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9話 

あれから三日たった。

カタログの種類の調整や、機能確認、新たに削除機能や、持ち運ぶための携帯カタログも作成。

削除機能は単純にゴミ箱に捨てると、捨てた物が消えたり、ごみ箱に入らない大きさの物は、特定の場所で長押しで削除、出した本人にし消せないよう設定。権限が与えられた者は本人じゃなくても削除可能。

携帯用のカタログは時計やアクセサリータイプにして、自分のお気に入りや必要な物を登録出来るようにした。

様は、鞄や荷車無しで持ち運びが可能と言うことだ。


さて、そろそろエルフ達の様子を見に行くか。

俺はエルフ達の部屋を訪ねる。ある程度元気なエルフは個室を、手が必要なエルフは大部屋に固めているが、どうやら皆大部屋に集まっている様だ。

初日に比べると、大分皆顔色が良いように思う。表情も良くなっている。初日に怪我や病気は治しておいたが、気持ちまでは治せないからな。仲間同士だとそこまで気を使う必要もないし、ゆっくりしやすいだろう。この様子なら、直ぐに良くなりそうだな。


調子はどうだ?とエルフ達に尋ねる。するとエーデルの父親が笑顔で返してくれた。


「魔王様、この度は本当にありがとうごうざいます!」


「いや、今はまだ休息が必要だろうから、ゆっくりして下さい。足りないものや不便な事はないですか?」


正直こう言うのには慣れていない。なんて返せばいいのか分からない。本当は、皆無事で良かった、と言いたかった。


「はい、不自由なく」


「そうか、なら良かったです」


「そういえば自己紹介がまだでした。俺はエーデルの父でランディンと言います」


ランディンは見た目40代くらいの、白い歯に笑顔が素敵なスポーツマンのような、爽やかおじさんだ。

エーデルの髪色は父親に似たらしい。綺麗な白金をしっかり受け継いでいる。


他のエルフとも挨拶をし、最後に、エーデルとエーデルの母親のもとに行く。

正直な所エーデルには合わせる顔が無いと、この三日間カタログ作成を言い訳に避けていた。

あの日、エーデルから事情を聴き終わった頃には、俺はデージーがもう居ないこと知っていた。

知った上で、助けると言ってしまったのだ。もう居ないなんて言えなくて、エーデルの両親にそれを押し付けて、

これで魔王とか情けない。もっと強くならないとな。そのためにも、エーデルから、逃げるわけにはいかない。


エーデルもまだ本調子でないようで、ベッドで上半身を起こし母親と話をしているようだった。


「調子はどうですか?」


俺はエーデルとエーデルの母親に話かける。


「魔王様、本当にありがとうございます! おかげで娘に会うことが出来ました」


深々と礼をするエーデルの母親


「いえ、無事再会出来て良かったです」


「魔王様、本当にありがとう、家族にも仲間にも、お陰でまた会う事が出来ました」


「いや、俺は出来る事をしたまでだ、後デージーの事なんだが」


「両親から聞きました。」


「そうか」


何を話せばいいのか、重い沈黙が流れる。


「せっかく家族と再会したんだ、思う存分甘えたらいいんじゃないか?」


やっと出た言葉に、エーデルは少し複雑そうな表情を浮かべる。

恐らく、もう両親に会えることが出来ないデージーの事を思ってだろう。


「そういえば私、自己紹介してなかったわ」


エーデルの母親が空気を読んで助け船を出してくれた。


「エーデルの母でエールと申します。ご存じとは思いますが、私は悪魔で、エーデルはエルフと悪魔のハーフになります」


「改めて、魔王です。よろしくお願いします」


エーデルとエール。親子だけあって良く似ている。顔の造形は母親似のようだ。やはり悪魔と言うのは美形が多いようだ。紫がかった銀髪を肩まで伸ばし、いかにも人を誘惑しそうな雰囲気だ。

エーデルは、エールより幼い顔をしていて、白金の髪にオッドアイのせいか、エールとは逆に神秘的な雰囲気を感じる。


「あの、魔王様」


「ん?」


「その・・・・」


何か言いにくいことがあるのか、言い淀むエーデル。


「いえ、何でもないです」


「ああ、そうだ気分転換に外に出てみるか?」


「そうですね、ママ、ちょっと外に出ていいかな?」


「それは構わないけど」


「じゃあ行こうか、立てるか?」


「はい、大丈夫です」



こうして俺はエーデルと中庭に移動することになった。

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