うんぬんかんぬん。
イヅレ分かるということで!