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6話 エーデル

あれから丸一日たった頃、漸く彼女は目を覚ました。


「こ、ここは」


「気が付いたか」


目を覚ましゆっくりと彼女は起き上がった。


「起きて平気か?」


無言で頷く彼女に水を差し出す。

見た感じ俺より少し年齢は下のように見える。

ハーフのせいなのか分からないが、目がオッドアイだ。右が赤で左は緑。見慣れないせいか、自然とその目を見ようとしてしまう。


「ここは、魔王城で、俺は魔王だ」


「魔王!」


「と言っても、最近なったばっかりだけどな」


「私はエーデルと言います」


「エーデルか、助けて欲しい、って言ってたそうだが」


「家族と仲間を探しているんです」


「家族と仲間が居なくなったのか?」


「はい」



エーデルは自分の過去を話し始めた。



                *


私が住んでいたのは、少し人里から離れた森の中だった。

そこで数十人のエルフと父母と暮らしてた。

悪魔の母とハーフの私を受け入れてくれ、本当に皆、優しくて大好きだった。

私たちは、森で野菜や花を育て、それを近くの村や町で売り生計をたてていた。

13になる私と三つ年下のデージーとは仲が良く、その日も私たちは一緒にいた。

その日は近くの村まで、育てた野菜や花を売りに行く途中だった。

いつものように荷台を二人で押し、帰ったら何をしようか? なんて他愛もない話をしながら。

話に夢中になっていた私は、人間が近づいて来たことに気づいてはいたが、気にも留めていなかった。いきなり襲われ、私は気絶した。気絶する寸前に見たのは、デージーが横で倒れていたことと、フードを被った人間の姿だった。


そして、気づいた時には貴族たちの闇オークションに出品されていた。

何が起こっているのか分からずに私はとにかく、一緒にいたデージーの姿を探した。

でも周りには仮面を付けた人間ばかりで、魔力も封じられ何もすることが出来ないまま私は落札された。

引き渡される少し前に、デージーが他の人間に落札されたと聞いた。


その後は、奴隷としての生活を送ることになった。毎日暴力に耐えながら、デージーも同じような目に遭っていると思うと、私は、守る事が出来なかった後悔、悔しさ、申し訳ない気持ちで、そして、無力な自分が嫌で嫌で仕方なかった。

私が出来る事と言えばデージーが無事である事を、日々祈るだけだった


そんな生活が3年続いたころだった。

屋敷が火事になり、その混乱を利用し、私は屋敷を抜け出すことが出来た。

でも、魔力を封じられた私はデージーが何処に居るかも、故郷の場所も分からず途方に暮れていた。

見つかるとまた捕まるかもしれないと思い、私は身を隠しながら、旅人を装いデージーの情報や故郷の場所を探していた。


結局、デージーの居場所は分からず、やっとの思いで帰った故郷には、誰も居なかった。

この3年の間に何が起こったのか。何も分からず仕舞いで途方に暮れている所、悪魔に声を掛けられ、期待はしていなかったがせめて、何か手掛かりがあれば思い助けを求めた。




                     *




「お願いします、助けて、ください」


今にも、泣き出してしまいそうな震える声だった。


「家族と仲間、そしてデージーを助けたらいいのか?」


コクコクと頷くエーデル。


「分かった、出来る限りのことはする」


「あ、ありがとうございます!」


「とりあえずエーデルに今必要なのは休息だ。暫くはゆっくり休むと良い」


「いえ、今すぐにデージーを探しに行きます! この首輪さえ外せば私も魔力が使えます!」


「・・・・悪いが足手まといだ。そんなボロボロの状態で何が出来る? それに魔力って言っても3年も使ってないんだろ?」


「それでも、私は・・・・。」


「とにかく今は回復に専念してくれ。それまでその首輪は外さない」


「・・・・分かりました」





酷なこと言っているのは分かっている。それでも今は、こうするしかない。

俺は自分に言い聞かせた。






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